株式会社テツゲン様 DX推進に向けた Google Cloudへのサーバ移行
「今回の移行作業はシステム全体の2割程度。あと1、2年くらいで残り8割の移行を完了したい。クラウド化のスピードを上げていきたい。」
株式会社テツゲン 寺原秀明氏
クラウド移行の検討している企業様がある一方で、移行をためらっている企業様も多く存在します。そんな中、オンプレミス環境では困難ともいえるスピードでクラウドによるシステムリプレースを進めているテツゲン。そのきっかけと効果について、株式会社テツゲン 参与兼ITソリューション部長兼総務企画部担当部長 寺原秀明氏にお話を伺いました。
株式会社テツゲン様
株式会社テツゲンは、1939年に石炭販売・輸送業として創業した歴史のある企業です。国内の大手製鉄会社と協業し、製鉄プロセスで生じる不純物を再加工して、付加価値の高いものへ加工・製造・販売を行っています。限りある地球の資源を大切にし、地球のために新たな価値を作り出すことを企業のミッションとしています。
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
DX推進でクラウド化と不足する技術と人を確保
株式会社テツゲン(以下、テツゲン)では、企業競争力を高めるためDXの推進が課題となっていました。DXを成功させるためには、優れた「技術」と「人」が必要となります。
テツゲンでは、G-genの協力を得ながら2021年12月にクラウド環境の構築、移行作業に着手して翌年1月のわずか2ヵ月足らずで一部社内サーバの Google Cloud への移行を実現しました。
今後さらにクラウド化を加速させ、あと1〜2年程ですべてのシステムのクラウド移行を目指しています。
クラウド移行のきっかけはハードウェア障害
これまでテツゲンの社内システム導入は、システム単位でプロジェクトチームを組んで行われていました。しかし、DXで競争優位を実現することをミッションに2021年4月に「ITソリューション部」を立ち上げ、DXを推進するためのITを改めて見直したと寺原氏は語ります。
ITソリューション部立ち上げと同時に社内基幹システムのリプレースがあり、その中でもDXを推進する部門として足りない要素があることに気づいたと寺原氏は説明します。「その一つが企画力です。今のシステムを今後どうしていくか、また他社の情報システム部門がどのように経営に関与しているのかなど、専従部門がなかったために情報収集も積極的にできていませんでした。」
そんな時、あるオンプレミスの社内システムがパフォーマンス不足で停止したといいます。このシステムは業務に不可欠なので至急対応する必要があったのですが、代わりのハードウェアを購入しようとハードメーカーの回答は「納入だけに半年かかる」という回答を得たため、すぐにクラウド移行の検討を開始しました。
Google Cloud に決定した理由とは
導入候補となったパブリッククラウドはAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudの3つでしたが、「決定するにあたってはGoogle Cloud社から紹介されたG-genの存在が非常に大きかった」と寺原氏は言います。「提案内容やそれを実現するスキルはもちろんのこと、私たちが足りないと感じていた要素である企画力や情報力を持っており、すぐに相談できて身近に感じられる雰囲気があるのは、今回提案を受けた他社にはなかった魅力でした」(寺原氏)
G-gen からの提案を受け、Google Cloudへ移行することに決定してからの速度は早いものでした。「2021年12月に環境構築・移行作業に着手して、2022年1月には目標としていた作業が完了しました。以前のようにハードウェアの納入を待っていたら、実現できなかったでしょう」(寺原氏)
Google Cloud 導入時の構成
最初のクラウド移行対象となったのは情報系システムです。仮想ネットワークとして VPC (Virtual Private Cloud) が、コンピュート基盤として Compute Engine が採用されました。また Compute Engine の運用管理のため Cloud IAP を利用し、外部ベンダーがサーバへアクセスする際にセキュアな認証を実現しています。また基幹システムとの接続が必要なため、社内ネットワークとの IP-Sec VPN接続に Cloud VPN も構築しました。
また、今回 Google Cloud をはじめて利用するため、組織/プロジェクト構成や IAM 権限の設計まで G-gen が実施しました。
クラウド導入のメリット
寺原氏は、クラウド導入のメリットについて以下の3つを挙げています。
1.システムリソースを気にしなくてよい
オンプレミス環境の場合、初期設計時に必要なパフォーマンスの約1.5倍を余剰リソースとして、今後の拡張性のために確保していましたが、クラウドではそれが必要ありません。以前オンプレミス環境内のシステムを使用して大量のデータ解析を実行した際に他のリソースを消費してしまい、社内業務全体のパフォーマンスを落としてしまった苦い経験があります。このような不安は、クラウド環境によって解消されました。
2.脆弱性対応やサイバー攻撃への対処
情報セキュリティの対応をクラウド側に任せられることもメリットです。今は企業に対してコンプライアンスが厳しく求められる時代です。そこを切り離し、社内のリソースをユーザ管理など本来業務に集中させることができます。
3.コストメリット
今回の移行にあたって、テツゲンはクラウド上で本番環境とステージング(検証)環境を構築しました。クラウドであれば、必要なリソースを必要な期間借りるだけで無駄がありません。しかし、これをオンプレミス環境で実現しようとすると、ハードウェアの納期、減価償却があり、サーバやネットワークの設定をし直す必要があります。そしてなにより、本番環境への移行が完了すればステージング環境は不要になるので、それらはすべて無駄なコストになってしまいます。
これらのメリットがある中で、クラウド移行に関して、漠然とした情報漏洩の不安を持っている企業が少なくないのは、クラウドとユーザとの責任範囲の理解が不足しているため、システム全体のセキュリティを高められていないのだと感じているといいます。(寺原氏)
クラウド化の今後の展開と、DXへの対応
クラウド化の今後の展開について、寺原氏は「今回の移行作業はシステム全体の2割程度。あと1、2年くらいで残り8割の移行を完了したい。クラウド化のスピードを上げてきたい。」と語ります。
また現場の業務に関しても、すでに日報の電子化やタブレットの導入、現場の状況を把握するための映像や画像の保存など一部で導入はされていますが、今後現場作業員が確保が困難になる事等を想定すると、現場作業員の業務改革、作業安全性をいかに担保するかが今後の課題だといいます。
またそれに向け寺原氏は、リモートによる現場監視の仕組みの導入とそのデータを SD-WAN で柔軟化したネットワークによりクラウドへ共有することを検討しています。
これらの施策に関連して「これまでに得られたデータをどのように蓄積し、どのように活用するかがカギになる」と社内データの BigQuery による活用にも意欲を見せています。
テツゲンは、今後も G-gen と連携し、クラウドへのさらなる移行のステップを加速させ、 DX を加速させていきます。
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