マルチクラウド環境でのセキュリティ統制と Google Cloud へのスムーズな移行
「クラウドはあくまで手段であって、目的ではありません。Google Cloudをはじめそれぞれのクラウドの特徴を生かし、上手に使い分けることを目指しています」
ディップ株式会社 佐藤克洋氏
企業の採用担当者に代わって、アルバイトの応募受付や面接日時の設定などのルーチン作業を自動化する「面接コボット」。そのリアーキテクトをきっかけに、Google Cloudへの移行とマルチクラウド環境の構築を行った経緯と効果について、ディップ株式会社の佐藤克洋氏、藤井貴昭氏にお話を伺いました。
ディップ株式会社様
ディップ株式会社は、日本最大級のアルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」などの求人メディアを手がける会社です。2019年からはDX事業にも力を入れ、採用担当者の代わりにロボットが応募受付や面接日時の設定を自動で対応する「面接コボット」などの各種DXサービスをリリースしています。
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
サービスの内製化に向けて、Google Cloud への移行を検討
「バイトル」などの求人メディア運営で知られるディップ株式会社。2019年にはDX事業本部(当初はAI・RPA事業部)を立ち上げ、中小企業のお客様における人材不足の課題を解決するサービスを提供してきました。現在までに、求職者と企業の面接日程調整を自動化する「面接コボット」をはじめ、「人事労務コボット」「集客コボット」「常連コボット」などをリリースしています。
コボットの開発を行っているのは、DX事業本部 商品企画統括部 プロダクト開発 テクニカルソリューション課です。これまでは外部ベンダーとチームを組んで開発を行ってきた同課ですが、近年は「成長期になったサービスをより進化させるためには、提供スピードをより早めるだけでなく、ガバナンス等の面でもさまざまな問題が出てくるため、内製化も必要である」と感じていたそうです。
内製化に向けて、同課が目指したのがクラウド環境の整備です。「実は当初から Google Cloud を利用していましたが、使っていたのは Google Workspace などのコラボレーションツールでした。面接コボットは別のパブリッククラウド上で動いていたため、そこから Google Cloud への移行を検討しました」と、課長の佐藤克洋氏は振り返ります。
用途 / 得意分野に応じたマルチクラウド利用
面接コボットの移行先に Google Cloud を選んだ理由について、佐藤氏は「 AWS とのマルチクラウド環境」を挙げます。
「当社の方針としてマルチクラウドを推進しています。それぞれのクラウドにはそれぞれ得意な分野があります。プロダクトダトの特性にあわせて選択する、組み合わせたほうが、より最適な選択ができると考えています。当時の面接コボットのメイン機能は別のクラウド上にありましたが、一部の機能は既に Google Cloud で動いていたことと、協力しているベンダーさんが Google Cloud に慣れていたことなどもあって『いい機会だから Google Cloud にしましょう』となったのです」。
ディップ株式会社 DX事業本部 商品企画統括部
プロダクト開発 テクニカルソリューション課 課長 佐藤克洋 氏
ちなみに同社では、サービスごとにクラウドを使い分けています。「あくまでクラウドは手段であって目的ではない」と佐藤氏は語ります。それぞれのクラウドが持つ機能や得意分野を生かして「あるサービスは Google Cloud を使い、別のサービスでは AWS や Azure を使う方針をとっています」。
現在の面接コボットは、Google Cloud と AWS のマルチクラウド環境で稼働していて、両者をうまく連携させています。
構成図
セキュリティ面の強化対応を中心に、G-gen のサポートを利用
Google Cloud への移行は2022年に行われました。DX事業本部 商品企画統括部 プロダクト開発 テクニカルソリューション課 テックリードの藤井貴昭氏は、プロジェクトのパートナーとして G-gen を選んだ理由についてこう語ります。
「G-gen については、親会社のサーバーワークス社から紹介していただきました。我々としても他のパブリッククラウドのノウハウはあるものの、Google Cloud のナレッジが少なく、特にセキュリティ面できちんとした構成ができているか確認していただきたいと考えていました」。
ディップ株式会社 DX事業本部 商品企画統括部
プロダクト開発 テクニカルソリューション課 テックリード 藤井貴昭 氏
G-gen からは、技術相談会の開催と Slack での技術QAの支援を受けています。データベースが特殊な構造になっている面接コボットでは「特有の問題が出てくる」という藤井氏。通常の質疑応答であれば「分かりません」と返されるような複雑な問題も、G-gen では弊社がやりたいこと把握したうえで、しっかりアドバイスしてくれるといいます。
「プラットフォームの移行は目的ではなく、特殊なデータベース構造を Google Cloud のデータベースサービスを利用してひとつのデータベースに統合することが目的です。G-genさんはそうした立場に合わせて回答をしてくださるので、とても助かっています」(藤井氏)。
G-genサポート内容
コンテナまわりの使いやすさと可視化が Google Cloud の強み
DX事業本部では、Google Cloud の導入に合わせて Google 社のトレーニングプログラムも利用しました。その結果「これまで Google Cloud をまったく触ったことがない」メンバーのあいだでも、AWS だけでなくGoogle Cloud を利用する人が増えてきたそうです。
「AWS と Google Cloud の考え方の違いもわかり、エンジニアとしては楽しいですね」と語る藤井氏。特に Google Cloud の強みとして「コンテナまわりは AWS より動かしやすい」ことや、「Kubernetes のバージョンアップが簡単」な点を挙げています。
さらに、面接コボットが動いていた以前のクラウドが「ブラックボックス」だったのに対し Google Cloud はどのように動いているのかが把握しやすいため、問題が発生した場合に対応しやすいといいます。
コストについても今後のデータベースの統合に伴い、管理コストが下がってくると考えているそうです。
仕組みを整備しながら、データベース統合を進めていく
Google Cloud を含むマルチクラウド環境は整備したものの、佐藤氏によると「データベースの統合は、まだ山の半分も来ていない」そうです。特に面接コボットは仕組みが大きいだけに「渋谷駅の工事みたいに、お客さんが利用しながら少しずつ直していって、最後にバチッと切り替えるイメージで進めている」といいます。
データベースの統合と並行して、別クラウドから移行したアプリのダウンサイジングによるコスト削減や、AI の組み込みも行っていきたいと語ってくれました。
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