【第5回】 Firebase Authentication を使ってアプリケーションに認証機能を追加しよう【はじめてみよう Firebase】

【第5回】 Firebase Authentication を使ってアプリケーションに認証機能を追加しよう【はじめてみよう Firebase】

多くのエンドユーザ向けのサービスは認証機能があります。
専用アカウントを作成してサインアップするものや、 Google や Facebook などの既存のサービスのアカウントを使ってログインするものなどがあります。
アプリケーションに認証機能を追加するには、ユーザ ID をクライアントとサーバで認識するために認証サーバを用意したり、トークンを作成したり、ユーザー情報をに安全に保存したりしないといけません。また、フェデレーション ID プロバイダ の認証を使えばアプリケーションに個人情報を持たせなくても済みますが、認証のための実装に手間がかかります。
Firebase には、このような複雑な認証処理を簡単に実装できる機能があります。今回は、 Firebase Authentication について説明します。

この記事の目的

Firebase Authentication とは

Firebase Authentication を使うことで、アプリケーションに簡単に認証機能を追加することができます。パスワード認証や OAuth2 に対応した主要なフェデレーション ID を使った認証ができます。フェデレーション認証で、 Google 以外にも Facebook, GitHub, Twitter などのサードパーティの認証情報を使用して、クライアントアプリケーションのログインを行うことができます。他にも、電話番号認証、カスタム認証や匿名認証などがあります。

Firebase Authentication SDK

認証機能を簡単に実現してくれるのがFirebase Authentication SDK です。 Firebase Authentication SDK は、ベストプラクティスな認証機能を実装されており、開発者はSDKを使うことで意識することなく安全なユーザ管理を追加することができます。また、 SDK に含まれる Firebase UI を使うことで、アプリケーションに簡単に UI を構築することができます。
対応するプラットフォームには、 Android, iOS, Web, C++, Unity がありますが、認証方法によっては対応していないプラットフォームをありますので注意してください。

アプリケーションに認証機能を実装する

それでは、実際にアプリケーションに認証機能を追加してみましょう。今回は Firebase Hosting を使って Web アプリケーションに認証機能を追加します。

Firebase プロジェクトを作成する

こちらの記事 を参考にして、 GCP プロジェクトと Firebase プロジェクトを作成します。

Firebase プロジェクトの設定

Firebaseコンソール を開いて、[開発] > [Authentication] を選択すると次のような画面が表示するので、[ログイン方法] のタブを選択します。

次に、 [ログイン プロバイダ] から [メール / パスワード] を選択し、 [有効にする] を ON にして [保存] ボタンをクリックます。

次に、 [ユーザー] タブを選択肢 [ユーザーを追加] ボタンをクリックします。

次に、 [メールアドレス] と [パスワード] を入力し [ユーザーを追加] ボタンをクリックします。

ユーザーが追加され、以下のような画面になっていることを確認します。

Firebase Hosting を準備する

こちらの記事 を参考にして、 Firebase Hosting を使って Web ページを公開します。

Firebase を JavaScript プロジェクトに追加する

Firebase プロジェクトの設定ができたら、 Firebase を Javascript から動かすのに必要なライブラリの読み込みを行います。index.html<head> タグに以下のコードを追加します。

  <head>
    <meta charset="utf-8">
    <script defer src="/__/firebase/5.3.1/firebase-app.js"></script>
    <script defer src="/__/firebase/5.3.1/firebase-auth.js"></script>
    <script src="https://cdn.firebase.com/libs/firebaseui/3.1.1/firebaseui.js"></script>
    <link type="text/css" rel="stylesheet" href="https://cdn.firebase.com/libs/firebaseui/3.1.1/firebaseui.css" />
    <script defer src="/__/firebase/init.js"></script>
  </head>

次に、 Firebase コンソールの画面右上にある [ウェブ設定] ボタンをクリックします。

[ウェブアプリに Firebase を追加] ダイアログが表示されます。
ダイアログには Firebase JavaScript SDK を設定するための初期化情報が含まれたコードが表示されているので、[コピー] ボタンをクリックします。

コピーしたコードを <body> タグの最後に追加します。

  <body>
    <p>Hello, Firebase Hosting!</p>

    <script src="https://www.gstatic.com/firebasejs/5.3.1/firebase.js"></script>
    <script>
      // Initialize Firebase
      var config = {
        apiKey: "<API_KEY>",
        authDomain: "<PROJECT_ID>.firebaseapp.com",
        databaseURL: "https://<DATABASE_NAME>.firebaseio.com",
        storageBucket: "<BUCKET>.appspot.com",
        messagingSenderId: "<SENDER_ID>",      
      };
      firebase.initializeApp(config);
    </script>
  </body>

ログイン UI を追加する

次に、ログイン用の UI を埋め込むためのコンテナを <body> に追加します。

  <body>
    <p>Hello, Firebase Hosting!</p>
    <div id="firebaseui-auth-container"></div>
    <div id="loader">Loading...</div>

次に、ログイン処理のコードを追加します。以下のコードを <body> の最後に追加します。

    <script type="text/javascript">
        var ui = new firebaseui.auth.AuthUI(firebase.auth());

        var uiConfig = {
          callbacks: {
            signInSuccessWithAuthResult: function(authResult, redirectUrl) {
              return true;
            },
            uiShown: function() {
              document.getElementById('loader').style.display = 'none';
            }
          },
          signInFlow: 'popup',
          signInSuccessUrl: './success.html',
          signInOptions: [
            firebase.auth.EmailAuthProvider.PROVIDER_ID,
          ],
        };
        ui.start('#firebaseui-auth-container', uiConfig);
    </script>
  </body>
</html>

以上で、 index.html の修正は完了です。 index.html は以下のような内容になっています。

<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <meta charset="utf-8">
    <script defer src="/__/firebase/5.3.1/firebase-app.js"></script>
    <script defer src="/__/firebase/5.3.1/firebase-auth.js"></script>
    <script src="https://cdn.firebase.com/libs/firebaseui/3.1.1/firebaseui.js"></script>
    <link type="text/css" rel="stylesheet" href="https://cdn.firebase.com/libs/firebaseui/3.1.1/firebaseui.css" />
    <script defer src="/__/firebase/init.js"></script>
  </head>

  <body>
    <p>Hello, Firebase Hosting!</p>
    <div id="firebaseui-auth-container"></div>
    <div id="loader">Loading...</div>

    <script src="https://www.gstatic.com/firebasejs/5.3.1/firebase.js"></script>
    <script>
      // Initialize Firebase
      var config = {
        apiKey: "<API_KEY>",
        authDomain: "<PROJECT_ID>.firebaseapp.com",
        databaseURL: "https://<DATABASE_NAME>.firebaseio.com",
        storageBucket: "<BUCKET>.appspot.com",
        messagingSenderId: "<SENDER_ID>",      
      };
      firebase.initializeApp(config);
    </script>

    <script type="text/javascript">
            var ui = new firebaseui.auth.AuthUI(firebase.auth());

            var uiConfig = {
              callbacks: {
                signInSuccessWithAuthResult: function(authResult, redirectUrl) {
                  return true;
                },
                uiShown: function() {
                  document.getElementById('loader').style.display = 'none';
                }
              },
              signInFlow: 'popup',
              signInSuccessUrl: './success.html',
              signInOptions: [
                firebase.auth.EmailAuthProvider.PROVIDER_ID,
              ],
            };
            ui.start('#firebaseui-auth-container', uiConfig);
        </script>
  </body>
</html>

認証成功画面を作成する

認証に成功したら、 index.htmlsignInSuccessUrl: で指定した画面に遷移します。そのための画面を用意します。ここでは、 success.html という名前で以下の内容で作成します。

<!DOCTYPE html>
<html>
  <body>
    <p>Login succeed</p>
  </body>
</html>

これで、コードの修正は完了です。 firebase deploy コマンドを実行して、ブラウザで確認しましょう。

Web ページを確認する

ブラウザを更新すると、次のような画面が表示されるはずです。

設定したユーザ名とパスワードを入力してログインすると success.html が表示されるのを確認します。

Google アカウントでログインする

次に、 Google アカウントを使った認証機能を追加しましょう。

Firebase プロジェクトの設定

Firebase コンソールから [Authentication] の [ログイン方法] のタブを選択します。次に、 [ログイン プロバイダ] から [Google] を選択し、 [有効にする] を ON にし、 [プロジェクトのサポートメール] にメールアドレスを追加して保存します。

Javascript の修正

次に、 index.htmlJavascript のコードを修正します。44行目付近の signInOptions: に、 .auth.GoogleAuthProvider.PROVIDER_ID, を追加します。

      signInOptions: [
        firebase.auth.GoogleAuthProvider.PROVIDER_ID,
        firebase.auth.EmailAuthProvider.PROVIDER_ID,
      ],

以上で修正完了です。デプロイして確認しましょう。

Web ページを確認する

ブラウザを更新すると、次のような画面が表示されるはずです。 認証方法に Sign in Google が追加されているのが確認できます。
Sign in Google ボタンをクリックして、 Google アカウントでログインしましょう。ログインすると success.html が表示されることが確認できるはずです。

終わりに

いかがでしたか。ログインに必要な処理を一切書かなかったのに気づいたはずです。必要なのはログインのための UI の作成と Firebase の初期化処理と呼び出しだけでした。本来ならバックエンドサービスを構築してサーバサイドで複雑なログイン処理とクライアント API の作成が必要でしたが、すべて Firebase が代わりにやってくれるため、クライアントコードの作成だけに専念できるというのが分かったはずです。
次回は Cloud Firestore の機能を使ってアプリケーション開発をしていく方法を説明します。

  • 【第6回】 Cloud Storage for Firebase を使ってバイナリーデータを管理しよう【はじめてみよう Firebase】


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