実践的クラウド教育でGoogle Cloud人材の育成を推進

「実践的な技術者を育てるという大学の理念に基づき、今の時代のシステム開発に欠かせないクラウド技術を体系的に学べる環境を提供したいと考えました。G-genのトレーニングを取り入れた授業により、学生たちは実際の現場で使える技術を身につけることができています」
国立大学法人長岡技術科学大学 情報・経営システム工学分野 湯川高志教授
長岡技術科学大学では、2023年から大学院生を対象にGoogle Cloudの実践的な授業を実施しています。産学連携を開学理念とする同大学が、なぜクラウド教育に注力するのか。その背景と成果について、情報・経営システム工学分野の湯川高志教授にお話を伺いました。

国立大学法人 長岡技術科学大学様
1976年の開学以来、産業界と密接に連携しながら高度な実践的技術者を育成してきた長岡技術科学大学。特に情報・経営システム工学分野では、AIやセキュリティ、システム設計などを中心に、現代社会における情報技術の応用力を重視した教育・研究を展開しています。
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
半世紀近くの産学連携の歴史が生む、実践的教育への挑戦
長岡技術科学大学は、1976年の開学当初から「産学連携」を掲げる特色ある工学系大学です。当時としては画期的だったこの理念は、現在の同大学の教育システムに深く根付いています。
「本学の学生の多くは高専から3年次に編入し、大学院修士課程まで進学します。高専で5年間専門教育を受けた学生に対して、さらに4年間の高度な教育を提供し、実践的な技術者として育成することが我々の使命です」と湯川教授は語ります。
この実践的教育の象徴が、4学年の第2、第3学期に実施される5ヶ月間の長期インターンシップ(実務訓練)です。同大学の特徴ともなっているこの制度により、学生は実際の企業現場で技術者として働く経験を積むことができます。
「毎年約400名の学生が全国の企業で実務訓練を受けています。内容は単なる見学ではなく、開発チームの一員として実際のプロジェクトに参加するケースも少なくありません。この経験により学生は自分の適性を見極め、企業も学生の能力を評価でき、結果として本学卒業生の3年離職率は約8.5%と、工学部の全国平均(約20%)を大きく下回っています。これは特筆すべき成果です。」(湯川教授)
クラウド時代に対応した新たな教育プログラムの必要性
こうした実践的教育の伝統を持つ同大学が、新たに取り組んだのがクラウド技術の教育です。2023年、大学院生向けに「情報システム設計特論」という科目を立ち上げ、Google Cloudに関する実践的な内容の授業を開始しました。
「現代のシステム開発において、クラウドの活用は避けて通れません。しかし大学教育では、AIのアルゴリズムやデータ分析の理論は教えても、それを実際に動かすクラウド環境について学ぶ機会は限られていました。学生が社会に出てすぐに活躍できるよう、このギャップを埋める必要があったのです」(湯川教授)
同大学では、Google Workspaceを全学的に導入し、セキュリティの観点からもクラウドファーストの方針を採用しています。約3,000名の学生・教職員がGoogleドライブを活用し、ローカル環境にデータを保存しない運用を徹底しているという背景も、Google Cloud選択の一因となりました。
体系的なカリキュラムで基礎から実践まで網羅
G-genが提供するトレーニングプログラムをベースとする授業は、集中講義形式で実施され、合格点をとった受講生は単位が認められます。授業の内容は以下の通りです。
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Google Cloud基礎とハンズオン入門
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BigQueryを使用したビッグデータ分析
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Google Cloud Fundamentals: Core Infrastructure
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Bigdata & Machine Learning Fundamentals
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Vertex AIを使用したAIエージェント構築
「講義は説明とハンズオンの繰り返しで構成されています。学生は実際にクラウド環境を操作しながら、インフラからAI活用まで体系的に学ぶことができます」(湯川教授)
実際にプログラムを受講した学生からは『Google Cloudはサービスの数が多いため、独学で学ぼうとするには難しいと感じていたが、それらの機能や特徴について網羅的に学べる機会が得られたことが非常に良かった』という評価を得ており、特に実務訓練で部分的に触れたクラウド技術を体系的に学び直すことで理解が深まったという感想が寄せられているといいます。また、就職活動においてGoogle Cloudが使えることは大きなアドバンテージになると湯川教授は指摘します。
産業界から高く評価される人材育成の成果
同大学の実践的教育は、産業界からも高い評価を受けています。特に、5ヶ月間の実務訓練を経験した学生は、企業の実情を理解した上で就職先を選択できるため、ミスマッチが少ない点が大きな特徴です。
「実務訓練から戻った学生たちは、報告会において各自の経験を共有する機会を得ます。業務の内容そのものは企業秘密にあたる場合も多いためほとんど報告に含めませんが、企業での活動により得た経験や雰囲気、自身の成長について共有します。これにより、学生は、自身が派遣された企業以外のさまざまな企業の実情も知ることができます。結果として学生の企業理解が深まり、適切なキャリア選択につながっているのです」(湯川教授)
クラウド教育についても、すでに企業からの期待が寄せられています。IT系企業だけでなく、製造業や自動車産業など、DXを推進する企業からも注目されているといいます。
日本発のグローバルサービスを生み出す人材育成を目指して
湯川教授は、今後の展望について次のように語ります。
国立大学法人長岡技術科学大学 情報・経営システム工学分野 湯川高志教授
「クラウド技術は今やIT技術者にとって必須のスキルです。より多くの学生にこの授業を履修してもらい、実践的な技術を身につけてほしい。そして将来的には、日本発で世界にサービスを提供できるようなスタートアップを、本学の卒業生が立ち上げてくれることを期待しています」
また教育内容についても継続的な改善を計画しています。
「技術トレンドは急速に変化しますが、ネットワークやインフラといった基礎部分はしっかりと維持しつつ、AIやビッグデータ処理など最新技術も積極的に取り入れていきます。特に日本では、インフラエンジニアの教育が不足していると感じています。この分野の教育も今後強化していきたいですね」(湯川教授)
長岡技術科学大学は、産学連携の伝統と最新のクラウド教育を融合させた新しい工学教育のモデルケースとして、実践的な技術者の育成を推進しています。G-genの協力のもと、同大学は今後も日本のIT産業の発展に貢献する人材の育成に取り組み続けます。
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