データ用語集:DX 担当者がデータ活用について理解するための入門ガイド
- BI ツール
- DX
- NoSQL データベース
- データウェアハウス
- データガバナンス
- データクレンジング
- データサイエンス
- データドリブン
- データマイニング
- データマネジメント
- データライフサイクル管理
- ビッグデータ
- メタデータ
- レーショナルデータベース
- 構造化データ

データ活用とは?
まずは、データ活用の基礎知識について理解しておきましょう。
データ活用とは、収集したデータを分析し、それらをもとに意思決定を行うまでの一連のプロセスを意味します。昨今、情報技術の急速な発展により、企業が取り扱うデータは肥大化かつ多様化しています。
企業が取り扱うデータの代表例としては、
- 顧客データ:顧客の属性情報、購買履歴、行動履歴
- 商品データ:商品の販売情報、在庫情報、価格情報
- 販売データ:販売実績、売上情報、顧客別売上情報
- Webデータ: Web サイトのアクセス情報、検索キーワード、 SNS 投稿
- センサーデータ:機械や設備からのセンサー情報、温度、湿度、振動
などが挙げられます。
そして、これらの膨大なデータを活用することで、顧客ニーズを深く理解したり、新商品や新サービスの開発に役立てたりすることが可能になります。実際、多くの企業がデータ利活用に取り組んでおり、自社の業務効率化や生産性向上を実現しています。
DX におけるデータ活用の重要性
一般的に、 DX の目的はデジタル技術を駆使して業務プロセスやビジネスモデルを変革し、競争力を高めることにありますが、この変革の中核にあるのがデータの存在です。自社が保有する膨大なデータを活用することで、企業は顧客のニーズをより深く理解できるようになります。
また、顧客の行動データや市場動向などを分析すれば、精度の高いパーソナライズされた商品やサービスを提供でき、顧客満足度の向上に繋がります。さらに、従来の紙ベースや手動のプロセスをデジタル化し、リアルタイムでデータを活用することで、業務の自動化・最適化が可能となり、コスト削減や迅速な意思決定を実現できます。
このように、競争が激化する現代においては、データをうまく活用できるか否かが、ビジネスの成功を左右する鍵となります。だからこそ、 DX に取り組む企業の多くがデータ活用を実践しており、自社の生産性向上やビジネス成長に向けて、様々な取り組みを行なっています。
データ活用に関する 15 の基礎用語
データ活用の基本を理解したところで、次にデータ活用の基礎用語解説に移ります。どれも重要なキーワードであるため、確実に内容を理解しておきましょう。
1.メタデータ
メタデータとは、データの中身を説明するためのデータ(情報)を意味する言葉です。例えば、ファイルの作成者や作成日時、ファイルサイズなどの情報がメタデータに該当します。メタデータを適切に管理することで、データの検索性やアクセス性を高められるため、膨大なデータを効率的に管理するためには、メタデータがとても重要な情報になります。
2.構造化データ(非構造化データ)
構造化データとは、綺麗に整理されたデータを意味する言葉であり、 Excel ファイルや Google スプレッドシートのように、列と行によって項目(カラム)ごとに整理されているデータが構造化データに該当します。一方、非構造化データは決まったフォーマットに従って整理されていないデータのことであり、 SNS 投稿や動画コンテンツなどが非構造化データの代表例として挙げられます。
構造化データは SQL などのクエリ言語で簡単に検索・操作できるため、多くの場合、データ活用を行う際には構造化データを使うことが一般的です。
3.ビッグデータ
ビッグデータとは、膨大かつ多様なデータを意味する言葉であり、
- Volume(量)
- Velocity(速度)
- Variety(多様性)
という 3 つの V で表現されることが一般的です。
ビッグデータの具体例としては、 IoT デバイスからリアルタイムで生成される膨大なデータや、 SNS で毎秒投稿される膨大な数のメッセージなどが挙げられます。そして、ビッグデータを適切に分析・活用することで、顧客の行動予測や製品の需要予測、最適な在庫管理など、多様なビジネス課題の解決に役立ちます。
ビッグデータに関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ビッグデータ活用が企業成長の鍵!データ分析の手法や具体的な手順を徹底解説!
4.データクレンジング
データクレンジングとは、データの品質向上を目的として、データの削除・修正などを行うことを意味します。
例えば、
- 欠損データの補完:欠落しているデータを推定・追加
- 重複データの削除:複数存在する同一データを削除。
- 不正確データの修正:誤った入力や異常値の修正
などがデータクレンジングの具体例として挙げられます。
これらの作業を行うことで、データの品質を一定に保つことができ、正確なインサイト(洞察)を得られるようになります。結果として、様々なビジネスシーンにおいて、信頼性の高い意思決定を実現できます。
5.データマイニング
データマイニングとは、膨大なデータからパターンや相関関係を見つけ出し、それらをもとに有用な知見を得るための手法を意味します。
例えば、
- 顧客行動の分析:購買履歴から顧客の購買傾向を分析し、マーケティング戦略を最適化
- 不正検出:クレジットカードの使用パターンから、不正利用を検知
- 需要予測:過去のデータから将来の売上や在庫の予測を実施
などがデータマイニングの代表的な活用シーンとして挙げられます。
このように、データマイニングは様々なビジネスシーンで有効活用されていることを覚えておきましょう。
6.リレーショナルデータベース( RDB )
リレーショナルデータベース( RDB )とは、データを表(テーブル)形式で管理し、テーブル同士の関係性を利用してデータを効率的に操作するデータベースの一種です。 RDB を活用することで、複数のデータセットを結び付けて、データを横断的に検索したり更新したりすることが可能になります。また、 RDB は ACID 特性(原子性、一貫性、独立性、耐久性)を備えており、信頼性の高いトランザクション処理が可能な点が大きな特徴となっています。
RDB に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:リレーショナルデータベース( RDB )とは?具体的な機能や NoSQL との違いまで徹底解説!
7.NoSQL データベース
NoSQL データベースとは、スキーマレス(事前に定義されたデータ構造が不要)が大きな特徴のデータベースであり、非構造化データを効率的に管理することが可能です。特に、スケーラビリティや柔軟性が求められるアプリケーションでは、 NoSQL データベースが有効な選択肢になります。
また、 NoSQL データベースはビッグデータ処理にも適しており、前述したリレーショナルデータベース( RDB )と並んで、多くの企業が活用している代表的なデータベースの一つとなっています。
8.ETL
ETL とは、
- Extract (抽出)
- Transform (変換)
- Load (書き出し)
という 3 つの英単語の頭文字を取った言葉であり、様々なシステムからデータを抽出し、それらを加工・共有するための IT ツールを意味します。
企業では、複数のシステムが同時に稼働していることが一般的です。例えば、営業や購買、生産、顧客管理など、複数の基幹システムが存在しており、これらのシステムからデータを取り出す作業は多くの時間と労力を求められます。
しかし、 ETL を活用すれば、複数のシステムからデータを抽出したり、外部へ出力したりすることが可能となり、これが組織全体の生産性向上や業務効率化に大きく貢献します。このように、データ活用の必要性が強く叫ばれている現代において、 ETL の重要性は益々高まっていると言えるでしょう。
ETL に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:データ活用を効率化できる ETL とは?機能やメリット、活用シーンまで徹底解説!
9.データウェアハウス( DWH )
データウェアハウス( DWH )とは、綺麗に整理されたデータを長期的に保存・管理するための IT ツールです。 DWH の特徴として、大量のデータを一元的に管理し、様々な分析作業やレポート作成などに利用可能な状態で保存できる点が挙げられます。
前述した ETL はデータ処理が主な目的であるのに対して、 DWH はデータの保管に焦点を当てたツールとなっています。つまり、 ETL で処理したデータを DWH で保管する、というのが、データ活用の流れとしては理解しやすいでしょう。
DWH に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:データウェアハウス(DWH)とは?メリットや活用例まで一挙に紹介
10.BI ツール
BI ツールとは、データを人間が理解しやすい形に見える化するためのツールです。例えば、ダッシュボードやレポート、表などを用いて、視覚的にわかりやすくデータを可視化します。このように、 BI ツールは既に存在しているデータを見やすく表現するためのツールであり、膨大なデータから効率的にインサイト(洞察)を得るために利用されます。
11.データドリブン
データドリブンとは、データに基づいて意思決定を行うビジネスアプローチのことを意味します。従来の日本企業では、熟練者の勘や経験による意思決定が一般的でしたが、データドリブンでは客観的なデータをもとに判断を行います。
データドリブンな組織においては、社員が意思決定を行う際、直感や個人的な意見だけでなく、データに裏付けされたエビデンスをセットで考えます。これにより、組織全体でより一貫性のある、かつ効果的な判断を下すことが可能になります。
このように、データドリブンは企業が市場競争に勝ち残るための強力な戦略となります。主観的な推測ではなく、客観的なデータを意思決定の中心に据えることで、より確実で成果の出やすいビジネス展開を実現できることでしょう。
データドリブンに関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ビジネスにおけるデータ活用とデータドリブンの違いとは?具体的な事例をもとに徹底解説!
12.データガバナンス
データガバナンスとは、組織全体でデータの品質や一貫性を確保し、適切なデータ利用を促進するための管理フレームワークを意味する言葉です。データがビジネスにおいて重要な資産として扱われる中、データガバナンスはデータの信頼性を高め、ビジネスプロセスや意思決定を支援するために欠かせない要素となっています。
具体的には、データの収集や保管、利用などに関するポリシーや手順を定め、データの透明性とアクセス制御を保証することがデータガバナンスの主な目的です。これにより、組織はデータに基づいた意思決定を行うことができ、コンプライアンスを遵守しながらデータ活用におけるリスクを最小限に抑えることが可能になります。
データガバナンスに関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【入門】データガバナンスとは?必要性や実施手順、成功事例を解説
13.データマネジメント
データマネジメントとは、企業が収集、保存、分析、保護するすべてのデータを効率的かつ安全に管理するためのフレームワークです。例えば、データの品質管理やセキュリティ、プライバシー保護などの要素を含んでおり、データを企業資産として最大限に活用することがデータマネジメントの目的です。
なお、前述したデータガバナンスとデータマネジメントは似た概念に見えますが、実際には異なる役割を持っています。データガバナンスは、主に「方針の策定」に焦点を当てており、データに関するルールや責任、意思決定などのフレームワークを設定しますが、データマネジメントは「運用と実行」を中心とした考え方であり、実際のデータの収集や処理、保存、保護などを管理します。
つまり、データガバナンスが組織全体のデータ戦略を決める上位の管理フレームワークであるのに対して、データマネジメントはそのガイドラインに基づき、日々のデータ処理や管理を行う実践的なアプローチだと言えます。
14.データサイエンス
データサイエンスとは、膨大なデータから有用な知見を導き出すための学問および技術領域を意味する言葉です。主に統計学やプログラミングなどを活用して、ビジネスや社会に役立つ意思決定をサポートします。
例えば、企業がデータサイエンスを実践することで、顧客の購買データを分析し、顧客のニーズを予測したり、効率的なマーケティング戦略を立てたりすることが可能になります。このように、情報のビッグデータ化が進む現代においては、データサイエンスが強力な武器の一つになると言えるでしょう。
15.データライフサイクル管理
データライフサイクル管理とは、データが生成されてから最終的に廃棄されるまでの一連のプロセスを一元的に管理することです。なお、データライフサイクル管理の英訳は Data Lifecycle Management であり、これを略して DLM と呼ばれることもあります。
昨今、企業が保有するデータ量は増加し、その種類も多様化しています。そのため、効率的なデータ活用を行うためには、膨大なデータを適切に管理する必要があります。また、個人情報をはじめとした機密データが外部漏洩した場合、取り返しのつかない事態に発展する可能性がありますが、データライフサイクル管理はデータの廃棄プロセスも管理対象としているため、情報事故などのインシデント回避にも繋がります。
このように、データライフサイクル管理は現代のデータ駆動型のビジネスにおいて、データの価値を最大限に引き出し、リスクを最小限に抑えることができる重要な取り組みです。データを安全かつ効率的に活用するためには、適切なデータライフサイクル管理が必要不可欠だと言えるでしょう。
データ活用を成功させるためのポイント
最後に、データ活用を成功させるためのポイントについて解説します。どのような点を意識すればよいのか、自社で実践する際の参考として理解しておきましょう。
目的を明確化する
データ活用を成功させるための第一歩は、明確な目的を設定することです。なぜデータを活用するのか、その成果として何を期待するのか、などを具体的に定義しましょう。
例えば、売上の向上や顧客満足度の向上、業務効率の改善など、明確なゴールを設定することで、データの収集や分析の方向性が明確になります。目的が決まっていない場合、データを活用すること自体が目的化してしまい、効果的なアクションに結びつかない可能性があるため、この点には十分に注意してください。
データ品質を担保する
使用するデータの品質は、データ活用の成否に大きな影響を与える重要な要素です。正確で信頼性のあるデータを使用することで、分析結果の精度向上に繋がり、適切なアクションを検討・実行できます。
データの品質を高めるためには、
- データの正確性を確保する:データの入力ミスや欠損値を最小限に抑える
- データの一貫性を保つ:データ形式や定義を統一して複数データソースからの情報を一貫性のある形で管理する
- データの鮮度を維持する:最新のデータを使用する
などを意識するとよいでしょう。
これらの実践により、自社のデータを高品質な状態に保つことができ、結果としてデータ活用を成功へ導くことが可能になります。
組織全体で取り組む
データ活用は、特定の担当者が属人的に行うものではなく、組織全体で取り組むべき大規模なプロジェクトです。そのため、組織全体でデータ活用に取り組むことで、データドリブンな文化の醸成に繋がり、データの価値を最大限に引き出すことが可能になります。
例えば、
- 従業員全体のデータに対する理解を深めてデータ分析スキルを向上させる
- 複数部門でデータを共有し、共同で分析を行うことで包括的なインサイトを得る
- データガバナンスを整備してデータの正確性・安全性を確保する
などが具体的なアクションとして挙げられます。
データ活用を成功させるためには、これらのポイントを意識し、計画的かつ組織的に取り組むことが必要不可欠だと言えるでしょう。
まとめ
本記事では、 DX 担当者のための入門ガイドと題して、データ活用に関連する 15 の基礎用語解説を一挙に取り上げました。
企業がデータ活用を実践することで、組織の生産性向上やデータドリブン経営の実現など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、データ活用の関連用語や成功させるためのポイントを理解しておきましょう。
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