過去データから将来を予測する「時系列予測」とは何か?概要、メリット、種類、活用事例まで一挙に紹介!

過去データから将来を予測する「時系列予測」とは何か?概要、メリット、種類、活用事例まで一挙に紹介!

時系列予測という言葉をご存知でしょうか?企業が保有する様々なデータから将来の姿を予測するためのアプローチであり、多くの企業が活用している予測手法です。

本記事では、時系列予測の基礎的な内容から、メリット、種類、活用事例まで一挙にご紹介します。自社で時系列予測を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

時系列データとは?

時系列予測について考えるためには、はじめに時系列データを正しく理解する必要があります。

時系列データとは、時間の経過とともに定点観測されたデータのことであり、代表的な例としては株価、気温、売上金額などが挙げられます。これらは時間の流れに合わせて順番に並べられるデータであり、その順番自体が重要な意味を持っています。そのため、時系列データは「データの順番を並び替えることはない」という特徴を持っています。

大きく分類すると、時系列データは以下の2種類に分けられます。

種別 概要
一変量 1つの時系列のみで構成されているデータ 日付、売上
多変量 2つ以上の時系列で構成されているデータ 日付、売上、気温、株価、広告費など

また、時系列データの構成要素としては「季節性」と「トレンド」があります。季節性は日付や曜日など一定の周期ごとに発生するパターンのことであり、トレンドは過去データから予測される数値傾向のことです。加えて、その他の変動要素を「ランダム性」として時系列データに組み込むこともあります。

時系列
※出典:Google Cloud Day : Digital ’21 「 Google Cloud で時系列分析を試してみた-ベストなソリューションは?-

時系列予測とは?

時系列予測とは、時系列データを分析することで得られた傾向や特徴から、将来の姿(データ)を予測するためのものです。企業が保有するデータは単に存在しているだけでは意味がなく、将来に向けて活用することで初めて意味を為します。

過去の長期間にわたるデータをもとに分析することで、将来の需要予測や計画策定の参考材料になります。企業における経営判断は属人的な勘や経験によるものではなく、データドリブン(様々なデータをもとに意思決定を行う業務プロセス)である必要があります。

その意味では、時系列予測は時間の流れとともに規則正しく並べられたデータを活用できる点に加えて、あらゆる変動要素を加味して予測を実行できるため、高精度かつ有益な情報を得ることができます。

例えば、「暑い夏にはアイスが売れる」のような季節性を考慮したデータ変動も含めた予測が可能であり、新規事業の立ち上げや自社製品の需要予測など、時系列予測は適切な経営判断を行う上で大きく役立ちます。

社会変化が激しい現代において、時系列予測はとても重要なアプローチであり、多くの企業が実業務の中で活用しているデータ予測手法の一つです。

時系列予測を活用するメリット

高精度な予測を行うことができる

従来、将来の姿を予測するためには、少なからず人間の勘や経験に頼ってしまう部分がありました。しかし、これらはあくまでデータに基づかない定性的であることが多く、様々な変化に柔軟に対応することはできません。

その点、時系列予測は過去のデータから将来の姿を導くものであるため、一定の精度が担保されており信頼性も高くなります。さらに季節的な要因も考慮できるため、あらゆる状況下において最適な予測を実行できます。

自社の業務効率化を実現できる

時系列予測は、あらかじめ定められたモデルに従って自動的に分析・予測を進めていく手法です。そのため、人が煩雑な作業を行う必要はなく、自社の業務効率化や生産性向上に大きく寄与します。

人間が予測を行う場合、直接的な業務負荷だけでなく、担当者が異動・退職する際の引き継ぎや複数担当者間におけるスキルの平準化も課題になります。しかし、時系列予測はモデルがあれば誰でも実行可能ですし、人によって結果が変わることもありません。

コストの最適化を図ることができる

時系列予測を活用して需要予測を行う場合を考えてみましょう。適正な需要予測ができていない場合、在庫過多に陥って無駄なコストが発生してしまうリスクがあります。

しかし、時系列予測で適切な需要を見極めることで正確な予測値を得ることができ、在庫の適正化や適切な設備投資、人材配置を行うことが可能になります。このように、時系列予測は会社全体のコスト最適化にも繋がります。

時系列予測の種類

非季節手法

非季節手法は、扱うデータが季節的な要因を含まない場合に適した予測手法です。大枠の理解としては「グラフの谷と山が不規則に表れるデータ」が季節的な要因を含まないデータと言えます。

また、一口に非季節手法と言っても多くの種類があります。以下、代表的なものを表にまとめます。

シングル移動平均法 直前の数期間の平均を将来に投影して実測データを平滑化する
シングル指数平滑法 過去になるにつれて指数的に減少する重みを使って実測データのすべてに重み付けを行う
ダブル移動平均法 シングル移動平均法を「実測データ」「シングル移動平均化データ」に順番に適用する
ダブル指数平滑法 シングル指数平滑法を「実測データ」「シングル移動平均化データ」に順番に適用する

季節手法

季節手法は、扱うデータが季節的な要因を含む場合に適した予測手法です。例えば、「夏が近づくと半袖シャツの売り上げが伸びる」などが挙げられます。大枠の理解としては「グラフの谷と山が規則的に表れるデータ」が季節的な要因を含むデータと言えます。

非季節手法と同様、季節手法も複数の種類に分けられます。以下、代表的な2つの手法をご紹介します。どちらも特定のデータ系列を「季節性」「周期」「誤差」の成分に分けてそれぞれの値を決定し、それらを将来に反映し再構築することで予測を作成します。

加法型季節平滑法 時間に対して増加をしていない季節性のあるデータに適している
積乗型季節平滑法 時間に対して増加をしているような変動性の高いデータに適している

ARIMA モデル

ARIMA モデルは、ある時点のデータとその直近の値との関係性を分析し、それらの関係性が維持されるという仮定で将来の値を予測する手法です。傾向や季節性が存在するような、時間経過とともに変化するデータを扱う場合に適しており、季節性循環を再現する曲線的な予測になります。

ARIMAモデルは、 AR (自己回帰モデル)と MA (移動平均モデル)の2つのモデルを組み合わせて構成されており、日本語では「自己回帰和分移動平均モデル」と表現されています。

ARモデルは過去のデータをもとに現在の値を予測する手法であり、MAモデルは過去の分析指標と実際の値の間にある誤差を考慮して将来のデータ推移を予想する手法です。 ARIMA モデルはこれら2つのモデルが組み合わされているため、非定常の過程にも柔軟に対応でき、かつ、予測精度も高いというメリットがあります。

これらの理由から、 ARIMA モデルは様々なシーンにおける時系列予測で積極的に活用されています。

重回帰分析

重回帰分析は、データ変動をいくつかの変量と係数を用いて予測する手法です。重回帰分析を活用することで、2つ以上の説明変数が目的変数に与える影響度合いを分析できます。

重回帰分析は主に要因分析や予測分析を行うために使用されることが多く、目的変数にどのような要素がどの程度影響しているのかを把握できるため、得られたデータを今後の経営戦略に反映していくことが可能になります。

時系列予測の活用事例

農業

農業分野では、時系列予測を活用したフードロス削減の取り組みが始まっています。野菜の過去の販売量や価格などを時系列データとして分析することで、将来の需要や価格を高精度に予測し、野菜の廃棄量削減や販売機会の損失防止を実現しています。

小売業

とある大型百貨店では、価格や陳列棚の数、客数、気温や降水確率、曜日ごとの特性などを分析することで、適正な販売予測数を自動算出しています。これにより、店舗担当者は需要予測に手間をかけることなく、効率的な発注を実現しています。

タクシー業

タクシー業界では、運行実績や周辺のイベント情報などをもとにタクシーの需要を予測しています。また、気象情報や公共交通機関の運行状況といったタクシー需要に直接的に影響するデータも取り込み、時系列予測の精度をさらに高めています。

不動産業

とある不動産会社では、時系列予測に AI を活用し、不動産価値の将来予測や投資プランのシミュレーションが可能なサービスを展開しています。これにより、人手をかけることなく不動産オーナーの満足度向上と経営サポートが実現可能になりました。

時系列予測には Google Cloud (GCP)がオススメ

時系列予測を行うためのサービスは多く存在しますが、せっかく導入するのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。

Google Cloud (GCP) は Google が提供しているパブリッククラウドサービスです。同じ種別のサービスとしては、 Microsoft 提供の Azure や Amazon 提供の AWS などが挙げられます。

Google Cloud (GCP) は 「 Gmail 」や「 YouTube 」などの有名サービスで実際に動いているプラットフォーム技術をそのまま使用でき、非常に高いインフラ性能を誇ります。コンピューティングやストレージをはじめ、様々な機能が搭載されています。

本来、時系列予測を実行するには専門的な知識や煩雑な作業が必要になりますが、この Google Cloud (GCP)に内包されている BigQuery ML や AutoML Forecasting を活用することで、手間なく時系列予測を行うことが可能になります。

特に ARIMA モデルにおいては、予測にかかる長い時間や手間が大きな懸念点となっていましたが、 Google Cloud (GCP)は見事にこの課題を解決しました。誰でも簡単に直感的な操作だけで精度の高い時系列予測を行うことができます。

以下の記事で Google Cloud (GCP)を活用した時系列予測の具体的な手順を解説していますので、どれだけ簡単に実現できるのかをぜひご確認ください。
こんなに簡単にできるの? Google Cloud (GCP)を活用した時系列分析のやり方を徹底解説!

まとめ

本記事では時系列予測の概要、メリット、種類、活用事例まで一挙にご紹介しました。企業が経営判断を行う上では、時系列予測がとても重要な役割を持っています。高精度な予測を実現できる点はもちろん、自社の業務効率化やコストの最適化にも直結します。

時系列予測の手法は多岐にわたるため、自社の目的や扱うデータの特徴を踏まえて、最適な予測手法を選択してください。正しい手法を選ぶことで、時系列予測の効果を最大化でき、自社にとって価値の高いデータを得ることができます。

そして、せっかく時系列予測を行うのであれば Google Cloud (GCP)の導入がオススメです。直感的なインターフェースで、専門知識を持っていない人でも簡単に高精度な時系列予測を行うことが可能です。 Google Cloud (GCP)には予測以外にも様々な機能が搭載されている点も嬉しいポイントです。

本記事を参考にして、ぜひ Google Cloud (GCP)の導入を検討してみてはいかがでしょうか。



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