CCoEとは?役割やクラウド活用推進体制の構築方法を解説

CCoEとは?役割やクラウド活用推進体制の構築方法を解説
昨今、多くの企業がクラウド技術を活用し、自社の業務効率化や生産性向上を実現しています。そして、組織全体で適切なクラウド利用を推進するためには、 CCoE が重要な要素の一つになります。 本記事では、 CCoE とは何かという基礎知識に加えて、 CCoE を構築するための方法を 5 つのステップに分けてわかりやすく解説します。自社でクラウド活用を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

CCoE とは?

CCoE とは、「 Cloud Center of Excellence 」を略した言葉であり、企業がクラウド環境を効果的に活用するために結成するチームや組織などを意味します。

 

企業がクラウド戦略を成功させるには、単にクラウドサービスを導入するだけではなく、クラウド利用におけるルールの策定や技術支援、コスト管理、リスク管理などが求められます。そして、 CCoE はこれらを一元的に行う役割を持っており、クラウド運用を組織全体で最適化するための重要な機能の一つとなっています。

 

CCoE の特徴として、クラウド運用を最適化するための専門チームである点が挙げられます。日常業務と並行して作業を進めるわけではなく、プロジェクトに特化した専門組織として結成されるため、組織全体のクラウド活用を効率的に推進できます。

 

CCoE の機能・役割

企業がクラウド活用を推進するうえで、 CCoE は様々な役割を担う組織となっています。本章では、 CCoE の代表的な機能・役割についてご紹介します。

 

クラウド戦略とポリシーの策定

クラウドを効率的に活用するためには、一貫した戦略とポリシーの策定が求められます。 CCoE は組織全体でクラウド利用に関する基準を統一し、リスクやセキュリティを統制するためのガバナンス構築や、安全なクラウド利用を推進するためのセキュリティガイドラインの策定など、様々なアプローチを実践します。これにより、全員が共通認識の下でクラウドを利用できるようになり、安全かつ効率的なクラウド運用の実現に繋がります。

 

技術的サポートとベストプラクティスの共有

昨今、クラウド技術は急速に進化しており、新しいサービスや機能が日々追加されています。そのため、社員がこれらを使いこなせるように、技術的なサポートを行ったり、ベストプラクティスを共有したりすることも CCoE の重要な役割の一つです。また、社員のクラウドに関する知識・スキルを強化するためのトレーニングを CCoE が提供することも珍しくありません。

 

コスト管理と最適化

クラウドは使いやすい反面、リソース利用が増えることでコストが膨らんでしまうリスクもあります。そのため、 CCoE はクラウド利用に伴う費用を管理し、効率的にコストを抑えるための様々な施策を行います。例えば、リソースの利用状況をリアルタイムで監視したり、各部門やプロジェクトに対してクラウド予算を割り当てたりするなど、適切なクラウド利用を推進するための各種アクションを実行します。

 

運用とリスク管理

CCoE はクラウドの運用・リスク管理の面でも重要な役割を担っています。具体例としては、障害発生時のリカバリ計画の策定やインシデントを回避するためのセキュリティ管理、定期的な監査によるコンプライアンス強化などが挙げられます。このように、企業が安全にクラウドを利用するための環境整備の観点からも、 CCoE は必要不可欠な存在であると言えるでしょう。

 

CCoE の導入メリット

企業が CCoE を導入することで、具体的にどのような恩恵を受けられるのでしょうか?本章では、 CCoE の導入メリットを 3 つご紹介します。

 

迅速なクラウド導入と DX 推進

CCoE の導入により、クラウド導入プロジェクトが迅速に進み、ビジネスニーズに応じたスピーディーな対応を実現できます。 CCoE は標準化されたフレームワークやプロセスを提供するため、各部署が独自にクラウドを導入する際の煩雑さが軽減され、スムーズなプロジェクト進行に繋がります。

 

その結果、 CCoE によって構築されたクラウド環境が新たなイノベーションを生み出す基盤となり、組織の競争力向上に貢献します。このように、 CCoE の導入は企業の DX 推進にも大きく寄与すると言えるでしょう。

 

クラウド活用の最適化とコスト削減

CCoE の導入により、組織全体でクラウド利用のベストプラクティスが統一化され、効率的なクラウド運用が実現します。特に、クラウドのリソース管理やコストコントロールを徹底する仕組みを整えることで、不要なコストの発生を抑えられる点は CCoE の大きなメリットの一つです。

 

例えば、使用頻度の低いインスタンスを自動で停止するなど、リソースを適切に管理する仕組みが整備されれば、クラウド利用のコスト削減にも大きく寄与します。このように、コストを低減しながら自社のクラウド活用を最適化するためには、 CCoE が重要な役割を担っています。

 

クラウド知識の蓄積と人材育成

CCoE は、クラウドに関する知見や専門的なスキルを蓄積する役割も担っています。これにより、組織内でクラウドに精通した人材が増え、組織全体の IT スキル向上に繋がります。

 

また、 CCoE が中心となってトレーニングやワークショップなどを開催すれば、クラウド活用に関する最新の技術や知識を組織内で共有できます。昨今、クラウド技術をはじめとした IT スキルはビジネスマンにとって必要不可欠となっているため、組織全体の IT スキルを底上げできる点は、 CCoE の大きなメリットの一つだと言えるでしょう。

 

CCoE を構築するための 5 ステップ

CCoE を構築するためには、適切な手順に沿ってプロジェクトを進めていく必要があります。本章では、 CCoE の構築方法について、 5 つのステップに分けてわかりやすく解説します。

 

Step.1  目的・ビジョンを明確化する

CCoE を構築するためには、はじめに組織における CCoE の役割と目指すべきビジョンを明確に設定することが大切です。クラウドを活用してどのようなビジネス価値を提供するのか、どのような成果を目標とするのか、などを関係者と共有し、 CCoE の存在意義を組織全体で理解してもらうことが重要なポイントになります。

 

仮に、目的・ビジョンが曖昧なままプロジェクトを進めた場合、せっかく CCoE を結成しても思うような効果を得ることはできません。このように、初期段階で CCoE の活動方針や目標を指し示す「道しるべ」を作ることが、適切な CCoE を構築するための第一歩になります。

 

Step.2 専任チームの編成と責任範囲の設定を行う

CCoE を効果的に運用するためには、プロジェクト専任のチームを編成し、メンバーの役割と責任範囲を明確化する必要があります。そして、記事の前半でご紹介したように、 CCoE に求められる人材は多岐にわたります。

 

例えば、クラウド技術に精通したエンジニアやコスト管理に詳しい人材などを揃えて、適切なリーダーシップの下で運営することが重要なポイントです。また、様々な人材を集めるだけではなく、チーム内で明確な役割分担を行うことで、組織全体におけるクラウド活用を効率的に推進できるようになります。

 

Step.3 クラウドガバナンスのポリシーを策定する

専任チームを結成した後は、クラウドガバナンスのポリシーを策定します。このポリシー策定が CCoE の核になると言っても過言ではないでしょう。

 

策定するポリシーの一例としては、

などが挙げられます。

 

これらのポリシーを CCoE で標準化することで、組織全体のクラウド活用に一貫性を持たせることが可能になり、リスクを最小限に抑えながら適正なクラウド利用を促進できます。

 

Step.4 トレーニングと知識共有の体制を整える

クラウドガバナンスのポリシーを策定したら、次はトレーニングや知識共有を行うための体制構築を行います。前述した通り、 CCoE はクラウドに関する知識とベストプラクティスを組織内に広める役割を担っており、これによって社員のスキルアップを図ることができます。

 

具体的には、定期的なトレーニングやワークショップなどを CCoE が開催し、社員にクラウドスキルを習得してもらうための体制を整備します。加えて、ナレッジ共有のためのドキュメント作成やポータルサイト構築など、誰もがクラウドに関する情報にアクセス可能な状態を保つことで、組織全体のクラウドスキルを底上げできます。

 

Step.5 継続的に PDCA サイクルを回す

CCoE は一度構築して終わりではなく、常に改善と評価を繰り返すことで、その価値や効果を最大化できます。なぜなら、クラウドの利用状況や市場トレンドは日々変化しており、それに伴って理想的な CCoE の在り方も変わるからです。

 

そのため、定期的に CCoE の活動やポリシーなどを見直し、必要に応じて更新することが重要なポイントです。また、 KPI や定量評価を通じて CCoE の導入効果を測定し、その成果を上層部に報告すれば、 CCoE の価値を組織全体に浸透させることが可能になります。



CCoE に求められる人材

CCoE は組織横断的に結成されるクラウドのエキスパート集団です。それでは、具体的にどのような人材が CCoE に必要なのでしょうか。

 

以下、 CCoE に求められる代表的な人材を表にまとめます。

 

職種

役割

プロジェクトマネージャー

プロジェクトの計画や進捗管理、予算管理、チーム間調整などを担当し、プロジェクトを成功に導く

リードアーキテクト

システムやソフトウェアの全体構造(アーキテクチャ)を設計し、技術的な方向性や標準を決定する

オペレーションエンジニア

システムの運用・保守や監視、障害対応などを行い、安定的なシステム稼働をサポートする

インフラエンジニア

サーバーやネットワークなどのインフラストラクチャの設計・構築・管理を行い、システムの基盤を整備する

セキュリティエンジニア

システムやデータの安全性を確保するため、脆弱性の診断や対策、セキュリティポリシーの策定などを行う

アプリケーションエンジニア

顧客の要件に基づいてソフトウェアやアプリケーションの設計・開発を行う

 

このように、 CCoE を結成する際は、様々な人材が集まって組織されることが一般的です。各分野の専門家が知恵を出すことで、組織全体で効率的なクラウド運用を実現できます。

 

ただし、日本では慢性的な IT 人材不足が続いており、優秀な人材を確保することは容易ではありません。そのため、新たな人材を雇用するだけではなく、既存社員に対して教育やトレーニングを施し、 IT 人材化することも有効な選択肢になります。

 

なお、自社だけで教育を行うのが難しい場合は、外部の専門家にトレーニングを依頼するとよいでしょう。クラウドに関する知識・経験が豊富なプロに任せれば、短期間で大幅なスキルアップを見込むことができます。

 

CCoE 構築を成功させるためのポイント

CCoE の構築を実践する際には、いくつか意識すべき留意点が存在します。最後に、 CCoE 構築を成功させるためのポイントを 3 つご紹介します。

 

経営層のサポートと明確なビジョンの共有

CCoE を構築するためには、経営層からのサポートや明確なビジョンの共有が欠かせません。経営層がクラウド活用の重要性を理解し、 CCoE に必要なリソースを割り当てて支援することで、効率的な CCoE の構築を実現できます。また、組織全体で「なぜ CCoE が必要なのか」「 CCoE の導入はどのような価値を生むのか」といった具体的なビジョンを共有することで、関係者が同じ方向を向いてプロジェクトを進められるようになります。

 

専門知識を持つ IT 人材とリソースの確保

CCoE を成功させるためには、クラウドに精通した専門知識を持つ人材を確保することが大切です。例えば、エンジニアやアーキテクト、セキュリティ専門家など、クラウドの各分野で知識と経験を持ったメンバーを揃えることで、効果的なガバナンスの実施や技術支援が可能になります。加えて、必要なツールやシステムの予算を確保し、最新のクラウド技術を活用できるようにリソースを整備することも重要なポイントになります。

 

継続的な評価と改善プロセスの導入

CCoE は一度構築して終わりではなく、常に改善と評価を繰り返すことが求められます。クラウドの利用状況やトレンドは日々変化するため、定期的に CCoE の活動やポリシーを見直し、必要に応じて更新を行いましょう。さらに、 KPI や定量評価を通じて CCoE の効果を測定し、その成果を上層部に報告することで、 CCoE の価値を組織全体に示すことができます。

 

まとめ

本記事では、 CCoE とは何かという基礎知識に加えて、 CCoE を構築するための方法を 5 つのステップに分けてわかりやすく解説しました。

 

企業が CCoE を導入することで、クラウド活用の最適化やコスト削減、 DX 推進など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、具体的な進め方を理解しておきましょう。

 

当社 G-gen では、

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また、今回ご紹介した CCoE に関しても、組成から運営までを一括でサポートする CCoE 伴走支援ソリューションを提供しています。活動計画の策定やガバナンス設計はもちろんのこと、 Google Cloud のベストプラクティスによる最適化も行っていますので、関心のある方はこちらをご確認いただき、ページ最下部の問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

 

本記事を参考にして、 CCoE の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

 

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