Excel作業の属人化を回避する方法とは?組織全体のデータ活用が課題解決の鍵!

Excel作業の属人化を回避する方法とは?組織全体のデータ活用が課題解決の鍵!

Microsoft が提供する表計算ソフトである Excel 。社会人経験がある方であれば、一度は触ったことがあると思います。 Excel は確かに便利なツールですが、一方で不便さを感じる部分もあります。

例えば、作成した Excel 作業が属人化してしまい、組織全体でファイルを共有できないという問題です。 Excel作業 が属人化した場合、ツールとしての価値は薄れてしまい、組織の生産性は大きく低下します。

それでは、 Excel 作業の属人化を回避する方法はあるのでしょうか?本記事では、 Excel 作業の属人化を回避する方法と、その解決策となるソリューションに焦点を当てて詳しくご説明します。

Excel 作業の属人化とは?

属人化とは、特定の人間が担当している業務内容や作業進捗が本人以外に把握できなくなる状態を意味します。

多くの場合はネガティブな言葉として使われており、属人化を避けるために企業は様々な工夫を行っています。 Excel 作業の属人化も同様に、 Excel ファイルの中身や使い方を知っている担当者が限られてしまい、組織全体で有効活用できない状態を指します。

本来、 Excel は表計算ソフトですが、利用用途の拡大によってデータ管理や生産性向上のためのツールとして使用されるケースもあります。実際、多くの企業が業務効率化を目的に Excel を活用していることも多く、属人化が進むことによってその価値は半減します。

本来、社内ファイルは会社の利益を伸ばすためのツールであり、有効的に活用して初めて意味を成します。しかし、そのファイルの使い方を誰も知らなければ、そのファイルは存在しないのと同じことです。だからこそ、 Excel においても人に依存せずに活用できる仕組みづくりが重要であり、属人化を避けるための工夫が必要になります。

Excel 作業の属人化によるリスク

業務がブラックボックス化する

Excel 作業が属人化することで、業務のブラックボックス化が進行します。 Excel を作った本人だけが作業内容やファイルの使い方を知っており、他の社員は Excel の存在すら把握できないケースも考えられます。

仮に Excel の業務フローが非効率的だったとしても、本人以外はその内容を知らないため、何も疑問を持たずに業務を進めてしまいます。つまり、 Excel 作業が属人化することで作業効率が低下するリスクが発生し、組織全体の生産性が下がる可能性があるわけです。

業務進捗が特定社員の作業に依存する

Excel 作業が属人化し、特定の社員にしか対応できない状況が生まれた場合、業務進捗がその社員の作業に依存するようになります。該当社員が作業を進めないとプロジェクト自体が前進せず、組織としての生産性が低下します。

本来、業務は複数人がチームを形成して進めるものであり、個人に依存することは避けるべきです。担当業務の縦割りが進行すると、プロジェクト全体のタスク管理や業務フローなどを把握しづらくなり、結果として質の高いアウトプットを生むことはできません。

異動・退職時の影響が大きくなる

Excel 作業が属人化した場合、ファイルの使い方を理解している担当者が異動・退職したときの影響が大きくなります。他の社員は Excelについて理解していないため、誰も扱えない状態になってしまいます。

細かく引き継ぎがなされていれば問題ありませんが、場合によっては突発的な異動・退職が発生することもあります。そのような場合、 Excel は完全に意味のないファイルとなり、前任者の業務はブラックボックス化します。そして、業務の再現性が著しく低下し、ビジネスに多大な悪影響を及ぼします。

Excel が属人化する原因

制作意図やプロセスが共有されていない

Excel 作業が属人化する大きな原因として、ファイルの制作意図やプロセスが共有されていない点が挙げられます。業務として Excel データの作成を依頼する際、多くの場合はアウトプットとして出てきたファイルそのものがあれば依頼者は満足します。

例えば、その Excel ファイルをもとにしてマクロの動作確認を行ったり、 Excel のデータから PowerPoint の資料を作成したり、結果レポートに元データとして Excel ファイルを添付するなどのシーンが想定されます。つまり、完成物のみに注目して、制作意図やプロセスを重視しない企業文化が Excel 作業の属人化を加速させていると言えます。

ファイルが主観で作成されている

ファイルが主観で作成されていることも Excel 作業が属人化する原因の一つです。例えば、作成した本人にしかわからない項目が含まれていたり、意味を成さない記号が記載されている場合などが該当します。

加えて、「なぜそのロジックで計算をしたのか?」のような根本的な考え方も本人以外にはわからないケースが多いです。これらはすべて、 Excel の作成者が自分が理解できれば良いという思考のもと、主観的に作業を進めた結果として引き起こされるものです。

Excel 作業の属人化を回避する方法

ファイルの置き場所をチームで共有する

Excel ファイルの置き場所をチームで共有することで属人化を回避できます。特定の個人 PC に保存するのではなく、チームメンバーが閲覧可能なファイルサーバーやストレージを活用しましょう。利用頻度が高いファイルであれば、必要に応じてブックマークやショートカットの活用も効果的です。

利用方法のマニュアルを用意する

Excel 作業の属人化を避けるためには、利用マニュアルの作成が有効な手段になります。つまり、誰が見ても使える状態にしておくことで、ファイルの存在価値が高まり、一人歩きすることがなくなるということです。専門用語の解説や各項目の説明、数値の意味などに加えて、その Excel ファイルを作成した目的やプロセスを盛り込むと、さらに充実したマニュアルになります。

マクロや関数でシステム化する

Excel には、ピポットテーブルや表集計、フィルタなど手作業で進める箇所が多く存在し、作業者の経験やスキルによってアウトプットに個人差が発生します。そのため、あらかじめマクロや関数を用いてシステム化しておくことで、誰が作業しても同じ結果を得られるようになり、作業効率の向上とともに属人化の回避を実現できます。

データ活用のためのツールを導入する

Excel 作業が属人化する根本的な原因は、 Excel を作成した本人にしかデータの置き場所や使い方がわからないことです。つまり、組織全体でデータを活用できる仕組みを作れば、この課題は解決に向かいます。

そのためには、データ活用を促進するためのツール導入が効果的です。具体的には、データウェアハウス(DWH)と BI ツールの2つがオススメです。これらを導入することで、社内のデータを組織全体で活用することが可能になり、属人化を避けることができます。

データウェアハウス(DWH)と BI ツールに関しては、次章で詳しくご紹介します。

属人化を防ぐにはデータウェアハウス(DWH)と BI ツールがオススメ

先ほど、属人化を防ぐためにはデータウェアハウス(DWH)と BI ツールの導入がオススメだと記載しました。どちらもデータ活用において不可欠なツールであり、業務の属人化を防止するために有効なソリューションになります。

以下、それぞれのツールの概要をご説明します。

データウェアハウス(DWH)とは?

データウェアハウス(DWH)とは、業務に関する情報をまとめて保管しておくためのデータベースです。様々なシステムからデータを保存し、それを分析するために整理する、データの保管庫のようなイメージです。

以前まで、データ管理は容易なことではなく、目的のデータを探すだけでも大変な労力が必要でした。さらに、古いデータは削除するなどのメンテナンスも発生しており、データ管理にとても多くの時間を費やしていたため、経営判断へのデータ活用は、ハードルが高いものとして避けられてきました。

しかし、データウェアハウス(DWH)の登場によって、大容量データから該当情報を抽出したり、重複を避けてデータを保存したりできるようになったため、従来の課題を解決することができるようになりました。企業が保有するデータ量が増加し、ビックデータ活用が求められる昨今のビジネスにおいて、データウェアハウス(DWH)は不可欠なツールと言えるでしょう。

属人化の主な原因は、データが特定社員の手元のみに存在することでした。データウェアハウス(DWH)を活用することで、自社のデータを適切に管理することができ、誰でも必要な情報を必要なときに利用可能になります。これが結果として属人化の回避に繋がります。

データウェアハウス(DWH)に関して理解を深めたい方は以下の記事をご参照ください。
データウェアハウス(DWH)とは?メリットや活用例まで一挙に紹介

BI ツールとは?

BI ツールとは、「 Business Intelligence ツール」を略したものであり、膨大なデータを管理・集約し、必要に応じて分析まで行うことができるサービスです。

対象となるデータは多岐にわたり、企業の基幹システム( ERP )や顧客管理システム( CRM )に格納されている売上データや顧客データはもちろんのこと、センサーで集めた気象データや自社ホームページへのアクセスログなど、様々なものが挙げられます。

これらのデータを可視化し、自社の状況を正しく把握することで、今後に向けた改善案を検討することができます。また、分析結果を戦略に反映することで、より生産性の高い経営を実現することが可能になります。

BI ツールには、データの「管理」「分析」「レポーティング」など、多くの機能が搭載されており、様々なデータをダッシュボードなどでわかりやすく表示できるため、スピード感をもった意思決定を実現します。また、マーケティング観点での統計分析やシミュレーションを行うことも可能です。

つまり、 BI ツールで様々なデータを見える化し、社員全員が自社の状況を把握できる状態にしておくことで、業務の透明化を図ることができ、属人化を避けられるというわけです。

BI ツールに関して理解を深めたい方は以下の記事をご参照ください。
BI ツールとは何か?メリット、デメリット、活用事例まで、一挙に紹介!

まとめ

ここまで、データウェアハウス(DWH)と BI ツールが属人化の回避に有効であることをお伝えしましたが、当然ながらツールの導入にはコストがつきものです。新しいツールを導入することで発生する費用を懸念する方は少なくないでしょう。

データウェアハウス(DWH)と BI ツールの導入にはコストが伴いますが、前述の通り業務の属人化を回避することができます。加えて、これらのサービスが持つ様々な機能により、自社の生産性向上を実現することも可能です。

例えば、データウェアハウス(DWH)であればデータ管理やデータ抽出にかかる作業工数を削減できますし、 BI ツールであればレポートティング業務を省人化できます。このように、データウェアハウス(DWH)や BI ツールはあらゆるシーンにおいて効率化に繋がるソリューションであり、それは結果として人的コストの削減に直結します。

そのため、短期的に見ればコストが増加するように見えますが、ツール導入によってもたらされる業務改善なども考慮した上で、多角的かつ長期的な目線で費用対効果を判断してください。

また、一口に「 Excel 作業の属人化」とは言っても、どのような業務で属人化しているのかで必要なソリューションも変化します。例えば、総務や経理などのバックオフィス業務で Excel を使ったデータ管理を行なっているケースが挙げられます。

市場には SmartHR (労務管理の効率化ツール)、 LayerX インボイス(請求書処理の効率化ツール)、マネーフォワードクラウド(会計業務の効率化ツール)など、バックオフィス用のサービスも数多く存在しますが、これらはデータウェアハウス(DWH)や BI ツールではありません。

そのため、属人化したバックオフィス業務がなくなった場合の採用コストや教育コストと、システムの導入コストを比較検討してみてはいかがでしょうか。どのようなソリューションを導入するとしても、まずは自社の状況を正しく把握した上で、然るべき対策を講じることが重要になります。

オススメのデータウェアハウス(DWH)と BI ツールをご紹介

最後に、数あるデータウェアハウス(DWH)、 BI ツールの中からオススメのサービスとして BigQuery と Looker の2つをご紹介します。どちらも非常に高性能かつ便利なツールであるため、属人化を回避したい方はぜひ参考にしてください。

BigQuery

BigQuery は Google Cloud (GCP)で提供されているデータウェアハウス(DWH)です。 Google Cloud (GCP)とは Google が提供するパブリッククラウドであり、 Microsoft の Azure や Amazon の AWS と同じ位置付けのサービスです。この Google Cloud (GCP)の一機能として BigQuery が内包されています。

BigQuery はデータウェアハウス(DWH)であるため、様々なデータを整理した形で保管しておくことができます。さらに BigQuery はビッグデータ解析サービスとしても利用できるため、データ分析にも有効に活用できます。通常では長い時間かかるクエリを、数TB(テラバイト)、数 PB(ペタバイト)のデータに対し数秒もしくは数十秒で終わらせることができ、超高速な処理が大きな特徴のサービスです。

また、データの処理速度が速いだけではなく、「データベースの専門知識がなくても扱える」、「コストパフォーマンスが高い」など、 BigQuery には様々なメリットがあります。もちろん、 Google Cloud (GCP)の多彩な他サービスともシームレスに連携できるため、あらゆるシーンで企業の業務効率化に寄与します。

BigQuery に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
超高速でデータ分析できる!専門知識なしで扱えるGoogle BigQueryがとにかくスゴイ!

Looker

Looker は次世代型の BI ツールと呼ばれています。そもそも BI ツールとは企業に蓄積された大量のデータを分析し、分析したデータを可視化できるものです。データを可視化することで、企業の経営活動の指針になったり顧客データの分析ができます。

次世代型 BI ツールと呼ばれているのは、今までの BI ツールのメリットを詰め合わせたツールになっているからです。今までの BI ツールを振り返ると、出始めの頃は知見があるスペシャリストしか扱えないものでした。

その後登場した BI ツールは、誰にでも扱えるのをコンセプトとしたため、気軽にデータ分析が可能となりました。しかし、誰にでもデータ分析ができる反面、よりマクロな視点でのデータ分析やセキュリティ面での不安が残りましたが、 Looker は今までの課題点を解消しつつメリットだけを組み込んだのです。

モデリング言語(定義されたルールにしたがって構造された人工言語)の習得のしやすさや、 Git (プログラムのソースコードなどの変更履歴を記録するバージョン管理ツール)との連携など、 Looker には嬉しい特徴が複数備わっており、実際に多くの企業が Looker を活用してデータの可視化に取り組んでいます。

Looker に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
次世代BIツール「Looker」の概要と導入時の注意点をご紹介!

まとめ

本記事では、 Excel 作業の属人化を回避する方法と、その解決策となるデータウェアハウス(DWH)と BI ツールに焦点を当てて詳しくご説明しました。

Excel 作業の属人化が進んでしまった場合、業務のブラックボックス化や業務の生産性低下など多くの問題が発生します。属人化の原因を正しく理解して、自社の状況に合わせた対策を講じることが大切です。

そして、 Excel 作業の属人化を避けるためにはデータウェアハウス(DWH)と BI ツールの導入が効果的です。当然ながら導入コストは発生しますが、ツール導入により属人化を回避することができ、様々なシーンにおける業務効率化に大きく寄与します。

もしツール導入を検討するのであれば、 BigQuery と Looker がオススメです。それぞれのサービスが持つ様々な特徴により、利用企業は多くのメリットを享受できます。本記事を参考にして、ぜひツール導入を検討してみてはいかがでしょうか。



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