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チャットボット導入でコスト削減!Google Cloudでチャットボットを作ってみよう!
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最近、多くの企業のWebサイトでチャットボットが導入されているのを見かけます。チャットボットを導入する理由は、サポートデスクにかかるコストを削減するためです。これらのチャットボットは、ユーザーが入力した質問に対して、自然言語を解析する人工知能サービスが予め用意されている回答のデータベースの中から適格な返答を検索し、表示します。
今回、GoogleのクラウドサービスであるGoogle Cloud Platform(GCP)を利用して、人工知能型チャットボットを作成する方法を紹介します。
※弊社のビンゴ大会でチャットボットを使用した際の記事も最後のご紹介しております。
目次
GCPの自然言語解析サービス「Dialogflow」
Googleの自然言語解析サービスは、「Dialogflow」と言います。
Dialogflowは、「Dialogflow ES」と「Dialogflow CX」の2種類があります。ESは、Essentialsの略で、「Dialogflow ES」は、小規模エージェントとシンプルなエージェントに適した標準エージェント タイプを提供します。
「Dialogflow CX」は、大規模なエージェントや非常に複雑なエージェントに適した高度なエージェント タイプを提供します。これを執筆している時点では、「Dialogflow CX」はベータ版での提供のみとなっているため、今回は「Dialogflow ES」の利用について、説明します。
自然言語とは?
さて、そもそも自然言語とは何でしょうか?
自然言語とは、人が会話するときの言語や書籍の文体に著されている言語のように、日常的な表現で用いられる言語のことを言います。例えば、アメリカでいちばん標高が高い山をインターネットで調べるときを考えてみましょう。検索エンジンには、”アメリカ”・”山”・”標高”・”いちばん高い”など、複数のキーワードを組み合わせて検索します。これは、自然言語による検索ではなく、「キーワード検索」と言います。
これに対し、自然言語で検索する場合、「アメリカでいちばん標高が高い山の名前は何ですか?」のような会話形式の言語で質問することができます。
Dialogflowにおける自然言語処理の仕組み
Dialogflowには、質問と回答の一覧を記憶させることで、例えば特定のサービスに特化したサポートを行うチャットボットを作成することができます。その際、言語の表現による違いや方言の違いなどのため、同じ内容の質問であっても、言い回しがいくつも考えられます。例として、関西弁では「いくら」の意味として、「なんぼ」という方言を使います。
自然言語を解析する人工知能は、「この商品の値段はなんぼ?」という質問に対し、「この商品の値段はいくら?」という意味があることを理解しなければなりません。Dialogflowには、こういった言語の表現による違いや方言の違いなどを覚えさせることができるため、「この商品の値段はなんぼ?」という質問に対しても適格な回答を返すことが可能です。
Dialogflowは、Google Homeのスマートスピーカーによって音声認識した自然言語の質問に対して回答を返すこともできますし、SlackやLINEなどの他社のチャットシステムに組み込むことも可能です。Dialogflowによって解析された自然言語は、Googleのクラウドサービス上に存在する適切な回答を検索します。
Dialogflowを活用してチャットボットを作成する手順
Dialogflowの利用手順としては、次のようになります。
- 「Agent」というDialogflowの利用単位を作成する
- 会話のシーンごとに「Intent」という単位を作成し、そのIntentに該当する質問と回答のリストを作成する
- 想定した質問に対してうまく回答できるかどうかのテストを行う
- 専門用語や方言などの言い回しの違いを「Entity」として作成し、さらにテストを行って精度を上げる
といった手順となります。 「Agent」、「Intent」、「Entity」などの言葉の説明は後ほどいたします。
Agentを作成する
では、Dialogflowを使ってみましょう。DialogflowのURLにアクセスし、「CREATE AGENT」をクリックします。次のようなページが表示されます。
このページでは、Dialogflowを利用する「Agent」の名前、言語、タイムゾーン、プロジェクト、Agentタイプを選択します。Agentは、Dialogflowを利用するための単位です。Agentを複数使い分けることにより、Agentごとにタイムゾーンや言語、プロジェクトを使い分けることができます。
また、GCPでは、プロジェクト単位でサービスを利用します。もし、既にGCPで作成したプロジェクトがあれば、そのプロジェクトを「GOOGLE PROJECT」から選択することができます。Agentタイプは、複数のDialogflowのAgentと1つのAgentとして利用するかどうかを選択します。言語とタイムゾーンについては、日本であれば、言語には「Japanese – ja」を、タイムゾーンには「Asia/Tokyo」を選択します。
入力した内容で新たなAgentを作成するには、右上の「CREATE」をクリックします。
Intentを作成する
Agentを作成すると、次のようなページが表示されます。
このページでは、AgentごとにDialogflowの設定を行います。では、まずは「Intent」を作成しましょう。Intentとは、会話のシーンを表す単位です。たとえば、人と出会ったときに挨拶であったり、人と別れるときの台詞であったり、さまざまなシーンをIntentとして作成します。
Intentを作成するには、左側のメニューから「Intents」をクリックします。Agent作成時、すでに2つのIntentが作成されています。「Default Welcome Intent」と「Default Fallback Intent」の2つです。
「Default Welcome Intent」は、出会いの挨拶におけるメッセージが登録されており、「Default Fallback Intent」は、返答内容がわからない場合に表示するメッセージが登録されています。それぞれ、すでに登録されている内容を削除したり、新たに追加したりすることができます。
新たなIntentを追加するには、「CREATE INTENT」をクリックします。「CREATE INTENT」をクリックすると、次のページが表示されます。
このページでは、Intentの名前と、このIntentで使用する、ユーザーからの想定される質問とそれに対する回答の組み合わせを登録します。例として、ユーザーから名前を聞かれたら、どのように回答するかを設定するIntentを作成してみましょう。まずは、「Training phrases」から「ADD TRAINING PHRASES」をクリックします。
Training phrasesでは、質問の内容を入力します。上の画像のように、想定される質問の内容を列挙します。質問の内容を入力したら、次にそれに対する回答を入力します。回答は、「Responses」で入力します。「ADD RESPONSES」をクリックし、回答の候補を入力します。
Training phrasesと同様、回答を列挙します。
入力し終えたら、右上の「SAVE」をクリックし、入力した内容を保存します。Training phrasesとResponsesを入力し、保存したら、その内容がDialogflowに反映されているか、テストしてみましょう。テストは、右上にある「Try it now」で行います。さきほどTraining phrasesに入力した質問をしてみましょう。
Responsesに入力した回答の中から、ランダムに1つの回答が選ばれて表示されるのを確認できます。その際、質問の内容は人工知能による自然言語解析が行われるため、Training phrasesに入力した内容と完全に一致している必要はありません。
もし、質問の内容が理解できなかった場合、「Default Fallback Intent」に登録されているIntentの内容のいずれかが表示されます。
Entityを作成する
Intentの作成が完了したら、今度は「Entity」を作成しましょう。Entityとは、言語の表現による違いや方言の違いなど、言い回しによる違いをまとまりとして登録するものです。先ほど説明した、「なんぼ」を「いくら」に読み替える場合も、Entityで登録します。
Entityを作成するには、左側のメニューから「Entities」をクリックします。
続いて、このページの右上にある「CREATE ENTITY」をクリックします。以下のようなページが表示されます。
このページでは、Entityの名前を登録した後、言い回しの違いを行ごとに追記します。上記の画像の例では、1行目の内容は、「ボット太郎」は、「ぼっちゃん」や「太郎」と同じ意味として扱うように登録しています。また、2行目の内容は、「いくら」は、「なんぼ」や「ハウマッチ」と同じ意味として扱うように登録しています。
Fulfillmentについて
続いて、左側のメニューの「Fulfillment」について、説明します。Fulfillmentでは、「Webhook」を利用するかどうかの設定と、「Inline Editor」を利用するかどうかの設定を行います。
Webhookは、Dialogflowとは別のアプリケーションからDialogflowに対してリアルタイムにデータを送受信するための機能を提供します。Dialogflowとデータを送受信するアプリケーションは、GCPのサービスに限りません。LINE公式アカウントでも利用可能です。
Inline Editorは、ブラウザだけでDialogflowを利用したアプリケーションを作成するツールです。ただし、Inline Editorを利用する場合、Dialogflowが登録されているプロジェクトにクレジットカード情報などの支払情報が設定されている必要があります。
Dialogflowを活用したチャットボットの導入事例
Dialogflowは、さまざまな大企業が提供するチャットボットに用いられています。たとえば、UNIQLOの「お買い物アシスタント」サービスは、Dialogflowを利用したLINEのチャットボットです。
「UNIQLO IQ」のWebサイトより、「LINE 友達追加」をクリックするとQRコードが表示されます。そのQRコードをスマートフォンで読み込むことで、UNIQLOのお買い物アシスタントがスマートフォンのLINEに「お友達」として追加されます。
また、Google Cloudのブログにも掲載されていますが、三菱UFJ銀行のインターネットバンキングである「三菱UFJダイレクト」のチャットボットにも、Dialogflowが利用されています。
株式会社三菱UFJ銀行:お客様向けコールセンター業務のチャットボット化に Dialogflow を導入
Google Cloudのブログによれば、2020年1月時点で約2万7,000件/月の問い合わせにチャットボットが対応しているとのこと。もし、サポートデスクのコスト削減を考えているのであれば、三菱UFJ銀行のチャットボット導入事例は、良きモデルケースとなるのではないでしょうか?
Dialogflowの利用料金について
Dialogflowの利用料金について、Dialogflowは従量課金による有料のサービスですが、人工知能型チャットボットの導入によるサポートデスクのコスト削減がどの程度見込めるか、下記の料金一覧をご参考ください。
機能 | ES | CX |
---|---|---|
テキスト | エンタープライズ対応割り当て | 1 分あたり 1,200 回のリクエスト |
1 リクエストあたり $0.002 | チャット セッション 100 回あたり $20 | |
音声入力 | エンタープライズ対応割り当て | 1 分あたり 600 回のリクエスト |
音声認識 | 音声 15 秒あたり $0.0065 | 音声セッション 100 回あたり $45 |
チャットボットを導入してコストを削減してみよう
いかがでしたでしょうか?
GCPのDialogflowを活用することで意外と簡単にチャットボットの導入をできることが理解いただけたかと思います。また、自社で導入することができなくても、開発依頼をする時に、開発の流れや概要を知っているだけでコミュニケーションがしやすくなりますし、依頼の内容も相手にしっかりと伝わり良いプロダクトになること間違いなしです。
また、チャットボットで質問されたデータを蓄積して分析することで、FAQのページを充実させたり、顧客のニーズや悩みを洗い出したりすることが可能になります。顧客の悩みやニーズを明確にすることができれば、経営判断もデータに基づいて行うことができます。
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