サービス概要からGCPの想定利用料を計算してみよう!コスト試算のやり方紹介

サービス概要からGCPの想定利用料を計算してみよう!コスト試算のやり方紹介

2020年現在、顧客に提供するITサービス構築を始める際、コスト面や構築スピードの面から、AWSやGCPといったパブリッククラウドサービスの利用を検討することが多くなっています。

中でも、GCPは以下のような特徴があり、非常に利用しやすいサービスだと言えます。

さて、GCPを使うにあたり、GCPを使うとどのくらいコストがかかるのか、サービスを作成する段階で把握しておきたいですよね?

自由にGCP上でITサービスを構築できる場合もあると思いますが、大抵ITサービス構築時は予算が事前に決まっていると思います。

どのようにGCPのコストを見積もればいいのでしょうか?

今回の記事は、自分が運用しようとしているWebサービスをGCPで運用するとしたら、いくらくらいの見積もりになるの算出の仕方について詳しく解説していきます。

要件と構成図を作成する

まず、ITシステムの構築にあたって、どのようなシステムを作るべきか、事前に要件を明確にしておく必要があります。

事前に決めた要件によって、GCPを利用してどのようなシステムを作っていくか、システム構成図を作成します。

システムの構成図を作ることで、コストの見積もりが行えるようになります。

なお、GCPでは、システムの構成図を作るためのアイコンが用意されています。

以下のURLでダウンロードが可能なので、ぜひ使用してみてはいかがでしょうか?

https://cloud.google.com/icons?hl=ja

決めるべき要件は?

一般的な要件定義では、要件定義で以下の点を決定します。

ここで、GCPのコストを見積もるために決めておくべき要件は、非機能要件になります。

具体的には、以下の非機能要件を意識しましょう。

それぞれの要件で、どのような点を考慮しながら決定するべきか、詳しく記載していきます。

可用性の要件について

GCPでは、ロケーションと呼ばれる概念があります。ロケーションとは、サーバーなどを構築する際に指定できる地域のことです。

ロケーションには「リージョン」、「ゾーン」の2種類があります。リージョンは、東京や大阪、アメリカ西部など、地理的に離れています。

1つのリージョンのなかに、複数の「ゾーン」があり、ゾーン同士はリージョンほどは離れていませんが、地理的に隔離されています。

GCPで可用性を担保するには、複数の「ゾーン」もしくは「リージョン」を利用してサーバーなどのインフラリソースを構築していく必要があります。

局所的な停電等に備えるのであれば、複数の「ゾーン」を利用してITシステムを構築する必要がありますし、大規模な激甚災害を考慮するのであれば、複数の「リージョン」を利用する必要があります。

つまり、可用性の要件によって、利用するべき「ゾーン」「リージョン」が決定されるため、インフラリソースのコストが倍になっていきます。

構築する予定のITシステムが、どのような可用性要件を持っているか、決めておきましょう。

セキュリティの要件について

セキュリティ要件については、特に明確に決めておく必要があります。

場合によっては、GCP単体では実現できないような要件を満たすために、サードパーティーの製品を購入したり、セキュリティ要件のためだけのリソースを構築する必要があったり、といった対応が必要になるためです。

具体的には、WAF(Web Application Firewall)やIDS(Intrusion Detection System)/IPS(Intrusion Prevention System)などの製品が必要になる可能性があります。

構築しようとしているITシステムが、どのようなセキュリティ要件を満たす必要があるのかは、PCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)などの外部の基準等を確認しながら決定していきましょう。

性能の要件について

性能要件については、厳格に決める必要はありません。

というのも、GCPのようなパブリッククラウドのメリットは、リソースを柔軟に変化させることができるという点です。

例えば、年末商戦時の通販サイトのように、ピーク時と平常時に求められる性能が異なる場合、ピーク時だけサーバーの台数を増やす、といった対応が可能です。

したがって、ピーク時の性能要件と平常時の性能要件といった、最低でも2通りの性能要件を事前に決めておきましょう。

運用の要件について

バックアップの頻度やログの保管期間については事前に決定しておくといいでしょう。

バックアップやログはGoogle Cloud Storageなどのストレージサービスを利用して保管することなることが多いですが、このようなストレージサービスは容量課金です。

したがって、事前に保管されるデータの容量を知っておく必要があります。

利用料金は安いため、こちらも厳格に決めておく必要はありませんが、運用期間中に発生する料金を合計すると無視できない料金になる場合もあります。

ネットワークの要件

GCPのようなパブリッククラウドのサービスでは、クラウドから外部に通信を行う際に課金が発生します。

したがって、動画サービスなど、外部への通信料が大きいITシステムを構築する際には、1月あたりどの程度外部への通信が行われるか、事前に見積もりを行う必要があります。

コンテンツの容量と、コンテンツに対するアクセス量を掛け合わせて、外部への通信料を見積もっておきましょう。

また、GCPの場合はCloud Interconnectといった専用線の接続サービスも用意されています。

こちらも比較的高額な課金が発生しますので、使用する場合は考慮に入れておく必要があるでしょう。

構成図に書くべきことは?

上記に記載した要件が固まったら、次は構成図に着手しましょう。

構成図に書くべきことは以下です。

フェーズごとの費用を考える

要件を決めたら、フェーズごとの費用についても考えます。

基本的には、GCPのようなパブリッククラウドのサービスは機器購入やデータセンターの契約費用など初期費用が掛かりません。

したがって、ITシステム開発中のGCP利用料金と、ITシステムのリリース後、運用を行っていくうえでのGCP利用料金を算出しましょう。

開発フェーズで考えるべき費用

ITシステムをリリースする前の費用について考えます。

ITシステムをリリースする前は、サーバーの起動時間をすくなくしたり、リリース後よりもサーバーの台数を減らしたり、といったコストを削減しながら開発を進めることになる場合が多いです。

したがって、サーバーなどのリソースは本番リリースで想定している費用の5割~7割で考えるといいでしょう。

開発フェーズではできる限りコストを抑えることを意識すると、費用面以外のメリットもあります。

例えば、予算に余裕があれば、開発終盤において、テストを行う際には環境を複製して、並行してテストを行うことも可能です。

運用フェーズで考えるべき費用

ITシステムをリリースしてしまえば、当初の見積もり通りに課金が発生していくはずです。

したがって、運用フェーズでは課金状況をモニタリングしながら、想定外の課金が発生していないかを注視しましょう。

GCP Pricing Calculatorを使ってみる

GCP Pricing Calculatorのイメージ図
要件が決定し、構成図の記載ができたら、次は実際に利用料金を見積もってみましょう。

GCPではGCP Pricing Calculatorという便利なツールが用意されています。

GCP Pricing Calculatorとは?

GCP のコストを計算するための試算ツールです。大まかな利用料金の見積もりが可能です。
利用するサービスに応じてタブが分かれています。
以下のURLから利用が可能です。
https://cloud.google.com/products/calculator/

使い方は?

使うリソースごとに、タブを切りかえ、必要事項を入力したら「ADD TO ESTIMATE」をクリックすると、画面右側に見積金額が表示されます。

また、すでに「ADD TO ESTIMATE」した見積もりを途中で変えたい場合や削除したい場合は、画面右側のペンマークや、×印のマークをクリックすることで、編集や削除が行えます。

具体的な構成で見積もりを行ってみる

以下の一般的な3層Webアプリケーションアーキテクチャを条件に、見積もりを行ってみます。

ロケーションは東京、ゾーンは2つ利用するため、各サーバーは2台ずつといたします。

GCPを使用したユースケースの見積もり

上記を入力すると、合計で『USD 2,814.07 per 1 month』と出力され、

1か月あたり約30万円であることがわかります。

この見積もりを基準とし、開発期間の費用を加算して、構築しようとしているITシステムの開発~リリースまでの見積もりを行いましょう。

まとめ

GCPで見積もりを行うための必要な観点や、見積もりに向けたツールについて記載しました。

ツールを使うことで、だれでもわかりやすく簡単にGCPの見積もり可能です。

ぜひ、パブリッククラウドを利用する際には、GCPも考慮に入れてみてはいかがでしょうか?

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