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無料でここまでできる!GCPの無料枠を使いこなして、ランニングコストを最適化しよう!
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2020年9月現在、Google Cloud Platform(GCP)には2種類の無料枠が存在します。1つは無料トライアル中に利用できる$300分のクレジット、もう1つはAlways Freeという利用範囲内であれば特定のサービスを毎月継続的に無料で利用できるプログラムです。
この記事では、GCPの無料枠を活用し、コストを削減するための様々なTipsをご紹介します。
目次
GCPの無料トライアル
GCPを初めて利用する場合、3ヶ月間のトライアルを開始することができます。請求情報を登録する必要はありますが、トライアルの期間内であれば課金が発生することはありません。トライアルでは、$300分のクレジットが付与され、課金対象となるリソースを利用する場合にはそのクレジットが利用されます。
無料トライアルが終了する条件は、登録後3ヶ月が経過するか、クレジットを使い切ることです。トライアルの残日数とクレジット残額はコンソール画面に表示されるので、確認しておきましょう。
また、無料トライアルが終了した後のリソースやデータの取扱には注意が必要です。そのまま有償アカウントとして利用を継続する場合、トライアルが終了して30日以内にアカウントのアップグレードを実施すればトライアル期間中に使用したリソースやデータは復旧可能です。しかし、30日を過ぎてしまうとトライアルのリソースは全て削除されます。
ちなみに、アカウントのアップグレードはトライアル期間中でも行うことができます。その場合はクレジットの残額は引き継がれますので、いずれにせよ$300分は無料で利用することができます。
詳細な条件や最新の状況については公式サイトをご確認ください。
GCPの無料枠「Always Freeプロダクト」のご紹介
GCPでは特定のプロダクトにおいて、利用範囲内であれば継続的に無料で利用できるプログラムを実施しています。それがAlways Freeです。
ここからは、Always Freeが適用される代表的なサービスにおいて、無料での使用量上限とその考えられるユースケースについて解説します。
App Engine
App Engineはアプリケーション開発のためのフルマネージド型サーバーレスプラットフォームです。インフラ部分はクラウド事業者側で管理するため、開発者は運用の負荷を軽減することができます。
App Engineでは、インスタンスの種類と利用時間に応じて課金が発生します。Always Freeの無料枠としては、下記が設定されています。
項目 | 無料枠 |
---|---|
Fインスタンス | 1日あたり28 インスタンス 時間 |
Bインスタンス | 1日あたり9 インスタンス 時間 |
データの転送(外向き) | 1日あたり1 GB |
例えばF1インスタンスクラスを4つ利用する場合は、1日7時間は無料で利用することができます。つまり小規模なアプリケーションをデプロイし、F1インスタンス1つで運用すれば継続的に利用していてもインスタンスのコストはかかりません。
App Engineでは、スタンダード環境とフレキシブル環境の2種類の環境が提供されていますが、無料枠を利用できるのはスタンダード環境の場合のみに限ります。
BigQuery
BigQueryとは、大容量データを瞬時に分析することができるサーバーレスのクラウドデータウェアハウスです。
BigQueryでは、格納しているデータの容量と、クエリ実行時に処理されるデータ量によって課金が発生します。Always Freeの無料枠としては、下記が設定されています。
項目 | 無料枠 |
---|---|
ストレージ | 1ヶ月あたり10 GB |
クエリ | 1ヶ月あたり1 TB |
BigQueryのストレージにはアクティブストレージと長期保存ストレージがあり、90日間UPSERTがなかったテーブルは長期保存ストレージに格納されます。いずれのストレージも1ヶ月あたり10GBであれば無料で利用することが可能です。
また、一度実行したクエリ結果のテーブルは24時間キャッシュに保存されます。キャッシュから結果が取得された場合、そのクエリは課金対象となりません。上手に利用することで、できるだけコストを掛けずに利用することができます。例えばログ分析など、小量のデータ分析であれば無料で利用することができます。
Cloud Functions
Cloud Functionsは、サーバーレスのイベントドリブン型コード実行サービスです。サーバーの構築や管理をすることなく、イベントをトリガーとして関数の処理を実行することが可能です。様々なクラウドサービスを連携する際に利用することで、インフラ管理を自動化し、開発を迅速に行うことができます。
Cloud Functionsでは、関数の呼び出し回数、及び関数を処理している間に使用したコンピューティングリソースの容量とその利用時間によって課金が発生します。Always Freeの無料枠としては、下記が設定されています。
項目 | 無料枠 |
---|---|
呼び出し | 1ヶ月あたり200万回 |
メモリ | 1ヶ月あたり400,000 GB 秒 |
CPU | 1ヶ月あたり200,000 GHz 秒 |
データ転送(外向き) | 1ヶ月あたり5 GB |
Cloud FunctionsはCloud Storage、Pub/Sub、Cloud Firestoreなどのサービスにおけるイベントをトリガーとして処理を行うことができます。例えばストレージにデータがアップロードされた場合、自動的にそのファイルを処理し、サムネイルの生成と分析を行い、形式を変換して集約する、といったワークフローをコードを記述するだけで構成することができます。
無料枠内での利用を想定した場合には、リソースの使用量だけでなく、外部へのデータ転送に留意する必要があります。リソースのデータ転送料金はCloud Functionsが存在するリージョンと同一リージョン内のGoogle APIへの転送には課金が発生しません。そのため、できるだけ同じリージョン上にサービスを展開することでコストを抑えることが可能です。
Cloud Logging
Cloud Loggingは、様々なリソースから取得できるログデータを保存し、検索、分析を可能とするログ管理ソリューションです。データ容量に応じて課金が発生します。
Always Freeの無料枠として、下記が設定されています。
項目 | 無料枠 |
---|---|
データ容量 | プロジェクトごとに 1ヶ月あたり50 GiB |
Cloud Loggingはプロジェクトごとに無料枠が割り当てられます。また、データ容量が無料枠を超えないようにするために、Cloud Loggingに収集されるログサイズを計算しておく必要があります。各VMにエージェントを導入する場合、デフォルトでは下記のログが収集されるように構成されています。
Linux | syslog、apache-access、apache-error、cassandra、cassandra-output、chef-*、gitlab-*、jenkins、jetty-*、joomla、magento-*、mediawiki、memcached、mongodb、mysql、mysql-slow、nginx-access、nginx-error、postgresql、puppet-*、rabbitmq-*、redis、redmine、salt-*、solr、sugarcrm、tomcat、tomcat-localhost_access_log、zookeeper、zookeeper-trace |
---|---|
Windows | fluent.info、winevt.raw |
Cloud Monitoring
Cloud Monitoringは、クラウド上のリソースにおけるディスク、CPU、ネットワーク、プロセスの各使用状況を監視することができるモニタリングソリューションです。エージェントなどを導入しなくても利用することができますが、モニタリングエージェントを導入することで全ての監視メトリクスを収集することが可能となる上、サポートされているアプリケーションの監視を実施することができるようになります。
Cloud Monitoringでは取り込んだデータ容量に応じて課金が発生します。しかし、下記のメトリクスは課金対象外です。
Always Freeの無料枠としては、下記が設定されています。
項目 | 無料枠 |
---|---|
データ容量 | アカウントごとに 1ヶ月あたり150 MiB |
課金対象外のメトリクスと無料枠を活用することで、ある程度の容量のモニタリングを無料で実施することができます。
Cloud Run
Cloud Runとは、コンテナアプリケーションを迅速に展開することのできるフルマネージド型のコンピューティングプラットフォームです。トラフィックに応じて自動でスケールし、よりシンプルにアプリケーションを開発することが可能です。
Cloud Runでは、使用したリソース、及びリクエスト数に応じて課金が発生します。Always Freeの無料枠は下記のように設定されています。
項目 | 無料枠 |
---|---|
リクエスト | 1ヶ月あたり200万回 |
CPU | 1ヶ月あたり180,000 vCPU 秒 |
メモリ | 1ヶ月あたり360,000 GiB 秒 |
データ転送(外向き) | 1ヶ月あたり1 GB(北米のみ) |
Cloud Runでは、リクエストが実際に処理されている時間のみ課金が発生します。そのため、リクエスト数や処理時間、及びコンテナごとのリソースサイズを調整することで課金を抑えることが可能です。
例えばユースケースとして、下記の様な利用パターンを想定してみます。
- 月間100万リクエスト
- CPUはコンテナあたり2 vCPU
- メモリはコンテナあたり2 GB Mem
- コンテナあたりの同時接続数80
- asia-northeastリージョン(東京リージョン)を使用
上記のシステムを運用する場合、1リクエストあたりの処理時間を平均300ms以内、1リクエストあたり1の転送データ量を1 KBに抑えることができれば、実際にリクエストが処理される時間は
1,000,000 リクエスト × 300 ms / リクエスト ÷ 同時接続数80 = 3,750 秒
となり、1ヶ月あたりのリソース使用量は 7500 vCPU 秒、7500 GB 秒です。これだけのリクエストを処理しているにも関わらず、月間での使用量を無料枠の範囲に抑えることが可能となります。
Cloud Storage
Cloud Storageは、非常に高い可用性と耐障害性を持ったオブジェクトストレージです。使用するワークロードに合わせてストレージクラスを選択することができ、コストを最適化することが可能です。
Cloud Storageでは、格納しているデータ量やオブジェクトに対するリクエスト数に応じて課金が発生します。Always Freeの無料枠は下記のように設定されています。
項目 | 無料枠 |
---|---|
データストレージ | 1ヶ月あたり5 GB |
クラスAオペレーション | 1ヶ月あたり5,000回 |
クラスBオペレーション | 1ヶ月あたり50,000回 |
データ転送(外向き) | 1ヶ月あたり1 GB |
Always Freeの適用対象となるのは、us-west1、us-central1、us-east1のいずれかのリージョンで利用した場合のみです。また、無料枠で利用できるストレージはRegional StorageのStandardクラスとなっています。
オブジェクトに対するオペレーションは、2種類のクラスに分類されています。INSERTやUPDATE等、オブジェクトの更新に関するオペレーションがクラスA、GETなどのオブジェクトの取得に関するオペレーションがクラスBとして分類されており、それぞれが課金の対象となります。オブジェクトやバケットの削除に関するオペレーションに対しては課金が発生しません。クラスの分類についての詳細は公式サイトをご確認ください。
頻繁に更新が発生する場合にはオペレーションによるコストの増加が想定されるため、無料枠内での利用を想定した場合、アーカイブやバックアップなど、少量のデータを長期的に保存するユースケースが適しています。
Compute Engine
Compute Engineは様々な要件に対応することのできる仮想マシン提供サービスです。ライブマイグレーションによりメンテナンスを無停止に実施することができ、アプリケーションの規模に合わせてグローバル規模でのスケーリングが可能です。
Compute Engineではマシンタイプに合わせたリソースの使用量、及びネットワークのデータ転送料金が課金対象となります。また、単一テナントやGPU、ディスクやイメージといった各オプションの選択によっても課金が発生します。Always Freeの無料枠は下記のように設定されています。
項目 | 無料枠 |
---|---|
インスタンス | f1-micro |
ストレージ | 1ヶ月あたり30 GB(HDD) |
スナップショット | 1ヶ月あたり5 GB |
データ転送(外向き) | 1ヶ月あたり1 GB |
無料枠の対象となるのは、us-east4以外の米国リージョンを利用する場合に限られますが、外部へのデータ転送に注意すれば1つのインスタンスを継続的に無料で利用することができます。
まとめ
この記事では、代表的なサービスの無料枠の活用方法をご紹介しました。無料枠には登録時に付与される$300分のクレジットに加え、範囲内であれば継続的に無料で利用できるAlways Freeの2種類があります。ユースケースやワークロードによっては本番の環境でも適用することができるため、その適用条件と上限を理解し、環境のコスト削減を実現しましょう。
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