アジャイル開発とは何か?メリット・デメリットや活用事例まで一挙に紹介!

アジャイル開発とは何か?メリット・デメリットや活用事例まで一挙に紹介!

アジャイル開発という言葉をご存知でしょうか?昨今、アジャイル開発はシステム開発における主流となっており、多くの企業が採用している開発手法ですが、正しく意味を理解していない方も多いのではないでしょうか?アジャイル開発をうまく活用することで、システム開発における柔軟性の向上やシステム開発までのリードタイム短縮など、様々なメリットを享受できます。

そこで、本記事ではアジャイル開発の基礎について解説した上で、メリットやデメリット、具体的な活用事例まで一挙にご紹介します。一体アジャイル開発とは、どのような開発手法なのでしょうか?早速内容を見ていきましょう。

アジャイル開発とは?

アジャイルは「機敏な」という意味の英単語である「 agile 」を語源としています。現在、アジャイル開発はシステム開発における主流となっており、多くの企業が採用している開発手法です。開発プロセスを複数の段階に分けて、機能単位の小さなサイクルで繰り返す点が大きな特徴となっています。

アジャイル開発では自社要件に優先順位づけを行い、重要なものから開発を進めていきます。そのため、優先度が高い機能から順番に実装し、徐々に1つの大きなシステムが完成するイメージです。

また、アジャイル開発とよく対比される言葉としてウォーターフォール開発があります。ウォーターフォールは「滝」という意味の英単語である「 waterfall 」を語源としています。ウォーターフォール開発もまた、多くの開発現場で利用されている開発手法であり、事前に決めたプロセス(流れ)に沿って開発を進めることから名前に「滝」が含まれています。

ウォーターフォール開発では、システムに実装するための機能や仕様をすべて決めてから開発がスタートします。そして、各工程を確実に完了させ、すべてのプロセスが終わるとシステムが完成するイメージです。

アジャイル開発とウォーターフォール開発はどちらも効率的な開発手法ですが、それぞれに異なるメリットとデメリットが存在します。そのため、両者の違いを正しく理解して、自社に最適な開発手法を選ぶことが重要になります。

自社に合った開発手法の選び方は、以下の記事でわかりやすく解説しています。

アジャイル開発とウォーターフォール開発との違いとは?自社に合った開発手法の選び方まで徹底解説!

アジャイル開発の種類

一口に「アジャイル開発」と言っても、その開発手法は多岐にわたります。本章では、アジャイル開発における3つの種類についてご説明します。

スクラム

スクラムは複数人が一つのチームを結成し、それぞれの役割を明確にしながら協力して開発を行うアジャイル開発の手法です。「スクラム」と聞くとラグビーの選手が肩を組み合っている姿を想像する方が多いと思いますが、ビジネスでも同じように、複数人のチームが協力し合って開発を進めることをスクラムと呼んでいます。

スクラムでは、各メンバーがそれぞれの役割を担って開発を進めていきますが、開発プロジェクトの責任は特定の人が負うのではなく、メンバー全員で共有するのが一般的となっています。そのため、チームとして協調しながら開発を行う必要があり、メンバー同士のコミュニケーションが重要になります。

エクストリーム・プログラミング

エクストリーム・プログラミングはプログラマーを重視した開発手法であり、開発途中の仕様変更や機能追加などを想定して開発を行います。日本語ではエクストリーム・プログラミングと呼ばれていますが、 XP という略称が用いられることもあります。

エクストリーム・プログラミングでは、途中で各種変更が発生することを前提として開発を進めるため、エラーや仕様変更などに対応しやすい点が大きな特徴です。一般的には、10人ほどのチームに適した開発手法だと言われており、エンジニア同士がペアを組んで、お互いに内容を確認しながら作業を進めていきます。

ユーザー機能駆動開発

ユーザー機能駆動開発はユーザー目線の機能価値を重視した開発手法であり、ログイン機能や購入機能などのユーザー向け機能を中心に設計や開発を行います。一般的には、開発が必要な機能ごとにチームを分けて、それぞれのチーム単位で作業を進めていきます。

また、ユーザー機能駆動開発はユーザー目線の機能価値を重視するため、常にユーザーが求めているものを把握する必要があります。積極的に市場調査を実施したり、クライアントと頻繁に打ち合わせを行ったりするなど、一種のマーケティング的な動きも重要になります。

アジャイル開発のメリット

アジャイル開発を活用することで、企業は様々なメリットを享受できます。代表的なものをいくつか見ていきましょう。

開発途中の仕様変更に強い

アジャイル開発は開発プロセスを複数の段階に分けて、機能単位の小さなサイクルで繰り返すため、開発途中の不具合や仕様変更に対して柔軟に対応できます。昨今、新しい IT の登場や消費者ニーズの多様化に伴い、システム開発にも高い柔軟性が求められています。そのため、開発途中の仕様変更に強い点は、アジャイル開発の大きなメリットだと言えるでしょう。

開発のリードタイムを短縮できる

アジャイル開発の語源である「 agile (機敏な)」という英単語が意味する通り、アジャイル開発には開発のリードタイムを短縮できる、というメリットがあります。優先度が高いものから順番に着手し、小さい単位ごとに開発を行うため、サービスインまでの時間を短縮できるのです。市場環境が激しく変化する現代において、スピーディーな開発は競合優位性の観点からとても重要なポイントになります。

サービスを運用しながら改善できる

最初から各開発プロセスにおける要件やスケジュールを決めるウォーターフォール開発では、仮に不具合が見つかった場合は全行程がやり直しになり、修正作業に膨大な時間が掛かります。その一方、アジャイル開発は優先度が高いものから順に開発を行うため、システム実装できたものは先行してリリースを行い、実際に稼働させながら残りの部分の開発を進めることができます。

そのため、仮にリリースしたサービスに不具合が見つかった場合は、その不具合を修正するとともに、その変更を反映した形で残りの部分の開発に取り組むことができます。このように、 PDCA サイクルを迅速に回せる点は、アジャイル開発の大きなメリットだと言えます。

アジャイル開発のデメリット

アジャイル開発には多くのメリットが存在しますが、その反面デメリットもあります。内容を理解して注意しておきましょう。

開発の方向性がブレるリスクがある

アジャイル開発においては、開発途中の不具合や仕様変更に対して柔軟に対応できる点がメリットだとお伝えしましたが、これは同時にデメリットになる可能性もあります。なぜなら、途中で仕様変更をすればするほど、当初の開発計画から方向性がずれていくためです。

もし当初の予定を無視して、顧客からの追加要件や仕様変更の要望をすべて受けてしまうと、元々のスケシュールよりも開発期間が長期化し、コストも大幅に増大してしまうリスクがあります。そのため、追加要件や仕様変更は必要最小限に留めて、可能な限り、最初に立てた計画に沿って開発を進めていくと良いでしょう。

開発プロジェクトの全体進捗が不透明になる

ウォーターフォール開発は、はじめから各開発プロセスにおける要件やスケジュールを細かく決めておくため、開発プロジェクトの進捗把握が容易になります。しかし、機能単位で開発を繰り返すアジャイル開発では、開発プロジェクトの全体感が不透明になる傾向があります。このリスクを最小限に抑えるためには、各開発チームが進捗報告を行う場を定期的に設けるなど、お互いに進捗を確認できるような運用の工夫が大切になります。

アジャイル開発を使うべきシーン

ここまでは、アジャイル開発のメリットとデメリットをそれぞれご紹介しました。それでは、アジャイル開発はどのような場面において効果を発揮するのでしょうか?いくつか具体的な例を挙げて、アジャイル開発を使うべきシーンをご説明します。

短期間での開発が必要なシーン

スピード優先で開発を進めたい場合はアジャイル開発がオススメです。自社の要件や実現したいことを明確にし、その上で優先順位付けを行なって、必要な部分からすぐに開発を進めることができます。システムの核となる部分が完成すれば、システムを利用開始しつつ、その他の箇所は運用を走らせながら並行して開発することも可能です。

開発要件が決まっていないシーン

漠然としたイメージだけが先行し、具体的な開発要件が決まっていない場合はアジャイル開発がオススメです。アジャイル開発は機能ごとに個別の開発サイクルを繰り返すため、状況の変化に応じて臨機応変に対応できます。社会環境の変化に応じて、開発要件やニーズが変わることは往々にしてあるため、このような可能性があるシーンではアジャイル開発を選択しておくと良いでしょう。

顧客が開発に携わるシーン

案件の中には、顧客がシステム開発に携わるケースもあります。この場合、自社のみで開発を進めるときと比較して、途中で仕様変更などが発生する可能性が高くなります。

そのため、顧客からの急な仕様変更や追加要望に対して柔軟に応えられるよう、アジャイル開発を選択するのがベストだと言えます。アジャイル開発は小さい単位ごとに開発チームを分けるため、顧客が開発プロセスの中に入り込みやすく、結果として顧客ニーズに沿った開発を実現できるのです。

アジャイル開発の活用事例

アジャイル開発は、具体的にどのように活用されているのでしょうか?本章では、民間企業におけるアジャイル開発の活用事例をご紹介します。

KDDI の災害通知メール

KDDI では、携帯電話の利用者向けに「登録エリア災害・避難情報メール」というものを提供していますが、このサービスを作るためにアジャイル開発を活用しています。

開発手法としてはスクラム開発を採用しており、プロジェクトの全体目的やゴールについて全員で認識合わせを行い、各チームで役割分担をした上で開発に臨みました。その結果、柔軟性を担保したまま迅速な開発が可能となり、プロジェクトは見事に成功をおさめました。

NTT データの決済サービス

NTT データでは「 CAFIS 」という決済サービスを提供していますが、従来は CAFIS のサービス運用において多くの課題が顕在化していました。サービスを運用する上で、組織としての柔軟性が欠如していた点に加えて、新しいテクノロジーに対応できなくなっていたのです。

そこで、これらの課題を解決するために、同社はアジャイル開発の専門組織を構築しました。社内インフラや開発プロセスを抜本的に見直した結果、決済サービスに必要となる安定した運用を実現しました。

鹿児島銀行のキャッシュレス決済サービス

鹿児島銀行では、口座を保有する顧客向けに「 Pay どん」というキャッシュレス決済サービスを展開しています。2019年6月には完全キャッシュレスの商業施設もオープンし、現在もそのサービスは順次拡大しています。

Pay どんの開発における大きな課題がスケジュールでした。商業施設のオープンに間に合わせる必要があったため、短いリードタイムの中で開発しなければいけなかったのです。そこで、アジャイル開発を採用して開発を進めた結果、無事に商業施設のオープン前に開発を完了させることができました。

デンソーの短期間でのサービスリリース

グローバルにビジネスを展開する自動車部品メーカーのデンソーでは、新サービスの開発スピードを高めるためにアジャイル開発を採用しました。開発プラットフォームとなるクラウド環境の整備やサービス開発を行うための専任組織を新設し、アジャイル開発で実際の開発を進めたのです。

その結果、半年間を要すると考えられていたサービスを約2週間で初回リリースすることができ、その2ヶ月後には、当初の想定を超える機能を、付加価値としてサービスに実装することができました。アジャイル開発によって組織の生産性が上がり、開発スピードを向上できた好事例だと言えるでしょう。

ANA システムズの開発内製化

ANA グループの IT 企業である ANA システムズでは、エアラインビジネスに関連するプロジェクトの受託開発やシステム運用まで、幅広いサービスを提供しています。同社では、 ANA グループ全体の生産性向上を目的として、開発の内製化に取り組んでいました。

そして、複数の PoC プロジェクトを同時並行で進めるための手段として、アジャイル開発を採用しました。これにより、様々な PoC を効率的に進めることができ、 PoC 完了後の本格的な開発についても、複数のプロジェクトをスムーズに進めることができました。

PayPal の開発生産性の向上

PayPal では、サービス設計を行う上で、積極的にアジャイル開発を採用しています。従来、アイデアを実際のサービスに反映するまで数ヶ月を要しており、社内のエンジニアや顧客から不満が出るなど、様々な点で課題が顕在化していました。

そこで、アジャイル開発の考え方を採用し、製品設計のモデルを社内指向から顧客指向の繰り返しモデルに変えました。これにより、開発作業を大幅に効率化でき、同社の生産性を約29%向上、開発チームの規模を8%縮小することに成功しました。

まとめ

本記事ではアジャイル開発の基礎について解説した上で、メリットやデメリット、具体的な活用事例まで一挙にご紹介しました。アジャイル開発について、理解を深めていただけましたでしょうか?

アジャイル開発をうまく活用することで、 開発の柔軟性向上や開発リードタイムの短縮など、様々なメリットを享受できます。市場環境や顧客ニーズが絶えず変化し、ビジネスにスピード感が求められる現代においては、アジャイル開発が強い武器になると言えるでしょう。

ただし、アジャイル開発はすべてにおいて万能というわけではなく、当然ながらデメリットもあります。開発の要件や内容によっては、アジャイル開発よりもウォーターフォール開発を採用した方が、効率よくプロジェクトを進められるケースも存在します。そのため、両者の違いを正しく理解して、自社に合った開発手法を選択することが大切です。

アジャイル開発とウォーターフォール開発は、開発手法の違いはあれども、自社で開発を行う点は共通しています。そのため、開発に必要な IT 人材がいなければ、開発を進めることはできません。自社だけでは開発を完結できない場合には、外部企業への開発依頼を検討しましょう。開発のプロに任せることで、クオリティの高いシステム開発を短納期で実施してくれます。

弊社トップゲートでもシステム開発のご相談を承っています。トップゲートは開発実績が豊富な点に加えて、専門的な知識を持つ人材が多数在籍しているため、安心して開発を任せることができます。また、蓄積したノウハウをもとに、お客様の希望の実現に向けて、様々な角度から具体的な提案を行います。

検討段階での無料相談も可能なので、少しでも気になっている方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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