デジタルビジョンを掲げ、リアルとデジタルの融合を推進

デジタルビジョンを掲げ、リアルとデジタルの融合を推進

「データガバナンスを統制することで、情報セキュリティの問題を解決し、デメリットを消せたことが大きな成果になったと思います」
三菱地所株式会社 DX推進部 マネージャー 伊東 俊哉様

三菱地所株式会社は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)により生活者が暮らしやすさを実感できる新しいまちづくりを目指す「三菱地所デジタルビジョン」を策定しました。その基盤となるクラウドとして Google Cloud を導入しました。Google Cloud の導入の経緯を三菱地所株式会社の伊東俊哉様、山﨑郁夫様、三菱地所ITソリューションズ株式会社 清水俊男様、中尾塁様にお話を伺いました。

三菱地所株式会社様

三菱地所株式会社様

三菱地所株式会社は、「私たちはまちづくりを通じて社会に貢献します」という基本使命のもと、100年以上に亘り国内外で街づくりを行ってきました。世界で培われたデベロッパーとしてのノウハウを活かし、様々な空間やサービスに求められる本質的な価値を追い求めています。

  • この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

グループで取り組むプロジェクトを推進するために、システム連携とガバナンスが課題

三菱地所株式会社は、日本有数の不動産デベロッパーであり、主にオフィスビル、住宅、商業施設の開発・運営に加え、都市開発なども展開しています。2021年に「三菱地所デジタルビジョン」を策定し、不動産というリアル事業とデジタルを融合した新たな価値の創造を目指しています。多様な施設やサービスを一つのIDに統合することでUXを向上する「Machi Pass」や顔認証システムなどはすでに提供が開始されています。

デジタルへの取り組みに積極的である同社ですが、システムに関する課題もありました。不動産開発のプロジェクトは多くのグループ会社が参画し、共同で推進していきます。しかしながら、各プロジェクトやグループ会社のシステムは独立した状態で構築されており、データの活用などにおいてグループの力が十分に発揮できる状況ではありませんでした。

また、ガバナンスの観点でも課題がありました。「利便性を優先するあまり、リモート環境でもデータアクセスが容易な状況で、情報セキュリティの観点で潜在的なリスクがありました」とDX推進部マネージャーの伊東俊哉氏は振り返ります。

グループ間のシステムを連携してデータを活用すると同時に、潜在的なリスクを低減するための施策として Google Cloud を活用した基盤の整備が求められたのです。

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DX推進部 マネージャー 伊東 俊哉様

マルチクラウドの利用で、それぞれの特長を活かしながら運用

同社のクラウド基盤への取り組みは、2019年にさかのぼります。当時はクラウドの成長期であり、それを牽引した Amazon Web Services ( AWS ) をベースにクラウド基盤を整備しました。しかし、より積極的な活用を目指すうえで、マルチクラウドという選択肢が必要でした。基盤を統合することでデータを集約し、その活用を推進するにあたり、データ集約、分析およびその先にある生成 AI などに強い Google Cloud の導入は必然でした。さらに、グループ会社の中にはすでに Google Workspace を利用しているケースも多く、Google Cloud の導入を後押ししました。

ユーザー向けにはマルチクラウドでの提供メニューを用意していますが、特に Web サイト構築などのシンプルなアプリケーションの展開や、データ活用のニーズがある場合には Google Cloud の展開を推奨しています。例えば、Web サイトを Google Cloud で構築し、アクセス情報などが蓄積される Google Analytics から API を介して BigQuery にデータを集約し、分析を行うなどの一連の展開が容易にできるようになっています。

Web サイトの展開では WordPress ベースのテンプレートを用意し、ユーザー部門はサイトのデザインやコンテンツの充実に専念できるようになる予定です。

豊富な情報量を持つG-genをパートナーとして選定

マルチクラウドのメリットを生かしながら Google Cloud の基盤を整備してきた同社ですが、パートナー選びも重要でした。基盤のベースとなるID管理の検討を開始したのは2021年でしたが、当時はまだ Google Cloud に関する情報が十分ではありませんでした。

「そのような状況で、特に有用な情報提供をしていたのが G-gen の Web サイトでした。Google Cloud に関する豊富な経験やノウハウと、資格取得者の多さに期待して声をかけました」とDX推進部グループITインフラユニット マネージャー 山﨑郁夫氏は振り返ります。さらに「提案内容も期待以上で、群を抜いていました」と評価します。

システムの展開スピード感の向上と潜在的リスクの低減

マルチクラウドのコンセプトをベースに2023年末に展開を開始した Google Cloud の基盤ですが、すでにユーザー部門での活用が始まっています。その効果について、展開スピードの向上と潜在的リスクの低減の2つが挙げられます。

展開スピードに関しては、アプリケーションなどのテンプレート化によって迅速に実装できるとともに、ユーザー部門への支援も効率化できていると評価します。「これまでは、個別の要件に基づいて都度対応していたため、複雑で手間も時間もかかっていましたが、現在では個人情報の取り扱いの有無やAPIの利用など、いくつかのチェックポイントを確認するだけで最適な環境を提案することができるようになりました。」(山﨑氏)

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DX推進部グループITインフラユニット マネージャー 山﨑郁夫氏

また、潜在的なリスクへの対応についても、ベースとなるIDの統合とガバナンスの強化により、コントロールすることができるようになり、セキュリティを担保しながら自由度の高い環境を提供することが可能になりました。

これにより、当社が目指すデジタルの活用による価値の創造と業務改革を着実に推進できるようになったと認識しています。

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Google Cloud 構成図

ユーザーによるデータ活用と内製化に向けた資格取得の推進

クラウドの活用基盤は整いつつありますが、ユーザーがよりデータ活用や分析をしてビジネスに役立てる環境を浸透させることと、システム構築の内製化を今後の課題として挙げています。
データ活用については、これまで個別に構築してきたデータをいかに BigQuery に集約して分析用のデータウェアハウスを構築できるか、そしてそれを一般ユーザーが活用できる環境をどう提供していくか、といったことが課題の一つです。

データの集約に関しては、個別のシステムごとで管理しているデータの粒度や精度を整えてゆく必要がありますが、これには地道な取り組みが不可欠です。そして、そのデータを活用するためには、ユーザーにわかりやすいインターフェイスが必要です。「BigQuery に集約したデータを Looker Studio で分析できる環境を整えていきますが、さらにその先の環境も必要だと感じています。たとえば生成AIを活用してデータから得られるインサイトをユーザーに提示し、判断や施策の立案などにより専念できるようにしたいと考えています」(伊東氏)

また、今後内製化も重要だと考えています。「プロジェクトのプライムとしての役割を期待されており、Google Cloud に関するノウハウを自分たちも蓄積する必要性を強く感じています。そのために内製化を目指しています」と三菱地所ITソリューションズ株式会社ネットワーク・インフラ部プロジェクトディレクター清水俊男氏は語ります。またネットワーク・インフラ部中尾塁氏は「資格取得も推進しています。メンバーも意欲的に取り組んでいます」と補足します。

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ネットワーク・インフラ部プロジェクトディレクター清水俊男氏

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ネットワーク・インフラ部中尾塁氏

こうした内製化への取り組みに対しても G-gen は寄り添う形で支援しています。これは G-gen の基本的コンセプトでもあり、共同でデジタル活用の次のステージを目指しています。

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