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データ活用を加速するデータパイプラインとは?構成要素や構築時のポイントまで徹底解説!
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昨今、企業が保有するデータ量は増加しており、その種類も多様化しています。また、消費者ニーズの変化や新しいワークスタイルの登場など、市場環境が目まぐるしく移り変わっており、企業が変化の激しい現代を生き残るためには、自社のデータを分析・活用し、柔軟な経営基盤を構築する必要があります。
そして、データ活用において重要なポイントの一つがデータパイプラインです。データパイプラインとは、データ活用における一連のプロセスを最適化するための手法であり、データパイプラインをうまく構築することで、効率的なデータ活用が可能になります。
本記事では、データパイプラインとは何か?という基礎的な内容から、データパイプラインの構成要素、構築時に意識すべきポイントなど、あらゆる観点から一挙にご紹介します。
目次
データパイプラインとは?
データパイプラインとは、データ活用における一連のプロセスを最適化するための手法の一つです。昨今、 AI や IoT に代表される新しい情報技術の登場や、消費者ニーズの多様化などに伴い、企業が保有するデータ量は増加の一途を辿っています。
そのため、変化の激しい現代においては、自社が保有するビッグデータを有効に活用し、迅速かつ正確な意思決定を行うことが求められています。しかし、ビッグデータ活用は容易なことではなく、何も考えずに取り組んでいても、うまく進めることはできません。
そこで、データ活用を効率化するための有効なアプローチとして、データパイプラインの存在が注目を集めています。データパイプラインは、データエンジニアリングやデータ準備、データ分析など、データ活用における一連のプロセスを最適化する役割を持っています。
つまり、企業では「ワークフロー」という言葉が一般的によく使われていますが、この業務の流れやプロセスをデータ活用の観点から最適化したものがデータパイプラインだと言えます。
ただし、一口に「データパイプライン」と言っても、その言葉の意味はシーンに応じて変化します。狭義のデータパイプラインは、一つのシステム内で完結するパイプラインを指すこともありますが、広義に捉えた場合は、複数システムを組み合わせた大規模なパイプラインを意味することもあるのです。
このように、規模感によって若干の意味の違いはありますが、データパイプラインはデータ活用において非常に重要なアプローチの一つであり、データ活用の重要性が強く叫ばれている現代においては、必要不可欠な存在であると言えるでしょう。
データパイプラインのタイプ
データパイプラインは大きく分けて「バッチ処理」と「ストリーミングデータ」の 2 種類に分類されます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
バッチ処理
バッチ処理とは、特定の処理をまとめて一度に実行する処理のことを意味します。本来、システムはアクセス数や稼働率に応じてパフォーマンスが低下してしまいますが、バッチ処理はシステムリソースの空き時間を有効活用できるというメリットがあります。
例えば、社員がシステムにアクセスしない夜間にバッチ処理を行うことで、実業務に大きな影響を与えずに膨大な処理を完了できます。このように、リソース状況に応じて柔軟なデータパイプラインを実現したい場合にはバッチ処理が有効な手段になります。
ストリーミングデータ
ストリーミングデータとは、常に変化し続けるデータを意味する言葉であり、データパイプラインにおいてリアルタイムなデータ更新が求められる場合は、このストリーミングデータが利用されます。
バッチ処理と異なり、リソース状況に応じて空き時間を活用することはできませんが、変化し続けるデータを即座に取得して分析可能なため、 EC サイトや為替市場の情報など、刻一刻と状況が変わる場合に効果を発揮すると言えるでしょう。
データパイプラインと ETL パイプラインの比較
データパイプラインと混同しやすい言葉として「 ETL パイプライン」が挙げられます。
ETL とは「 Extract (抽出)、 Transform (変換)、 Load (書き出し)」の略であり、企業内のあらゆるシステムからデータを抽出し、共有する機能を搭載したツールです。
企業においては、多くのシステムが同時に存在しているケースが一般的であり、営業や購買、生産、顧客管理など、様々な基幹システムがあるため、異なるシステムからそれぞれデータを抽出するのは、時間や手間がかかります。
しかし、 ETL を活用することで複数システムからのデータ抽出や外部への書き出しが可能になります。つまり、 ETL パイプラインとはデータの「抽出・変換・書き出し」に特化した仕組みであり、データパイプラインのようなデータの準備や分析などは含まれていません。
そのため、データパイプラインは ETL パイプラインと比較して、より広範囲にデータ活用のプロセスを最適化できるものだと言えるでしょう。このように、データパイプラインと ETL パイプラインは明確に区別されているため、両者の違いを正しく理解しておいてください。
データパイプラインの構成要素
データパイプラインは複数要素をもとに構成されています。どのような要素があるのか、順番に見ていきましょう。
データエンジニアリング
データパイプラインにおける最初のステップはデータエンジニアリングです。データエンジニアリングとは、データ活用の元となる情報を整備することであり、必要なデータを収集・格納し、分析に使えるように加工を施します。
例えば、社員の PC 端末や会社のファイルサーバーなど、様々な場所に点在するデータを体系的に集約し、「使えるデータ」の形に整えます。詳しくは後述しますが、効率的に作業を進めるために ETL などのツールを利用することが一般的です。
データ準備
次に、データ準備のプロセスへと進みます。データエンジニアリングでは、必要なデータを集めて分析に使える形に加工しましたが、データ準備ではさらに幅広い範囲で分析用のデータを準備していきます。
例えば、既存のデータと新しいデータをそれぞれ抽出してブレンディングします。これにより、単一データソースから情報を取得するだけではなく、複数のデータを組み合わせて利用可能になるため、データ分析・活用の幅が大きく広がります。
データ準備を入念に行うことで、データ分析のパターンを増やすことができ、多角的かつ高度な分析が可能になります。結果として、あらゆるデータを考慮した信憑性の高い分析結果を得られるため、正確な意思決定や経営判断に直結します。
データ分析
最後のプロセスは準備したデータの分析です。まずはデータ分析の目的を明確にして、ゴールから逆算して分析を行います。目的が曖昧なまま分析を行った場合、思うような結果は得られないため、この点は注意が必要です。
自社が準備したデータをもとに、様々なアプローチで分析を実行した後、その分析結果から後続アクションを検討します。なお、データパイプラインにおける最後のプロセスはデータ分析ですが、本当に大切なのはその後だと言うことを忘れてはいけません。
データ活用のゴールは「分析すること」ではなく、その分析結果を踏まえて、自社の運用改善や意思決定に役立てることです。つまり、データ分析自体を目的としてデータパイプラインを構築するのではなく、その後の分析結果の活用までを視野に入れた上で、データ活用の全体プロセスを最適化することが重要だと言えるでしょう。
データパイプラインのユースケース
データパイプラインの目的は、自社が保有するデータを最大限に活用し、業務効率化や生産性向上を実現することです。それでは、データパイプラインを活用することで、具体的にどのようなことを実現できるのでしょうか?
本章では、データパイプラインの具体的なユースケースを 5 つご紹介します。
利益の最大化
データパイプラインの活用により、利益の最大化を実現可能になります。自社が保有する顧客データや購買データなどの膨大な情報を適切に管理・分析することで、ユーザーの興味関心や動向を探ることができます。
そして、その結果をもとにマーケティング活動などを実践することで、より効率的な経営が可能になります。これにより、コスト削減や売上向上を実現でき、最終的には自社の利益最大化に繋がります。
自社の課題解決
データパイプラインは自社の課題解決にも大きく寄与します。これは、普段は気付かないような問題点だとしても、客観的なデータを用いることで見える化することができるためです。
例えば、社員が所属している組織と勤怠履歴や ES (従業員満足度)の結果などを組み合わせることで、残業時間の多い組織やモチベーションが低下している組織などを可視化でき、ピンポイントに対策を講じることが可能になります。
データドリブン経営の実現
データパイプラインを有効活用することで、自社が保有するデータを効率的に管理・分析し、その分析結果をもとに客観的かつ信頼性の高い意思決定が可能になります。さらに、人間を介さずにデータをもとに自動的に判断がなされるため、意思決定のスピードを上げることができます。
ビジネスの世界はスピードが命であり、迅速な意思決定はそのまま競合優位性に繋がります。この点はデータパイプラインの大きなメリットだと言えるでしょう。
データドリブン経営に関心のある方は以下の記事が参考になります。
データドリブン経営とは?実現に向けた4ステップや成功事例まで徹底解説!
データのビジュアライズ
データパイプラインは単にデータを収集、管理、分析するだけではなく、そのデータ自体をビジュアライズするために用いられることがあります。
データのビジュアライズとは、人間がデータをわかりやすく理解できるように可視化することです。表やグラフ、アニメーションなどのグラフィックを使ってデータを表現し、そのデータから洞察を得ることをサポートします。
機械学習
昨今、 AI の発達により、日常のあらゆるシーンで人工知能が活用されるようになりました。そして、 AI を支えている要素の一つが機械学習です。
機械学習を行うためには膨大な量のデータが必要になり、データ量が多く適切に管理されているほど、機械学習の効果は高まります。そのため、データパイプラインは質の高い機械学習の実践にも大きな意味を持っていると言えるでしょう。
機械学習に関心のある方は以下の記事が参考になります。
データパイプライン構築時のポイント
データパイプラインを構築する際、前章でご説明した3つの要素以外にも意識すべきポイントがあります。データパイプラインをはじめとするデータ分析基盤を構築する上では、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介します。
データパイプラインの用途を明確化する
データパイプラインを構築する上で「データパイプラインを何に使うのか?」という観点はとても大切です。用途が曖昧なままでは、効率的なデータパイプラインを作ることはできません。そのため、実際にデータパイプラインを構築する前に、用途を明確化しておきましょう。
用途が明確になれば、必要となるデータや利用する分析手法など、各プロセスにおける重要な部分を決めることができます。そして、状況に合わせて各プロセスを最適化することで、効率的なデータパイプラインを構築することが可能になります。
データの取捨選択を行う
データパイプラインを構築するためには、必要なデータを収集しなければいけません。しかし、闇雲にすべてのデータを集めた場合、後続プロセスの生産性が低下します。取り扱うデータ量が多いほど、処理にかかる時間は長くなるため、不要なデータは最初から除外しておくべきなのです。
まずはデータ分析の目的を明確化し、ゴールから逆算して必要なデータを洗い出すことが大切です。そして、使用するデータのみをデータパイプラインに残し、必要最低限の情報に留めてください。データの取捨選択は面倒だと感じるかもしれませんが、この作業を丁寧に行うことでデータ分析の作業効率は向上し、結果としてプロセス全体の最適化を図ることができます。
データの流れを一方向に設定する
データ収集から抽出までの一連のプロセスにおいては、データの流れが一方通行となるように設定してください。仮に、データ分析の流れが反対の方向に進んだ場合、後からリカバリができなくなり、データ分析の全体フローが煩雑化します。
そのため、データが逆に流れることがないように、一方向で処理が進むようなデータパイプラインを構築すると良いでしょう。ワークフロー管理システムのように、データ分析の全体プロセスを自動化できるソリューションの導入も効果的です。
使いやすい IT ツールを選ぶ
データパイプラインを構築するためには IT ツールの活用が重要な鍵を握りますが「導入すれば何でも良い」というわけではありません。使いにくいサービスを選んだ場合、むしろ大きな工数が発生し、せっかくコストをかけて導入したツールが無駄になってしまいます。
そのため、使いやすい IT ツールを選ぶことが、効率的なデータパイプライン構築にそのまま直結すると言えるでしょう。次章でオススメのサービスをご紹介します。
データパイプライン構築にオススメのサービスをご紹介!
データパイプラインの構築には IT ツールの活用が重要であることを前述しました。市場には様々な IT ツールが存在しますが、サービスごとに特徴や強みは異なるため、複数サービスを比較検討して、最適なものを選ぶことが大切です。
本章では、データパイプラインの構築にオススメのサービスをご紹介します。
Dataflow
Dataflow は Google Cloud (GCP)に内包されている ETL ツールであり、サーバーレスかつフルマネージドのデータ処理サービスです。
Java や Python で処理を作り込むことができるのはもちろん、標準で提供されているテンプレートを使うことも可能です。クラウドストレージにアップロードした JDBC ドライバーを使用して、 Netezza や Exadata に接続できるテンプレートも用意されています。
また、 Dataflow は「 Apache Beam (オープンソースのフレームワーク)」で構築されたパイプライン処理を実行できるプラットフォームであり、 Apache Beam の実行環境としても利用することができます。パイプライン処理とは、マイクロプロセッサ内部での命令を分割し、それぞれを別の回路で実行することで、並行的に処理を進めるための技術です。
企業が保有する大規模かつ多岐にわたるデータを一元的に集約し、高速にデータを処理できる Dataflow は、企業がデータ活用を進める上で心強い武器になります。情報量の増加やデータの多様化が進み、企業におけるデータ活用の重要性が高まっている現代において、 Dataflow はあらゆる企業にとって必要なサービスだと言えるでしょう。
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Cloud Data Fusion
Cloud Data Fusion は Google Cloud (GCP)に内包されているサーバーレスかつフルマネージドなデータ統合サービスであり、主に ETL の領域をカバーしています。
Cloud Data Fusion は 100 % クラウドで提供されるサービスであり、多くの機能がデフォルトで用意されているため、様々なデータソースを組み合わせてデータ統合を行うことができます。また、追加コストなしで 150 以上の豊富なプラグインを利用できるため、あらゆる要件に対応可能です。
加えて、難しいコードを使う必要がなく、 GUI (Graphical User Interface :マウスだけで視覚的に操作できるインターフェース)で簡単に扱える点も Cloud Data Fusion の大きな特徴となっています。
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Cloud Composer
Cloud Composer は Google Cloud (GCP)で提供されているワークフロー構築サービスです。 Google 公式サイトでは、 Cloud Composer を「ワークフローオーケストレーションサービス」と表現しています。オーケストレーションとは、システムやサービスにおける設定や運用管理の自動化を指す言葉です。
Cloud Composer を活用することで、 Google Cloud (GCP)上にワークフローを作成し、デプロイすることができます。デプロイとは、構築したサービスなどをサーバー上に展開・配置して、利用可能な状態にすることです。
また、 Cloud Composer は「 Apache Airflow 」のオープンソースプロジェクトをベースに構築されており、「 Python 」のプログラミング言語を使用して運用されています。 Apache Airflow は Python で実装されている Job 管理ツールであり、直感的でわかりやすい操作性が特徴です。
つまり Cloud Composer を使えば、 Apache Airflow をベースとした操作性の高いワークフローを Google Cloud (GCP)の環境に構築し、デプロイや運用管理までを一気通貫で実現できるということです。
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まとめ
本記事では、データパイプラインとは何か?という基礎的な内容から、データパイプラインの構成要素、構築時に意識すべきポイントなど、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。
データ活用の重要性が高まっている現代において、データパイプラインはとても重要なアプローチの一つです。企業がデータパイプラインを活用することで、自社のデータ活用を効率化でき、迅速かつ精度の高い意思決定に直結します。
データパイプラインを構築する上でのポイントは多く存在しますが、重要なものとしては ETL の活用が挙げられます。昨今、企業内に複数システムが混在しているケースが一般化しており、それぞれのシステムからデータを抽出するのは、時間や手間がかかりますが、 ETL を活用することで、効率的なデータ抽出や書き出しを実行できます。
市場には数多くの ETL サービスが存在しますが、せっかく導入するのであれば Google Cloud (GCP)の Dataflow がオススメです。 Dataflow に搭載されている多彩な機能により、自社のデータ活用における業務効率化を図ることができます。さらに、ストリーム分析やリアルタイム AI など、企業に求められる高度な運用を実現可能になります。
本記事を参考にして、 Google Cloud (GCP)の導入および Dataflow の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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