自然言語処理( NLP )とは?仕組みやできること、活用例などを解説

自然言語処理( NLP )とは?仕組みやできること、活用例などを解説

自然言語処理( NLP Natural Language Processing )とは何かをご存知でしょうか? AI が人間の言語を解析し、会話の理解や文章生成を可能にするための技術のことであり、 NLP は様々なビジネスシーンで活用されています。

本記事では、 NLP の概要や仕組み、できること、活用例などを一挙に解説します。自社で AI 活用を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

自然言語処理( NLP )とは?

自然言語処理( NLP )とは、 AI が人間の言語を理解・解析し、有効に活用するための技術です。私たちが日常的に使う言葉(自然言語)をデータとして扱うことで、それらを可能としています。

また、 NLP は単語や文法の構造だけでなく、文脈やニュアンスも含めて理解できる点が大きな特徴です。これにより、検索エンジンでの質問応答や、翻訳アプリでの多言語翻訳、チャットボットの会話など、様々なシーンで NLP が活用されています。

このように、 NLP は AI と人間の円滑なコミュニケーションを生み出すための重要な技術であると言えるでしょう。

自然言語処理( NLP )の種類とできること

自然言語処理( NLP )を大きく分けると、「自然言語理解( NLU : Natural Language Understanding )」と「自然言語生成( NLG : Natural Language Generation )」の 2 つに分類されます。それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。

自然言語理解( NLU )

自然言語理解( NLU )とは、 AI が人間の言語を理解するための技術です。具体的には、文章や会話の中に含まれる単語や文法、文脈などを解析し、その背景にある意図や意味を読み取ります。

このように、 NLU の活用により、 AI が言語の曖昧さや多義性を考慮し、正しい解釈を行うことが可能になります。つまり、 NLU はテキスト分類や感情分析、意図認識など、言語の「受け取り手」としての役割を担っていると言えるでしょう。

自然言語生成( NLG )

自然言語生成( NLG )とは、 AI が人間のように自然な文章や会話を作り出すための技術です。例えば、ニュース記事の自動作成やユーザーに適切な返信を生成するチャットボットなど、様々なシーンで活用されています。

NLG を使うことで、インプットされたデータや情報を基にして、文法的に正しく、かつ意味の通じる自然な文章を構築できるようになります。このように、 NLG は AI が言語の「送り手」として活躍するための基盤であると言えるでしょう。

自然言語処理( NLP )の活用例

昨今、自然言語処理( NLP )は様々なビジネスシーンで活用されています。本章では、 NLP の代表的なユースケースを 5 つご紹介します。

対話型 AI

自然言語処理( NLP )の代表的なユースケースの一つが対話型 AI です。 NLP を AI チャットボットやバーチャルアシスタントに活用することで、ユーザーの質問やリクエストに自然な言葉で応答できるようになります。

具体的には、自然言語理解( NLU )で質問の意図を解析し、自然言語生成( NLG )で的確な応答を生成する仕組みとなっています。例えば、カスタマーサポートでの問い合わせ対応や、スマートスピーカーを通じた音声コマンドの処理など、 NLP は幅広いシーンで利用されています。

機械翻訳

異なる言語間の翻訳を行う機械翻訳も自然言語処理( NLP )の重要な応用分野の一つです。例えば、代表的な翻訳ツールである Google 翻訳は、 NLP でテキストを解析し、文法や文脈を考慮した翻訳結果を提供しています。

特に、前述した Transformer を基盤としたモデルが導入されてからは、自然かつ高精度な翻訳を行うことが可能になりました。このように、 NLP は言語の壁を越えたグローバルなコミュニケーションを支える基盤となっています。

テキストマイニング

大量の文書データから有益な情報を抽出するテキストマイニングは、様々なビジネスシーンや研究分野において広く活用されています。例えば、 SNS 上の投稿を解析して消費者の感情やトレンドを把握したり、法律文書や論文から重要な内容を抽出したりします。これにより、意思決定をサポートする洞察を効率的に得ることが可能になります。

関連記事:テキストマイニングとは?仕組みや代表的な解析方法をわかりやすく解説!

テキストの要約・分類

ニュース記事や長文の要約、メールやレビューのカテゴリ分類など、テキストの要約・分類は情報整理に役立つ自然言語処理( NLP )の応用です。具体的には、 AI が文章の重要な部分を抽出して短くまとめたり、内容に応じて適切なタグを付けたりします。このように、 NLP は情報過多の現代において、効率的な情報収集を支える重要な技術であると言えるでしょう。

テキストの生成

自然言語処理( NLP )を使えば、高品質なテキストを効率的に生成できます。例えば、画像に基づいてキャプションを生成したり、小説や詩といった創造的な文章を作成したりするような使い方が挙げられます。さらに、 GPT シリーズのような高度なモデルでは、人間が書いたような自然な文章を創り出すことができるため、エンターテイメントやマーケティングの領域にも応用されています。

自然言語処理( NLP )の仕組み

ここまで、自然言語処理( NLP )の概要や活用例などをご紹介しましたが、 NLP はどのような仕組みで動いているのでしょうか?本章では、 NLP の仕組みについて解説します。

機械可読辞書

自然言語処理( NLP )の基盤となるのが、言葉の意味や関係性をデータベース化した機械可読辞書です。機械可読辞書には、単語の定義や品詞、類義語、反義語などが記録されており、 AI が言葉を理解する際の指針となります。これを活用することで、言葉の基本的な意味や文脈に基づいた解釈が可能になります。

コーパス

コーパスとは、実際の言語データを大量に集めたデータセットのことです。例えば、新聞記事やブログ、 SNS 投稿などがコーパスの一例として挙げられます。そして、 AI はコーパスを分析することで単語やフレーズの使われ方を学習するため、コーパスは自然言語処理( NLP )の性能に大きな影響を与える重要な要素となっています。

形態素解析

形態素解析とは、文章を単語や文節などの最小単位に分解し、それぞれの品詞や役割を特定するためのプロセスです。例えば、「猫が歩く」という文を「猫(名詞)」「が(助詞)」「歩く(動詞)」といった形に分解します。このように、自然言語処理( NLP )は、形態素解析を行うことで文章の基本構造を明らかにし、次の処理の精度を向上させる仕組みとなっています。

構文解析

構文解析とは、文章内の単語の関係性を分析し、文法的な構造を明らかにするための技術です。例えば、「猫がネズミを追いかける」という文章では、「猫」が主語、「追いかける」が述語、「ネズミ」が目的語として関連付けられます。このように、構文解析を行うことで AI が文章全体の意味を精緻に理解できるようになります。

文脈解析

文脈解析とは、単語やフレーズだけでなく、それらが文章全体や会話の中でどのような意味を持つのかを分析するための技術です。例えば、「はし」という単語がひらがなで文章に含まれている場合、それが食事に使う箸を指すのか、川にかかっている橋を指すのかは文脈次第です。このように、 AI が文脈を考慮して意味を解釈することで、より自然な会話や文章生成が可能になります。

自然言語処理( NLP )に利用される代表的なモデル

一口に「自然言語処理( NLP )」と言っても、 NLP に利用されるモデルは多岐にわたります。本章では、 NLP に利用される代表的なモデルを 5 つピックアップしてご紹介します。

word2vec

word2vec とは、単語をベクトル(数値の集合)で表現する技術であり、言葉の意味や単語間の類似性・関係性を数値的に捉えることができます。例えば、「王様ー男性+女性=女王様」のような計算も可能です。また、 word2vec の特徴としては軽量かつ高速である点が挙げられ、テキスト分類や感情分析、検索エンジンの最適化など、幅広いシーンで活用されています。

doc2vec

doc2vec は word2vec を拡張した技術であり、単語だけでなく文章全体をベクトル化する点が大きな特徴です。 doc2vec を活用することで、文章の特徴を数値化し、文書間の類似度を測定したり、文章分類を行ったりすることが可能になります。例えば、ニュース記事やレビューのカテゴリ分類に利用されるなど、 doc2vec は文章の意味全体を理解する目的で使われています。

RNN

RNN ( Recurrent Neural Network )とは、入力データの時系列性を考慮して処理を行うニューラルネットワーク(人間の脳の神経回路を模倣して設計された AI 技術)のことです。過去のデータを内部状態に保持し、それらを次の処理に反映することで、文脈の流れを学習します。例えば、短い文章の解析や簡単な時系列予測を行う際には、 RNN が有効な選択肢の一つになります。

LSTM

LSTM ( Long Short Term Memory )とは、時系列データや長い文脈を捉えるために設計された RNN の一種です。通常の RNN では、勾配消失問題が大きな課題の一つですが、 LSTM を活用することで、長期間の依存関係を考慮した自然言語処理が可能になります。例えば、チャットボットや機械翻訳など、長い文章の意味理解や時間的な流れが重要なタスクに適しています。

なお、勾配消失問題とは、ニューラルネットワークの学習過程で誤差を伝播して重みを更新する際、勾配(微分値)が極端に小さくなり、層が深くなるほど学習が進まなくなってしまう問題のことです。

Transformer

Transformer とは、現在の自然言語処理( NLP )の主流となっているモデルであり、自己注意機構( Self-Attention )を活用して文脈を効率的に理解します。なお、自己注意機構とは、入力された文中のすべての単語が、それぞれの単語同士の関係性や重要度を評価する仕組みのことです。

Transformer は翻訳や要約、文章生成などで高い精度を実現できることから、 GPT や BERT といった先進的なモデルの基盤となっています。従来の RNN や LSTM と異なり、並列処理が可能で計算効率が高いため、大規模データを扱うタスクにおいて、圧倒的なパフォーマンスを発揮します。

Transformer や自己注意機構に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:Transformer とは? ChatGPT や Gemini を支える AI 技術をわかりやすく解説

自然言語処理( NLP )を利用する際の注意点

自然言語処理( NLP )はとても便利な技術ですが、実際に使う場合には意識すべきポイントがいくつか存在します。本章では、 NLP を利用する際の注意点を 3 つご紹介します。

データの偏りに注意する

一般的な自然言語処理( NLP )のモデルは、トレーニングデータに基づいて学習を行います。そのため、使用するデータに偏りがある場合、モデルが偏見や誤った判断を引き継いでしまうリスクがあります。

具体例としては、特定の性別や地域に関する偏見が反映されてしまうケースなどが該当します。この問題を防ぐためには、多様性のあるデータを選び、モデルを定期的に評価・修正することが重要なポイントになります。

モデルの適用範囲を理解する

自然言語処理( NLP )は非常に優れた技術ですが、適用範囲を超えるようなタスクにおいては、正確な結果を得られないこともあります。例えば、専門的な用語が多い法律文書や医療データなどは、汎用的なモデルでは十分に理解できない可能性があるでしょう。

そのため、 NLP を活用する際には、モデルの適用範囲を事前にチェックしておくことが大切です。そして、適用範囲を超えるタスクを行う場合は、その内容に適したカスタムモデルを作成することで、 AI の導入効果を最大化できます。

プライバシーとセキュリティの配慮

自然言語処理( NLP )では、個人情報を含むデータを処理する可能性もあるため、プライバシーやセキュリティに配慮することが必要不可欠です。例えば、チャットボットや音声アシスタントが個人データを扱う場合、不適切な使用や情報漏洩などのリスクがあります。そのため、利用者の信頼を守るためには、データの匿名化や暗号化、利用目的の明確化などを徹底することが大切です。

まとめ

本記事では、自然言語処理( NLP )の概要や仕組み、できること、活用例などを解説しました。

企業が NLP を活用することで、対話型 AI やテキストマイニングなど、様々なビジネスシーンで役立てることができます。この記事を読み返して、 NLP の仕組みや代表的なユースケースなどを理解しておきましょう。

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本記事を参考にして、 NLP の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

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