Chromebookの法人向けブランド Chrome Enterprise の特徴とユースケースを徹底解説!

Chromebookの法人向けブランド Chrome Enterprise の特徴とユースケースを徹底解説!

本記事は、2021年9月1日に開催された Google の公式イベント「コラボレーションクラウドサミット」において、 Google の Chrome Enterprise Japan 統括部長である鈴木健一氏が講演された「誕生10周年!企業・自治体でも採用が加速する Chrome OS 」のレポート記事となります。

今回は、誕生10周年を迎えた Chrome OS の 内容に触れつつ、 Chromebook の法人向けブランドである Chrome Enterprise について、概要や特徴、用途別・シーン別のユースケースなど、あらゆる観点から一挙にご紹介します。

なお、本記事内で使用している画像に関しては、コラボレーションクラウドサミット「誕生10周年!企業・自治体でも採用が加速する Chrome OS 」を出典元として参照しております。

それでは、早速内容を見ていきましょう。

Chrome OSの市場動向

Chrome OS の歴史

はじめに Chrome OS の歴史をご紹介します。 Google は情報検索を強く重要視している会社であり、今も昔も「どうすればお客様に迅速かつ正確に検索結果を返すことができるのか」という点を追求してきました。

このような背景から、 Google は自社でブラウザを作り直し、2008年に Chrome ブラウザとしてリリースしたのです。そして、2010年には「コンピューターで情報検索をするために長い時間を要する」という当時の課題を解決するため、 Chrome ブラウザを拡張する形で Chrome OS を世の中に発表しました。

その後、2014年には日本国内での Chromebook 販売がスタートし、以降も機能拡張や体制強化、パートナーシップの強化など、あらゆる側面から Chrome OS は進化を続け、現在に至ります。このように、 Chrome OS は既に10年以上の歴史がある、という点をご理解いただければと思います。

歴史

文教市場における OS 導入状況

昨今、文教市場では GIGA スクール構想が大きな注目を集めています。 GIGA スクール構想は文部科学省が提唱しており、 ICT を活用することで教育の質を高め、教師や児童生徒の力を最大限に引き出すことを目的とした取り組みのことです。

GIGAスクール
※引用:文部科学省「 GIGA スクール構想の実現へ

GIGA スクール構想において、全国の文教機関が導入している端末の OS を見てみると、 Chrome OS が全体の43.8% となっており、 iOS や Windows をおさえて最も大きな割合を占めていることがわかります。現在、数多くの学校で Chromebook が利用されています。

OS状況

Chrome Enterprise とは?

ここで、法人向けの提案体制をご紹介します。 Chromebook はコンシューマー向けに提供しているサービスですが、法人向けには Chrome Enterprise というブランド名で展開しています。

Chrome Enterprise では、 Chromebook に法人向けの機能や体制を加えています。例えば、各マシンの設定を一元管理するためのユーザーインターフェースやクラウドからマシンをリモートロックする機能、 Google によるサポート窓口の提供などが挙げられます。

Chrome Enterprise

Google は、法人に Chrome Enterprise を導入することで、エンドユーザーの PC の運用負担を軽減し、本来注力すべき時間を増やせるように支援しています。一般的に PC 管理は多大な労力を要しますが、 Chrome Enterprise の活用により、管理工数を削減できる点は大きなメリットだと言えるでしょう。

Chrome Enterprise の特徴

強固なセキュリティを実現できる

Chrome Enterprise の1つ目の特徴として、強固なセキュリティを実現できる点が挙げられます。従来のレガシーシステムでは、安全にサービスを利用するために IT 部門が半永久的に運用を行う必要があり、アプリケーションやデータ、設定などはすべて端末に保存されていました。

一方、 Chrome Enterprise はクラウド時代の安全性の高いアーキテクチャを備えており、ユーザーのプロファイルはクラウドと同期されます。そのため、アプリケーションやデータ、設計などは端末に保存されることなく、セキュアな状態で守られます。

セキュリティ1

また、 Chrome OS はアプリケーションが OS の深いレイヤーを触れないように設計されています。そのため、 OS を常にクリーンな状態で保つことができ、 PC の電源を入れてからシステムが利用可能な状態になるまで、わずか6〜8秒という高速起動を実現しています。

OSレイヤ

さらに、 Chrombook には2つの OS が搭載されており、ユーザーが片方の OS を利用中の場合でも、その利用を妨げることなく、もう一方の OS を Google が更新します。情報システム部門が定めたポリシーに沿って更新できるため、安心して社員へ端末を配布することができます。

OS2枚

このように、 Chrome OS は強固なセキュリティが大きな特徴であり、その裏付けとして Chrome OS に対するランサムウェア攻撃は一度も報告されていません。この点が、企業や教育機関において Chrome OS のデバイスが積極的に採用されている理由の一つであると言えるでしょう。

一度もない

コスト削減を実現できる

Chrome Enterprise の2つ目の特徴として、コストの削減を実現できる点が挙げられます。例えば、 Chrome OS デバイスの販売価格は3万円〜10万円程度となっており、管理機能やサポートを付帯した場合は2万円が上乗せされます。

つまり、ハードウェアや管理機能、サポートを含めて、総額5万円〜12万円程度で導入できるわけです。また、ウイルス対策ソフトを個別に用意する必要はないため、従来のサービスと比較して初期費用を安く抑えることが可能です。

初期費用

さらに Chrome OS は Windows OS と比較して、導入までの期間を短縮化できます。そのため、導入にかかる時間的コストや手間の削減に繋がり、創出した時間を生産性の高い業務に充てることが可能になります。

導入時間

加えて、 Chrome OS は導入後のコスト削減にも大きく寄与します。過去、 Google 自身が社員に Windows を展開した際、「1,000台あたり95件」の問い合わせがヘルプデスクに寄せられましたが、 Chromebook 展開時の問い合わせ件数は「1,000台あたり19件」にまで減少しました。これにより、ヘルプデスク要員を減らすことができ、コストの削減に繋がりました。

そして、 Chrome OS であれば、ヘルプデスクに支援依頼が届いた場合でも、面倒な調査などを行う必要はなく、端末を初期化することで対応が完了します。初期化後に社員が再度ログインを行うことで、自動的にアプリケーションやデータ、設定が同期されるため、すぐに仕事を再開できます。

再起動

従来のプラットフォームでは、解析や復旧を行うために数時間を要するケースも珍しくありませんでした。しかし、 Chrome OS はわずか数分で作業が完了し、それもユーザー側の作業だけですべてが完結します。この点からも、いかにヘルプデスクの負荷を軽減できるのか、ご理解いただけるのではないでしょうか。

このように、 Chrome Enterprise は初期費用や時間的コストの削減を実現できるだけでなく、自社のヘルプデスクの工数低減や作業効率化にも直結するソリューションとなっています。

Chrome Enterprise のユースケース(直近のトレンド)

ここからは、具体的な Chrome Enterprise のユースケースをご紹介します。まずは直近のトレンドとして、下図に記載されている3点を見ていきましょう。

ユースケース1

以下、それぞれについて詳しく解説します。

VDI クライアントとしての利用

VDI とは、 Virtual Desktop Infrastructure の略語であり、デスクトップの仮想化を意味する言葉です。クラウドサーバーに存在するデスクトップの環境を、遠れた場所にあるクライアント端末に転送して利用します。

VDI の代表的な例としては、 VMware 社の VMware Horizon が挙げられます。昨今、この VDI と Chrome Enterprise を組み合わせて利用するケースが増えており、日本国内でも数千台クラスの導入事例が出てきています。

とある米国の商業銀行では、世界32か国で合計1万台もの Windows デバイスに対して Chrome OS を展開しています。これにより、65,000人という膨大な社員の在宅勤務を短期間で実現しました。

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リモート端末としての利用

リモート端末としての利用では、 Chromebook をセカンドデバイスとして社員に配布します。例えば、社員が会社に PC を置いてきた際、アプリケーションや設定はそのままにしておいて、外出先から Chromebook を2台目の PC として使うイメージです。そして、リモートデスクトップで自身のアプリケーションやファイルにアクセスします。

この Chromebook の活用方法は、 VDI を構築するほど経済的な余裕がない場合や、短期間でリモートワーク環境を作りたい場合に多く利用されるユースケースとなっています。 Chromebook はコストを抑えられることに加えて、サーバー側の面倒な設定変更が不要なため、気軽に使うことができます。

とある米国の商業銀行では、新型コロナウイルスの影響により、数万人の従業員に対して在宅勤務の環境を整備する必要がありました。そこで、 Chromebook の大量導入に舵を切り、現在では44,000 人が Chromebook を活用したリモートワークを実践しています。

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コールセンター用端末としての利用

昨今、コールセンターの機能を在宅環境で実現するために、 Chromebook を活用しているケースが増えています。国内外を問わず、数多くの企業が Chromebook を使ってコールセンターの働き方改革を推進している状況です。

米国のリテール金融事業者である Synchrony 社では、6,000人のコールセンター要員を在宅環境へ移行する必要がありました。そこで、6,000台の Chromebook を導入し、わずか数週間で在宅ワークの環境を整備しました。

3

Chrome Enterprise のユースケース(フィールド)

次に、フィールドにおける Chrome Enterprise のユースケースをご紹介します。ここでご紹介するのは、下図に記載されている3つの活用シーンです。

ユースケース2

以下、それぞれについて見ていきましょう。

営業マンによる接客

不動産業界のオープンハウスでは、 Google Workspace と Chromebook をセットで営業マンに配布しています。接客時の活用は当然ながら、外出先での持ち運び用デバイスとしても Chromebook を活用しています。

不動産という特性上、顧客の年収や住所、家族構成などの個人情報を取り扱うことが多く、 PC 端末に情報が蓄積されていくのはリスクだと判断したため、クラウド型のデバイスである Chromebook が採用されました。

設置や保守点検の現場

製造業界のフジテックでは、 Google Workspace と Chromebook をセットで保守員に配布し、エレベーターやエスカレーターの保守現場で活用しています。リモートデスクトップで社内環境にアクセスすることで、保守現場に居ながら社内の図面情報を閲覧できる仕組みを実現しました。

店舗のバックヤード業務

小売業界のノジマでは、店舗のバックヤード業務で Chrome OS を活用しています。 Google Workspace での情報連携はもちろん、 Web アプリケーションを使った在庫マネジメントなどの利用も進んでいます。

Chrome Enterprise のユースケース(その他)

ここまで、 Chrome Enterprise の直近のトレンドやフィールドにおけるユースケースをご紹介しましたが、他にもさまざまなユースケースが存在しています。

以下、 Chrome Enterprise の個別ユースケースの事例を並べています。

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このように、 Chrome Enterprise は業種を問わずに導入されており、多くの用途で活用されていることがご理解いただけると思います。

まとめ

本記事では、誕生10周年を迎えた Chrome OS について、市場動向や特徴、実際のユースケースまで一挙にご紹介しました。 Chrome OS は継続的に進化を遂げてきたサービスであり、現在では数多くのユーザーに支持されています。

そして、 Google は法人向けのブランドとして Chrome Enterprise を展開しており、企業が Chrome Enterprise を活用することで、セキュリティの強化やコスト削減など、さまざまなメリットを享受できます。

なお、 Chromebook には数多くのモデルの選択肢があり、用途やニーズに応じて自社に最適なものを選べるようになっています。重さや大きさ、性能によって価格帯が異なるため、予算と相談しながら豊富なラインナップからデバイスを選択できます。

モデル

また、 Cloud Ready という製品を使えば、旧来の古い PC を有効活用できます。 Cloud Ready を PC 端末にインストールすることで、 Chrome 端末に変身させることができるため、セキュリティや管理面において Chromebook と同等の優位性を享受できます。

このように、 Chrome Enterprise は多種多様なサービスを提供しており、今もなお進化し続けています。自社の業務効率化やコスト削減を実現するために、ぜひ Chrome Enterprise の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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