中小企業向け補助金を活用した DX 化! 生成 AI の導入で従業員教育の効率化を実現
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「生成 AI を活用した Web アプリケーションの導入により、これまで OJT にかかっていた時間とコストの削減が期待できます。経験の浅い従業員が『新たな気づき』を得られるという点でも、大きな教育効果がありました」
有限会社木村屋 取締役 吉野薫氏
種類豊富な和洋菓子やパンを取り扱う有限会社木村屋。同社の商品は季節の贈り物として広く利用される一方、お客様のニーズに合った商品の組み合わせについて、入社間もない従業員にどう教育するかが課題だったといいます。今回は、生成 AI を活用した Web アプリケーションの構築により、課題解決に向けた取り組みについて、同社取締役の吉野薫様に伺いました。
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有限会社木村屋様
銀座木村屋からのれん分けを受け創業130余年、山形県鶴岡市に本社を置く菓子製造販売業者である有限会社木村屋。贈答・お土産用として喜ばれる銘菓「古鏡」をはじめ、北国鶴岡の伝統菓子を作り続けています。同社の和洋菓子は、国内外で数々の賞を受賞するなど高く評価されています。
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
膨大なノウハウが必要な店舗業務。人手不足が従業員教育の重荷に
有限会社木村屋では、店舗を訪れるお客様の予算やニーズに合わせて「お菓子の詰め合わせ」を提案しています。慢性的な人手不足に苦しむなか、同社では経験が浅い従業員に、どうやってそのノウハウを身に付けてもらうかが課題となっていました。お菓子の詰め合わせノウハウの習得には「5年ぐらいの経験が必要」で、そのことが従業員にとってプレッシャーになっていたといいます。
新人教育に費やす時間の削減と、従業員が感じるプレッシャーの軽減。これらを実現する方法として、取締役の吉野薫氏が目を付けたのが「ベテラン社員の豊富な知見を活用し、Vertex AI Search と Gemini を用いて開発された Web アプリケーション」です。
「最初はマニュアル作成なども検討しましたが、お菓子の種類だけで30種類以上あり、さらにお客様の予算、1箱に何個入るかなど、さまざまな要素を組み合わせると膨大な数となるため、現実的な解決策ではありませんでした。
そこで、ベテラン社員にアンケートを実施し「私だったらこのような詰め合わせにする」という情報を集約、データベース化、「その情報をデータソースとした生成 AIの活用に注目しました」と吉野氏は振り返ります。
中小企業向けの補助金を活用して、G-gen にシステム開発を依頼
Web アプリケーションを開発することにしたもう一つのきっかけは、山形県が公募していた「山形県中小企業パワーアップ補助金」です。IT の活用で業務効率化を図る中小企業の取り組みを支援する制度で、木村屋は「業務効率化のための AI を活用した社内知見共有システムの構築」としてこれに応募し、採択されました。
システムの構築を担当した G-gen について、吉野氏は選定の理由について次のように語ります。「G-gen と出会ったのは、インサイドセールス担当の方から電話いただいて Gemini のセミナーを受けたことが最初のきっかけです。これまでの実績や、開発に関するブログなどの情報発信を拝見して、他のベンダーよりも G-gen に声をかけた方が間違いないと感じました」
G-gen のノウハウで「わかりやすくシンプルな UI 」を実現
Web アプリケーションの基本的な仕組みは、iPad 上で価格を設定し、必要に応じて商品を選択すると AI が条件に合致する商品をピックアップするというものです。ただし、その UI 設計については苦労もあったと吉野氏は話します。
Web アプリケーション画面のキャプチャ-おすすめ商品検索システム
「操作を簡単にするため、最初は音声対応も考えました。ただそれでは接客中に使うことは困難です。そこで『わかりやすくシンプルな UI にする』ことを念頭に、店舗の意見を踏まえながら、G-gen に実装を工夫していもらいました」
構成図
従業員からの評価は上々。OJT の時間短縮効果も実感
Web アプリケーションの開発は2024年9月末ごろにスタートし、システム構築が完了したのが12月末。「完成から1か月弱ということもあり、まだ全社展開までには至っていません」と語る吉野氏。現時点では、入社年次が浅い5名の従業員が利用して、少しずつ業務に役立てています。
Web アプリケーション利用の様子
使用している従業員からは「ネットショッピングのように、身近で親しみやすい UI 」という感想が聞かれており、評判は上々です。お客様に詰め合わせを素早く提案できることや、「こんな詰め合わせの仕方があったんだ」といった気付きが得られることにも、成果を感じているそうです。
一方、定量効果について吉野氏はこう話します。「まだ使い始めということもあり目に見えた形での評価は難しいのですが、これまで OJT として指導していた時間が1日あたり15分ほど短縮されている印象です。今現在は5名に使ってもらっているため、1人15分、1日あたりトータル75分の時間短縮効果です」
AI を経営の効率化にも生かしていきたい
今後の展開について、吉野氏は「AI で売れ筋の商品のデータも把握できるようにしたい」と語ります。人気商品のデータをお客様への提案に生かせるようになれば、人手不足の解消に役立ちます。また商品ごとの売上データを蓄積して販売予測までできるようになれば、より効率的な経営が可能です。
有限会社木村屋 取締役 吉野薫 氏
Web アプリケーションのさらなる進化に向けて、吉野氏は G-gen への期待も語っています。「システム開発では、知見がない私たちでもわかるよう、細かく丁寧な説明をしてくれました。現場の声を反映したシステムの改修にもレスポンスよく対応してくださり、安心して仕事をお任せできるという印象です。今後もDXの進め方について相談に乗っていただきたいと思っています」
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