ニューラルネットワークとは?機械学習・深層学習との関係や活用例などを解説
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昨今、日常生活の様々なシーンで AI が活用されていますが、その中核となる技術の一つがニューラルネットワークです。ニューラルネットワークについて理解することで、 AI の可能性や応用範囲をより深く知ることができます。
本記事では、ニューラルネットワークの仕組みや機械学習・深層学習(ディープラーニング)との関係、活用例などを一挙に解説します。自社で AI 活用を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
ニューラルネットワークとは?
ニューラルネットワークとは、人間の脳神経回路を模倣して設計された AI 技術の一つです。ノードと呼ばれる計算単位が層状に配置され、互いに情報を伝達しながら複雑な処理を行います。
これにより、 AI は膨大なデータからパターンを学び、画像認識や音声認識などの高度なタスクを行えるようになります。従来のプログラムでは、曖昧なデータの処理や予測を行うことは難しかったのですが、ニューラルネットワークの登場により、これらの作業を効率的にできるようになりました。
昨今、ニューラルネットワークは医療や金融、エンターテインメントなど、様々な分野で活用されており、 AI の可能性を大きく広げる技術として注目を集めています。
ニューラルネットワークの仕組み
ニューラルネットワークの仕組みは、
- 入力
- 伝播
- 出力
という 3 つの要素で構成されています。
はじめに、データは入力層に渡され、画像や数値などの情報が数値形式で表現されます。その後、隠れ層と呼ばれる中間層を通じて伝播が行われ、各ノードが重み付けされた計算を実行します。
そして、この計算結果は次の層へと伝えられ、最終的に出力層で結果が生成されます。例えば、画像認識の場合は「この画像は犬と猫のどちらなのか」といった判断を出力します。
これらのプロセスにより、ニューラルネットワークはデータのパターンを学習し、複雑なタスクをこなせるようになります。ニューラルネットワークは AI 活用における重要なポイントの一つなので、どのような仕組みで動いているのか、大まかな流れを理解しておきましょう。
機械学習・深層学習との関係
ニューラルネットワークと混同しやすい言葉として、機械学習や深層学習(ディープラーニング)が挙げられます。それぞれの関係について、具体的に見ていきましょう。
ニューラルネットワークと機械学習
機械学習とは、データからパターンを学んで予測・分類を行う AI の基本技術であり、アルゴリズム全般を指す言葉として使われています。一方、ニューラルネットワークは機械学習の一手法であり、人間の脳の神経回路を模倣して設計された構造を持っています。
つまり、ニューラルネットワークは機械学習の中のツールの一つだと言えます。また、機械学習はシンプルな線形モデルから複雑な非線形モデルまで幅広い方法を含みますが、ニューラルネットワークは特に大規模データや複雑なタスクに適しています。
このように、機械学習が AI の大きな枠組みだとすれば、ニューラルネットワークはその中で進化した専門的なアプローチだと言えます。機械学習とニューラルネットワークは、どちらも AI 技術である点は共通していますが、厳密には異なるものとして区別されているため、両者の違いを理解しておきましょう。
ニューラルネットワークと深層学習
深層学習(ディープラーニング)とは、ニューラルネットワークをさらに進化させたものであると表現できます。具体的な仕組みとしては、多数の層(レイヤー)を持つニューラルネットワークを用いて、より複雑で高度なパターンを学習できるようにした技術がディープラーニングです。
この多層構造により、ディープラーニングは画像認識や音声認識、自然言語処理などの分野で飛躍的な進歩を遂げました。つまり、ディープラーニングはニューラルネットワークの深層版であり、ニューラルネットワークの枠組みを基盤として構築されていると言えます。
このように、ニューラルネットワークがディープラーニングの土台となり、ディープラーニングがその応用を広げているという関係性を理解しておくと、それぞれの役割をより明確に理解できるでしょう。
ニューラルネットワークの学習パターン
ニューラルネットワークでは、どのように学習を進めていくのでしょうか?本章では、ニューラルネットワークの学習パターンを 2 つに分けて解説します。
教師あり学習
教師あり学習は、ニューラルネットワークの学習パターンの中で最も一般的な方法です。
具体的には、入力データと正解ラベル(答え)をセットで与えることで、モデルが正しい出力を予測できるように学習させます。例えば、写真を見せて「これは犬です」と AI に教えることで、モデルは次に新しい写真を見たときに「これは犬だ」と判断できるようになります。
以下、教師あり学習の活用例です。
- 画像認識:猫や犬などの動物、車や建物などの物体を識別
- 音声認識:人間の声を解析し、言葉に変換
- 医療診断:X線画像から病変を検出
教師あり学習の大きな魅力として、正しい答えが決まっているタスクにおいて、高い精度を発揮できることが挙げられます。ただし、ラベル付きデータを用意するためのコストが必要になるため、この点は覚えておきましょう。
教師なし学習
教師なし学習は、正解ラベルが存在しない場合に用いられる学習方法です。
教師なし学習では、モデルに大量のデータを与えて、自律的にそのデータの構造やパターンを見つけ出すように学習させます。人間で例えるならば、明確な説明がなくても自分でデータを整理しながら特徴をつかむ「探究型学習」に近しいと言えます。
以下、教師なし学習の活用例です。
- クラスタリング:顧客を購買傾向でグループ化
- 異常検知:正常なデータから外れる異常値を発見
- 次元削減:高次元のデータをシンプルに整理
教師なし学習は、膨大かつラベルが付いていないデータでも活用できる点が大きなメリットになります。特に、データのラベル付けが難しい分野や、事前知識が少ない場合に威力を発揮するでしょう。
このように、教師あり学習と教師なし学習は、それぞれ異なる課題に対応するためのアプローチとなっています。そのため、自社の目的やデータの特性に応じて、最適な学習方法を選択することが大切です。
代表的なニューラルネットワークの種類
一口にニューラルネットワークと言っても、実は様々な種類が存在することをご存知でしょうか?本章では、代表的なニューラルネットワークの種類についてご紹介します。
CNN ( Convolutional Neural Network )
CNN ( Convolutional Neural Network )は「畳み込みニューラルネットワーク」とも呼ばれており、画像処理に特化したニューラルネットワークの一種です。主に画像データから特徴を抽出し、それらをもとに分類や認識を行います。
CNN の大きな特徴として、畳み込み層という仕組みが挙げられます。畳み込み層とは、画像データから特徴を抽出するための役割を担っており、画像のピクセル情報を局所的に捉えながら、エッジや模様などを抽出できます。
CNN の代表的なユースケースとしては、物体認識(猫・犬などの分類)や自動運転(道路標識・車線の認識)、医療分野( MRI 画像からの病変検出)などが挙げられます。このように、 CNN は画像データを扱うプロジェクトでは欠かせない技術として広く活用されています。
RNN ( Recurrent Neural Network )
RNN ( Recurrent Neural Network )は「再帰型ニューラルネットワーク」とも呼ばれており、データの順序や時間的な流れを学習することに特化したモデルです。過去の情報を記憶しながら、次の予測を行うための再帰的な構造を持っている点が RNN の大きな特徴です。
この仕組みにより、 RNN を使えば時系列データやシーケンスデータを効率的に扱うことができます。ただし、長いシーケンスを学習する場合、勾配消失問題が発生する可能性があるため、この点には注意しておきましょう。
なお、勾配消失問題とは、ニューラルネットワークの学習過程で誤差を伝播して重みを更新する際、勾配(微分値)が極端に小さくなり、層が深くなるほど学習が進まなくなってしまう問題のことです。
RNN の代表的なユースケースとしては、音声認識(連続する音の解析)や翻訳(単語の並びを考慮した文章生成)、株価予測、気象データ解析などが挙げられます。このように、時間軸を意識したタスクを進める際には、 RNN が有効な選択肢の一つになります。
LSTM ( Long Short Term Memory )
LSTM ( Long Short Term Memory )とは、 RNN の弱点である勾配消失問題を克服するために開発された拡張モデルです。勾配消失問題とは、ニューラルネットワークの学習時に誤差を伝える勾配が層をさかのぼるにつれて徐々に小さくなる現象のことです。その結果、深い層の学習が進まずにモデルの精度が上がらなくなります。
LSTM は内部に記憶セルを保有しており、情報を長期間にわたって保持しつつ、必要に応じて不要な情報を削除できるため、長いシーケンスデータでも効率よく学習を進められます。例えば、文章全体の文脈を考慮しながら文章を生成するなど、より高度なタスクに対応できる点が LSTM の大きな特徴だと言えるでしょう。
LSTM の代表的なユースケースとしては、自然言語処理(チャットボットや文章生成)や音楽生成(メロディの構造を考慮した作曲)、生体データ解析(心拍数や脳波のパターン解析)などが挙げられます。このように、 LSTM は長期的な依存関係を捉える必要があるタスクにおいて効果を発揮します。
オートエンコーダー
オートエンコーダーとは、入力データを圧縮し、そのデータをもとに新たなデータを再構成することに特化したニューラルネットワークです。オートエンコーダーは、主にデータの本質的な特徴を抽出するために使われることが多く、教師なし学習の一種として位置付けられています。
一般的なネットワークは「エンコーダー」と「デコーダー」という 2 つの要素に分かれており、エンコーダーはデータを潜在空間に変換し、デコーダはその潜在空間をもとに入力を再現します。そして、この仕組みを活用してデータのノイズ除去や異常検知を行える点がオートエンコーダーの大きな特徴です。
オートエンコーダーのユースケースとしては、データ圧縮(画像データの効率的な保存)やノイズ除去(古い写真や音声データの改善)、異常検知(正常データから外れるパターンの検出)などが挙げられます。このように、データの特徴を把握したい場合には、オートエンコーダーを利用するのがよいでしょう。
今回は 4 種類のニューラルネットワークをご紹介しましたが、備えている特徴や得意分野は多岐にわたります。そのため、用途に応じてニューラルネットワークの種類を使い分けることで、 AI 活用の効果を最大化できます。
オートエンコーダーに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:変分オートエンコーダー( VAE )とは?画像生成における重要な AI 技術の仕組みを徹底解説
ニューラルネットワークを利用する際の注意点
ニューラルネットワークは AI 活用において欠かせない技術の一つですが、利用時には意識すべきポイントがいくつか存在します。本章では、ニューラルネットワークを利用する際の注意点を 3 つご紹介します。
データの質と量を確保する
ニューラルネットワークは、大量のデータからパターンを学習することで高い精度を発揮します。しかし、データが不十分だったり、ノイズが多かったりした場合、モデルの性能は大きく低下します。そのため、データの前処理やクリーニングなどを徹底し、適切な量と質を確保することが大切です。
過学習を防ぐための工夫を行う
ニューラルネットワークの大きな特徴の一つとして、高い柔軟性が挙げられます。そのため、トレーニングデータに対して過剰に適合し、未知のデータに対する汎化性能が低下する「過学習」が発生してしまう可能性があります。この問題を防ぐには、ドロップアウトや正則化手法などを活用し、適切なモデルサイズを選ぶことが求められます。
計算コストとリソースを考慮する
ニューラルネットワークのトレーニングには一定の計算リソースが必要であり、特に深層モデルの場合は多大な時間とコストが発生します。そのため、モデルを効率的に開発するためには、ハードウェア環境( GPU や TPU )の選定や分散学習の導入などを入念に検討する必要があります。予算やリソースが不足してプロジェクトが頓挫しないよう、計画的に作業を進めていきましょう。
まとめ
本記事では、ニューラルネットワークの仕組みや機械学習・深層学習(ディープラーニング)との関係、活用例などを解説しました。
企業がニューラルネットワークを活用することで、様々なビジネスシーンで役立てることができます。この記事を読み返して、ニューラルネットワークの仕組みや代表的な種類などを理解しておきましょう。
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本記事を参考にして、ニューラルネットワークの活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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