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AI がもたらすスポーツの変化とは?スポーツ業界における AI の活用事例11選!
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近年、あらゆる産業で AI が活用されています。人間よりも速く正確にさまざまな作業を実行できる AI は現代社会において必要不可欠な存在と言えるでしょう。
AI 導入が進んでいる分野の一つがスポーツであり、多くのシーンで AI が効果的に使われています。本記事では、スポーツ分野における AI について、活用事例を交えながらわかりやすくご説明します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
AI とは?
AI とは「 Artificial Intelligence 」の略であり、日本語では人工知能と呼ばれていますが、実は AI の明確な定義は定まっていません。学術的に見ると AI は幅広い捉え方をされており、専門家の間でも意見が分かれています。
ひとつ例を挙げると、東京大学の松尾豊教授は、自書「人工知能は人間を超えるか」の中で AI を以下のように表現しています。
「人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術。人間のように知的であるとは、気づくことができるコンピュータ、つまり、データの中から特徴量を生成し、現象をモデル化することの出来るコンピュータという意味である。」
一方、辞書的な観点で見ると、大辞林(第三版)には「人間の知能と同じ機能を有したコンピューターシステム」と記載されています。普段、 AI という言葉を使う際には、このようなイメージで捉えている方が多いのではないでしょうか。
従来、コンピューターの仕事は決められたルールに沿って計算を行うような単純処理がメインでした。しかし、 AI の登場により、学習、推論、判断などの人間と同等、もしくはそれ以上の高度な作業をコンピューターで行うことが可能になりました。
AI に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
【あなたは知っている?】AI(人工知能)の仕組み、作り方、活用事例まで徹底解説!
AI がスポーツ業界で注目されている背景
日本政府はスポーツを国の重要産業として位置づけており、2025年には市場規模を15兆円に拡大するとの目標を掲げています。2015年時点での日本におけるスポーツ産業の市場規模は5.5兆円であるため、10年で2.7倍の成長を見込んでいることになります。
スポーツ産業の特徴として、魅力的なドラマ性と産業の裾野の広さが挙げられます。2020東京オリンピックが記憶に新しいと思いますが、スポーツには人を感動させる力があり、同じ競技を何度繰り返しても飽きられることはありません。また、スポーツ産業は他のビジネスと密接に繋がっており、飲食や旅行をはじめとして様々な産業と隣り合わせの関係です。
さらに、スポーツの様子を録画して IT と組み合わせることで、コンテンツを2次利用して収益力をアップできます。このように、スポーツは計り知れない可能性を秘めた産業であるため、最先端の AI を活用してさらなるビジネスチャンスを模索する流れが加速しているのです。
加えて、スポーツはその特性上、 AI との親和性がとても高く、あらゆるシーンにおける活用が期待できます。次章以降で、スポーツ業界における AI 活用について詳しく解説します。
AI でスポーツ業界はどのように変わるのか?
昨今、 あらゆる分野で AI の導入が進んでいますが、その代表的な例がスポーツ業界です。スポーツ業界は AI の活用により、これまで不可能だったことを数多く実現しています。
本章では、 AI の導入によってスポーツ業界がどのように変わるのか、複合的な視点からご説明します。
データドリブンな戦略立案
AI を活用すれば対戦相手の動きをシミュレーション可能になり、格闘技などの戦略立案に応用できます。これまでは対戦相手のデータをもとに人が分析を行い、監督が戦略を立てるのが一般的でしたが、 AI を活用することで経験や勘に依存しないデータドリブンな戦略策定に繋がります。
リアルタイムな選手情報の取得
現在も選手情報の取得は可能ですが、個々の観客が欲しい細かいデータまでは網羅されていません。 AI の導入により、選手の細かいデータをリアルタイムで取得できるようになるため、目の前で行われている試合に関するデータを瞬時に得ることも可能になります。これにより、スポーツ観戦の楽しみ方が広がり、スポーツ観戦者の体験はさらに豊かなものになります。
動的な競技シーンの生中継
スポーツの中には、選手の動きが激しくて中継が難しいものが存在します。代表的な例としてロードレース競技が挙げられますが、ここでは AI を活用した自動追尾ドローンによる効果が期待されています。自動追尾ドローンを導入することで、さらに臨場感のある映像を見ることができ、スポーツ観戦者に新しい価値を提供することができます。
会場の混雑状況の予測
AI の予測分析を活用すれば、過去のデータにもとづいてスポーツ会場の混雑状況を予測することができます。これにより、スポーツ観戦者の目線ではイベント会場に行くかどうかの判断材料になりますし、会場運営者の目線では適切な人員配置が可能になります。
選手のケガの自動予測
特定選手における練習メニューや試合の結果、体調、ケガの履歴などの過去データを蓄積・分析することで、 AI がケガを自動予測するような運用を実現できます。従来は選手自身が主観的に判断していた部分ですが、 AI の活用により、客観的な視点からコンディションを把握することが可能になります。
スポーツ業界の AI 活用事例11選
AI がハイライト動画を自動作成する
テニスのウィンブルドン選手権では、毎年何百時間もの映像がデータとして残されています。これまでは人間が動画をすべて視聴し、盛り上がる部分だけを切り取ってハイライト動画を作成していました。
しかし、膨大なデータから動画を作成するのは容易ではなく、作業者の負担が課題として顕在化していたため、その解決策として AI が導入されました。ファンの歓声や選手の動き、試合のデータなどをもとにして、観客の興奮度を AI が総合的に判断し、ハイライト動画の作成に活用されています。
AI がフォームの癖を修正する
とあるテニススクールでは、 AI を活用してスクール生のフォームの癖を修正しています。カメラとそのカメラの映像を映し出すための iPad を導入し、カメラで映し出された「自分がボールを打つフォーム」と「理想的なフォーム」の乖離を見つけ、癖の改善に役立てています。
人間が指導をする場合、日によって判断基準が変わってしまうリスクがありますが、 AI にあらかじめ理想的なフォームを学習させておくことで、常に一定の基準でスクール生のフォームを改善することができます。
AI がテニスボールの落下判定を行う
プロテニスの試合では「ホークアイ」という機械が採用されており、ボールの落下点を自動で判断しています。また、最近ではアマチュアの試合でも同様のデバイスが導入されています。
これらの機械はネットに装着したあと、電源を入れると自動的にコートをスキャンします。そして、デバイスに搭載している AI でボールの落下点を判別し、光るライトの色でボールの IN と OUT を表現します。
従来、ボール判定は人間が行っていたため、精度の面で課題があったり、選手の目線では不満が募ることもありました。しかし、 AI の導入によって客観的かつ正確な判断が可能になり、試合のスムーズな進行が実現しています。
AI が選手のバスケコーチを担当する
とある女子バスケチームでは、 AI が選手のバスケコーチを担当しています。体育館の天井には AI を搭載したカメラが複数設置されており、選手全員の動きを追跡してフォーメーションやシュートの様子を認識・記録します。
記録された映像はパソコンに転送され、ディスプレイにシュートの成功・失敗などが分布図で表示されます。さらに、それぞれのポイントをクリックすることでシュート場面の映像を再生できるため、各種データを分析に活用できるだけでなく、練習用の教材としても利用可能です。
AI が体操競技を自動採点する
従来、体操競技の採点は人間が目視で行なっており、その基準はどうしても採点者の主観に依存する部分がありました。しかし、最近では多くの選手が高難易度な技を繰り出すようになり、瞬時に正しい採点を行うことが難しくなっています。
そこで、日本体操協会は、体操競技における「技の完成度」を数値で表現するシステムの開発に着手することにしました。 AI の活用により、選手の複雑な動きを瞬時に捉えてデータ化し、その情報をもとに客観的かつ正確な採点を行います。
このように、客観的な数値データを採点に用いることで判定に対する納得感を高め、公平性を担保することができます。また、 AI が解析したデータを会場の観戦者やテレビ視聴者へ提供することで、体操競技に対する理解の深化が期待されています。
AI がサッカーの試合展開を予測する
サッカーの結果予想と言えば toto が有名ですが、実は AI を活用してサッカーの戦況予想を行うためのツールが開発されています。蓄積した膨大な過去データをもとに、 AI が toto 対象試合の戦況や勝敗を予想するものです。
このツールでは、予測の精度を高めるために幅広いデータを学習させ、試合展開のシミュレートを100回も行います。そして、スターティングメンバーや選手の動き、選手の退場、天候など、あらゆる要素を加味しながら予測を実行します。
AI が野球の試合解説を行う
2017年のプロ野球日本シリーズでは、 NHK の実況に AI が採用されました。このシステムは「 ZUNO さん(ズノさん)」と呼ばれており、ディープラーニングによって2004年以降の過去データを学習させ、試合の展開を予測・解析するものです。
ZUNO さんは、人間では到底予測できない困難な解析を実行し、視聴者の楽しみを倍増させました。従来、プロ野球の実況はアナウンサーやプロ野球界の OB が務めるケースがほとんどでしたが、 AI の導入により、今までとは一味違った新しいスポーツ解説を実現した事例となっています。
AI がバスケ試合のチケット価格を判断する
とあるプロバスケットボールチームでは、試合ごとの需要に応じてチケットの価格を変動するための仕組みを AI で構築しました。試合日程や対戦相手、座席の種類などを分析し、過去実績をもとに独自の価格算出を行います。
同様の作業を人間が行うのは作業工数の観点から非現実的であるため、膨大なビッグデータを効率的に分析できる AI だからこそ、実現できた事例だと言えるでしょう。
AI が選手のメンタルサポートを行う
従来、スポーツ選手のメンタルサポートは専門のメンターやコーチがその役割を担っていましたが、最近では AI がメンタルサポートを行う事例も登場しています。この機器はイヤホン型の形状をしており、身に付けることで心拍数や道路の勾配、移動速度などのランニングデータを計測して蓄積・分析します。
分析結果をもとに今後のトレーニングメニューを決めることもできますし、悩んだときは AI に相談することも可能なため、健康なメンタルを維持できます。さらに、睡眠時間や生活習慣の記録と併用すれば、高いパフォーマンスを発揮するための自己管理にも繋がります。
AI が選手のコンディションを確認する
前項ではメンタルサポートの事例をご紹介しましたが、選手自身のコンディションを確認・サポートするためのアプリも存在します。これはウェアラブルデバイス(頭や腕など身体に装着できる機器)で生体データを取得し、その情報を AI で管理・解析するものです。
運動による疲労度や睡眠による回復度を計測するだけでなく、得られた結果にもとづいて必要な睡眠量を算出し、理想の起床時間を AI が提案してくれます。さらに、運動に対する指導や目標達成度まで表示されるため、モチベーション維持にも寄与するデバイスとなっています。
AI が食事メニューを作成する
選手の状態に合わせて、 AI が食事メニューを提案するアプリも存在します。これはスポーツ栄養士による食事指導が受けられるものであり、事前にインプットされた膨大な食事データをもとに、選手が食べた料理の栄養価を算出します。
「試合の前」や「試合の後」など、シーンに応じて提案を使い分けたり、競技内容やポジションごとに理想の食事を点数化するなど、食事指導に特化したソリューションとして、スポーツヘルスケア業界でのさらなる活用が期待されています。
まとめ
本記事では、スポーツ分野における AI 活用について、事例を交えながらわかりやすくご説明しました。
スポーツ分野の様々なシーンにおいて、 AI が活用されていることをご理解いただけたのではないでしょうか。 AI の可能性は無限大であり、アイデア次第ではあらゆる場面における業務効率化や価値向上を実現できます。
特にスポーツは AI と相性が良い分野であるため、使い方によっては革新的なイノベーションを起こすことが可能です。さらに、スポーツはこれからも拡大していく市場であり、多くのビジネスチャンスが眠っている点も重要なポイントです。
本記事を参考にして、ぜひ AI の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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