SAPの課題を解決! Google Cloud (GCP)と組み合わせたデータ活用方法をご紹介

SAPの課題を解決! Google Cloud (GCP)と組み合わせたデータ活用方法をご紹介

本記事は、2022年4月19日に開催された Google の公式イベント「 Google Cloud Day : Digital ’22」において、 Google Cloud Japan のデータアナリティクススペシャリストである Damien Contreras 氏が講演された「 SAP Cortex を使用して SAP データに関する BigQuery のインサイトを即座に取得」のレポート記事となります。

今回は SAP ERP データを Google Cloud (GCP)と組み合わせるメリットや Google Cloud (GCP)における簡素化されたデータ統合、さらに Google が提供するアーキテクチャ基盤である Google Cloud Cortex Framework についてご紹介します。

なお、本記事内で使用している画像に関しては、 Google Cloud Day : Digital ’22の「 SAP Cortex を使用して SAP データに関する BigQuery のインサイトを即座に取得」を出典元として参照しております。

それでは、早速内容を見ていきましょう。

SAP ERP とは?

概要

SAP ERP (以下 SAP と記載)とは、 SAP 社が提供している基幹システムです。下図の通り、様々な業種で活用されており、数多くの機能が搭載されています。

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元々 SAP はボルトオンエコシステムであり、ボルトオンシステムはオンプレで起動するために開発されていることが多く、一般的には導入されてからあまり更新されません。また、スケーラビリティが低く、ベンダーロックインに陥るリスクもあります。

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SAP データのサイロ化

SAP は基幹システムの一種ですが、企業によっては FI (財務会計)や CO (管理会計)など、特定機能に絞って SAP を利用しているケースも存在します。

この場合、 SAP 側はモジュールのみに対応し、それ以外の部分は別の基幹システムで管理される状態になります。そして、社内のデータが多くの場所に点在することになり、データのサイロ化が進みます。

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SAP のデータはリアルタイムに処理されていますが、そのプロセスの多くはバッチ駆動です。そのため、1日に複数回実行できるプロセスも存在しますが、プラットフォーム自体はリアルタイム処理用に作成されていません。

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Google Cloud (GCP)によるデータ活用

データ活用における4つのポイント

Google Cloud (GCP)を活用することで、前述した SAP の課題を解決することができます。ここからは Google Cloud (GCP)によるデータ活用について詳しく見ていきましょう。

データ活用における重要なポイントとしては、次の4点が挙げられます。

以下、わかりやすいように各ポイントを図で示します。

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Google Cloud (GCP)はこれらのポイントに対して有効なソリューションを提供しており、様々なシーンにおける企業のデータ活用をサポートします。

例えば、通常のデータ分析では、バッチデータに対してオンデマンドでバッチ分析を実行し、「何が起きたのか?」を分析します。しかし、 Google Cloud (GCP)を活用すれば、ストリーミングデータを常に分析するリアルタイム分析や、未来の可能性を予測することも可能になります。

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そして、分散されたデータを SoE や SoR 、 SoI などの基盤に集約し、データを最大限活用することができます。つまり、 SAP のデータだけではなく、外部データなども含めて、一元的なデータ管理・分析が可能になる、ということです。

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SoE や SoR 、 SoI に関心のある方は以下の記事がオススメです。

「 SoE 」「 SoR 」「 SoI 」とは何か?それぞれの概要や関係性をわかりやすく解説!

高速データ分析を可能にする BigQuery とは?

BigQuery とは、 Google Cloud (GCP)で提供されているビッグデータ解析サービスのことです。通常では長い時間かかるクエリを、数 TB (テラバイト)、数 PB (ペタバイト)のデータに対して、数秒もしくは数十秒で終わらせることができます。

クラウドなため、サーバーレスでスケーラビリティがあり、非常にコストパフォーマンスに優れています。他の多彩な Google Cloud (GCP)の提供するサービスともシームレスに連携もでき、扱いやすいサービスの一つです。

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また、 BigQuery には、需要予測を行うための機械学習の仕組みである BigQuery ML が搭載されています。 BigQuery からデータを移動せずに機械学習モデル作成し、使い慣れた SQL で開発速度を向上できます。さらに、一般的な ML タスクや前処理などを自動化できる点も嬉しいポイントです。

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BigQuery に関心のある方は以下の記事がオススメです。

超高速でデータ分析できる!専門知識なしで扱えるGoogle BigQueryがとにかくスゴイ!

以下の記事で BigQuery ML の具体的な使い方をご紹介します。

こんなに簡単にできるの? Google Cloud (GCP)を活用した時系列分析のやり方を徹底解説!

データを可視化する Looker とは?

データは分析して終わりではなく、その分析結果を見える化して、今後の経営戦略に反映してこそ真の価値を発揮します。

一般的に、見える化には BI ツールが使われることが多く、 Google も Looker という BI ツールを提供しています。 BI ツールとは、企業に蓄積された大量のデータを分析し、分析したデータを可視化するためのツールです。

Looker は「次世代型の BI ツール」と呼ばれており、 Looker でデータを可視化することで様々な情報を取得でき、企業の経営活動の指針として活用することができます。次世代型 BI ツールと呼ばれているのは、今までの BI ツールのメリットを詰め合わせたツールになっているからです。

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Looker に関心のある方は以下の記事がオススメです。

次世代BIツール「Looker」の概要と導入時の注意点をご紹介!

データを組み合わせたサプライチェーンの最適化

ここまでご紹介した Google Cloud (GCP)の各種ソリューションを活用すれば、データのサイロ化をはじめとした SAP の課題を解決することができます。これにより、サプライチェーンの最適化を実現することが可能になります。

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さらに、顧客の洞察やオムニチャネルエクスペリエンスを実現でき、マーケティングや顧客の感情分析など、あらゆるシーンでデータを分析・活用し、データドリブンかつ生産性の高い経営基盤を構築できます。

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Google Cloud (GCP)を活用したデータ統合の簡素化

SAP の課題

Google が実施した調査によれば、 SAP 顧客のうち 52% が、データ統合を最大の問題点として挙げています。

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SAP では、データ連携が3つのレイヤーに分かれており、接続する層によって確認できるデータが変わります。そのため、すべての情報に対して一元的にアクセスできない点に加えて、 SAP のデータにアクセスしたい場合は SAP 専用のコネクターが必要になります。

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Google Cloud (GCP)のデータ統合ソリューション

Google Cloud (GCP)には、データを準備、変換、共有するためのデータ統合ソリューションが多数搭載されています。

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例えば、 Data Fusion を見てみましょう。 Data Fusion は Google Cloud (GCP)に内包されている ETL サービスであり、サーバーレスかつフルマネージドで提供されています。

ETL とは「 Extract (抽出)、 Transform (変換)、 Load (書き出し)」の略であり、企業内のあらゆるシステムからデータを抽出し、共有する機能を搭載したデータ統合を実現するためのツールです。

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Data Fusion は 100% クラウドで提供されており、多くの機能がデフォルトで用意されているため、様々なデータソースを組み合わせてデータ統合を行うことができます。また、追加コストなしで150以上の豊富なプラグインを利用できるため、あらゆる要件に対応可能です。

加えて、難しいコードを使う必要がなく、 GUI (Graphical User Interface :マウスだけで視覚的に操作できるインターフェース)で簡単に扱える点も Data Fusion の大きな特徴です。フィールドマッピングや CDC レプリケーションなど、多種多様な機能が用意されています。

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SAP 連携のまとめ

以下、 Google Cloud (GCP)と SAP を連携させるためのオプション一覧です。

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上図のうち、いくつか重要なポイントについて補足します。

まず、①は一般的な JDBC や JCo RFC など、 Java のライブラリを使用して SAP と連携するものであり、基本的にはすべてを独自で作らなければいけません。

次に、②は専用の SLT サーバーにインストールして SAP 連携が可能となっており、 SLT サーバーから直接 BigQuery にリアルタイムで書き込むことができます。

そして、③は複数の Source や Connector などが並んでおり、ユースケースごとに使い分けられるようになっています。

最後に、④は 3rd Party などの一般的なツールも使えることを意味しており、仮に自社で利用しているツールがあれば、それを使って SAP 連携を実現することも可能です。

それでは、 SAP 連携時に使用される代表的なツールについて順番に見ていきましょう。

SAP BQ SLT Connector

SAP BQ SLT Connector を使うことで、 SAP のデータを簡単に BigQuery へ送ることができ、リアルタイムなレプリケーションを実現できます。

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Data Fusion - Table batch source

Data Fusion には「 Table batch source 」が用意されており、これを活用することで、 CDS のビューやアプリケーションレイヤーに存在するものをレプリケーションすることが可能です。なお、 Data Fusion - Table batch source でレプリケーションを実行する際は、バッチでの処理になります。

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ODP (Operational Data Provisioning) Connector

ODP Connector はあらゆるデータにアクセス・取得することができ、バルクバッチでレプリケーションを実行できます。また、デルタベースのデータ抽出を行うことも可能です。

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Data Fusion SLT Replication

Data Fusion SLT Replication を活用することで、 CDC の仕組みを使い、 Data Fusion を経由して、リアルタイムにレプリケーションを実行できます。また、ジョブを簡単に制御できる点も大きなメリットです。

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ODATA Connector

ODATA Connector を使った場合、データは SAP 側のゲートウェイを経由し JSON 形式への変換や暗号化が施された上で、 Google Cloud (GCP)と連携を行うことができます。

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Google Cloud Cortex Framework とは?

最後に、 Google Cloud Cortex Framework について簡単にご紹介します。

概要

Google Cortex Cloud Framework は、データ連携を実行した後、より便利にデータ分析を進めることができるツールです。リファレンスアーキテクチャやパッケージ化サービスなどを使用することで、分析作業の高速化を実現します。

また、 Google Cloud Cortex Framework には多くのフレームワークテンプレートが用意されており、自社の状況に合わせて、柔軟に利用できる点も嬉しいポイントです。

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Google Cloud Cortex Framework のメリット

Google Cloud Cortex Framework には、大きく分けて以下4つのメリットがあります。

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それぞれのメリットについて、順番に見ていきましょう。

事前定義済みの運用データマート

Google Cloud Cortex Framework は SAP のデータやテーブルに基づき、事前に定義されたモデルへ変換してくれます。これにより、データを簡単なモデルで扱うことができ、自社の業務効率化や生産性向上に繋がります。

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機械学習テンプレート

Google Cloud Cortex Framework には、様々なユースケースに対応できる機械学習テンプレートが搭載されています。 SAP データを入力するだけで機械学習モデルを使うことができます。

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Looker ダッシュボード

Google Cloud Cortex Framework には Looker ダッシュボードが用意されているため、データマートや機械学習で綺麗になったデータを、この Looker ダッシュボードで見える化できます。これにより、データの特徴や傾向を掴みやすくなり、今後の意思決定に役立てることが可能です。

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ソリューションの拡張例

Google Cloud Cortex Framework は、データのモデル変換から Looker による見える化まで、一気通貫した処理を行うことができます。これにより、データ活用にかかる時間を大幅に削減でき、自社の生産性向上に繋がります。

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まとめ

Google Cloud Cortex Framework を活用することで、データを簡単に扱える形に変換し、効率的に分析を行うことができます。また、機械学習モデルのテンプレートが標準で用意されているため、予測やクラスタリングを実行することも可能です。

さらに、 Looker ダッシュボードのテンプレートが提供されているため、自社の状況に合わせて、データを可視化することができます。このように、 Google Cloud Cortex Framework は、様々なユースケースに対応できる高性能なツールであると言えます。

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以下、参考までに Looker テンプレートの一つをご紹介します。天気と売上の相関を示したものであり、データが人間の目にわかりやすい形でビジュアライズされています。

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まとめ

今回は、 SAP ERP データを Google Cloud (GCP)と組み合わせるメリットや Google Cloud (GCP)における簡素化されたデータ統合、さらに Google が提供するアーキテクチャ基盤である Google Cloud Cortex Framework についてご紹介しました。

SAP はとても便利なツールですが、使い方によってはデータのサイロ化など、思わぬ課題が発生することもあります。このような課題が顕在化した場合、自社のデータ活用はうまく進まなくなり、組織の生産性は大きく低下すると言えるでしょう。

このような場合、 Google Cloud (GCP)が非常に有効なソリューションになります。 Data Fusion や Dataflow などのデータ統合ソリューションを活用することで、より効率的なデータ活用を実現できます。また、 Google Cloud (GCP)と SAP を連携させるためのオプションも豊富に用意されており、これらを使えば、従来の SAP の課題を解決することが可能です。

さらに、 Google Cloud Cortex Framework により、データのモデル変換から Looker による見える化まで、一気通貫した処理を行うことができます。これにより、データ活用にかかる時間を大幅に削減でき、自社の生産性向上に繋がります。

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