Google Workspaceへの移行でセキュアなメール基盤を実現

「オンプレサーバーで運用していたメール環境を Gmail へ移行したことで、長年悩まされていた大量の迷惑メールがほとんどなくなり、職員が本来の業務に集中できる環境が整いました」
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 事務局情報企画課 情報推進係長 喜田泰史氏
神戸市内に4つの病院を展開し、約4,000人の職員が地域医療を支える地方独立行政法人 神戸市民病院機構。医療DXや働き方改革を進める中、長年運用してきたオンプレミスのメールサーバーが大きな課題となっていました。セキュリティ強化や運用負荷の軽減、そして職員の働き方改革を目指した一大プロジェクトについて、法人本部 DX推進課長の小前哲治氏と中央市民病院 事務局 情報企画課 情報推進係長の喜田泰史氏にお話を伺いました。

地方独立行政法人 神戸市民病院機構様
地方独立行政法人 神戸市民病院機構は、平成21年に設立された地方独立行政法人です。神戸市内で4つの病院(中央市民病院、西市民病院、西神戸医療センター、神戸アイセンター病院)を運営し、質の高い医療を安全に提供することで、市民の生命と健康を守るという役割を果たしています。
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
サーバー保守切れとセキュリティ運用負荷、大量の迷惑メールが医療現場の課題に
長年にわたり、オンプレミスのメールサーバーを運用していた神戸市民病院機構。保守切れやセキュリティ対策の必要性から、システムの見直しが急がれていました。
中央市民病院 事務局 情報企画課 情報推進係長の喜田泰史氏は当時の状況について「OS のサポート切れに加えて、セキュリティ対策として各種ソフトウェアのアップデートを継続的に行う必要がありました。これらを自分たちで管理し続けるのは大きな負担でした」と振り返ります。
課題はサーバーの保守・運用だけではありません。従来のメールサーバーは5TB程度の容量しかなく、職員はメールをそれぞれの端末にダウンロードして運用していました。そのため、端末の入れ替えや部署異動のたびにメールデータの移行トラブルが頻発し、情報システム部門はその都度対応に追われていたといいます。
また、医師の働き方改革を進める中で、院外からも安全にメールを送受信したいというニーズが高まっていました。しかし、オンプレミス環境ではセキュリティ上の懸念から、それが実現できずにいたといいます。
「医師のメールには1日に30件、40件もの迷惑メールが届き、業務の妨げになっていました。また、機構から送信したメールが相手先でブロックされてしまうトラブルが発生したこともあり、安定したコミュニケーション基盤の構築が急がれていました」(喜田氏)
クラウド移行を前提とした入札で、G-genの提案を採用
増大する運用負荷とセキュリティリスクの解決に向け、同機構はメールシステムのクラウド移行を決定しました。「インフラの管理をクラウドに任せることで、私たちは他の業務に専念できると考えました」と喜田氏は語ります。
地方独立行政法人では、物品の納入やサービスの提供は入札によって選定されます。2024年8月に行われた「クラウドメールサービス構築業務」の一般競争入札では、コスト面で最も優れていた G-gen の提案が採用され、最終的に Google Workspace が選ばれました。
プロジェクトが始動したのは2024年8月のお盆明けで、12月中旬の切り替えに向けて本格的に動き始めました。
G-gen の丁寧な説明が、円滑なルール策定とユーザーの納得につながる
プロジェクトは週2回の定例会を中心に進められました。G-gen の構築支援がオンラインで提供されることに多少の不安を感じていたという喜田氏は、当時の思いについて、次のように振り返ります。
「『構築支援はほとんどリモートです』と言われたときは、正直、少し不安に感じました。しかし、トラブルが起きることもなく、むしろミーティングではアイスブレイクの時間を設けるなど、G-gen のコミュニケーションの巧みさを感じました」
一方で、2,300ユーザーという大規模な移行、しかも年末の繁忙期というタイミングでの切り替えには、やはり困難も伴いました。特に、院外からアクセスする際の二要素認証については、ユーザーから『なぜこのような手間が必要なのか』といった声も寄せられたといいます。
情報システム部門では5〜6人体制で問い合わせに対応し、各病院の情報担当スタッフの協力も得ながら、ユーザーサポートにあたりました。「移行に伴う混乱は1〜2ヶ月ほどで収まりました。Gmail という知名度の高いサービスだったことが、良い影響を与えたと思います」(喜田氏)
加えて、法人本部 DX推進課長の小前哲治氏は G-gen のサポート体制も高く評価してします。「Google のサイトを見ていると、日本語が分かりにくい部分があるんです。それを G-gen が内容を噛み砕いて説明してくれたので、院内のルールやポリシーをスムーズに策定できたと感じています」
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 法人本部 DX推進課長 小前哲治氏
迷惑メールの根絶と運用負荷の劇的な削減を実現
Google Workspace への移行は、長年機構を悩ませてきた課題を劇的に改善しました。最も大きな効果として職員から声が上がっているのが、迷惑メールの撲滅です。それまで業務の妨げとなっていた迷惑メールが、移行後はほとんど届かなくなったといいます。「『迷惑メールが減った』と言われたのが、一番良かった点ですね」(喜田氏)
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 事務局情報企画課 情報推進係長 喜田泰史氏
加えて、運用管理の負荷も大幅に削減されました。これまで年度末の繁忙期に情報システム部門を悩ませていた「部署異動に伴うメールデータの移行作業」が、クラウド化によって不要になったためです。
「Gmail になって、まずメールの移行が不要になりました。ブラウザでアクセスするだけで利用できるため、移行サポートの手間が大幅に減ったことが、最も大きな変化だと思います」と喜田氏は語ります。サーバーの保守やアップデートといった煩雑な作業からも解放され、担当者は本来注力すべきDX推進などの業務にリソースを集中できるようになりました。
また、切り替え当初に多発していたユーザーからの問い合わせも自然と減り、新しい環境が着実に浸透している様子がうかがえます。
Gmail を基盤に、生成 AI 活用と「新たな働き方」の実現へ
今回のプロジェクトの目的は、あくまでメールサーバーのクラウド移行に絞られていました。しかし、小前氏は「メールシステムの更新に併せて、Google Workspace では Google Meet や Gemini、Google ドライブといったクラウドストレージなどのサービスも利用できるようになりました。今までできなかったことが一気に可能になっています」と、Google Workspace の持つ可能性に期待を寄せています。
今後、同機構では事務作業の効率化を目的として、Gemini や NotebookLM といった生成 AI の活用を普及させていく考えです。現在は事務職員向けに限定している Google ドライブや Google Meet の活用も、今後は徐々に拡大していく予定です。
「5年間の契約期間で、職員に Google Workspace の価値を浸透させ、5年後に『これからも Google を使い続けよう』と思ってもらえるくらい、デジタルツールによる働き方の変化をもたらすことが、今後の課題だと考えています」と語る喜田氏。G-gen との良好なパートナーシップのもと、長期的な視点で、Google Workspace の活用促進を見据えています。
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