Looker で次世代のデータ活用を実現!データの民主化における課題と解決法とは?

Looker で次世代のデータ活用を実現!データの民主化における課題と解決法とは?

本記事は、2021年5月25日に開催された Google の公式イベント「 Google Cloud Day : Digital ’21 」において、 Looker 事業本部カスタマーエンジニアの蓮池拓哉氏が講演された「 アジリティの高いデータ利活用 〜 Looker で実現するデータの民主化〜 」のレポート記事となります。

今回は、データの民主化における課題や解決法について、 Google が提供する BI ツール「 Looker 」とともに解説します。

なお、本記事内で使用している画像に関しては Google Cloud Day : Digital ’21 「アジリティの高いデータ利活用 〜Looker で実現するデータの民主化〜」を出典元として参照しております。

それでは、早速内容を見ていきましょう。

データの民主化とは?

データの民主化とは、自社が保有するデータを特定の場所にしまうのではなく、誰もが使えるように保管しておくことです。データは存在しているだけでは意味がなく、効果的に活用してこそ真の価値が生まれます。

すべての社員がデータにアクセスできる状態をつくることで、あらゆる目線から多角的にデータを活用できます。また、データを全員共通のものとして会話を進められるため、業務効率化や生産性向上にも繋がります。

このように、効率的な経営を実現するためにはデータの民主化が必要不可欠であり、実際に多くの企業が各種ツールを活用してデータの民主化に取り組んでいます。しかし、現実的にはデータの民主化が進んでいない企業も多く、現状を打破するための具体的な解決策が求められています。

データの民主化を阻む3つの課題

ガバナンスが働いていない

ガバナンスが働いていないことがデータの民主化を阻む課題の一つとなります。例えば、データを取得する際のデータの取得元、データ形式、条件などが社内で統一されていないケースが想定されます。

このような状態では、せっかくデータを抽出してもデータ自体の価値は低くなります。特定部門においては有用なデータであったとしても、他部門ではまったく価値のないデータになってしまうなど、データを適切に管理できていないことによる弊害は大きいです。

データの公開範囲を限定している

データはそれ自体が意味を持つケースは少なく、他のデータと掛け合わせることで価値が高まります。そのため、取得可能なデータを限定している状態では、本来データが持つ価値をすべて享受することはできません。

また、特定の社員のみがデータにアクセスできるような環境も、データの民主化においては避けるべきです。場合によっては一部の社員から不満が上がり、コミュニケーションの鈍化を招く原因にもなりかねません。

もちろん、機密情報などはセキュリティ観点から限定的にせざるを得ないケースもありますが、基本的には公開範囲を制限せず、誰もが平等にデータを取得できる状態をつくることが大切です。

IT 人材やスキルが不足している

データを活用するためには、大前提としてデータを扱うための人材やスキルが必要になります。自社に IT に詳しい人間がいない場合は、効率的なデータ活用を進めることはできません。

とはいえ、スキルのある人材を雇用するためには、当然ながらコストが発生します。そのため、経済的な事情からデータ活用を断念し、結果としてデータの民主化が進まない企業も少なくありません。

ここまで、データの民主化を阻む課題を3つ挙げましたが、これらの課題を Looker が解決します。 Looker は Google が提供する BI ツールであり、企業のデータ活用を強くサポートします。次章以降で詳しくご説明します。

効率的なデータ活用を実現する Looker とは?

Lookerは、次世代型の BI ツールと呼ばれています。 BI ツールとは「 Business Inteligence ツール」の略であり、企業に蓄積された大量のデータを分析し、分析したデータを可視化できるものです。データを可視化することで、企業の経営活動の指針になったり顧客データの分析ができます。

Looker が次世代型 BI ツールと呼ばれているのは、今までの BI ツールのメリットを詰め合わせたツールになっているからです。今までの BI ツールを振り返ると、出始めの頃は知見があるスペシャリストしか扱えないものでした。

その後登場した BI ツールは、誰にでも扱えるのをコンセプトとしたため、気軽にデータ分析が可能となったのです。しかし、誰にでもデータ分析ができる反面、よりマクロな視点でのデータ分析やセキュリティ面での不安がありました。

しかし、次世代BIツールと呼ばれる Looker は、今までの課題点を解消しつつメリットだけを組み込んだのです。

Looker概要

Looker に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
次世代BIツール「Looker」の概要と導入時の注意点をご紹介!

Looker によるデータの民主化の実現(データの共通言語化)

Looker を活用することで、社内のデータを共通言語化できます。データに関する定義を Looker で一元管理し、誰が作業しても同じ結果を得られるような環境を整備します。そうすることで、部門やチームを超えた全社横断的なデータ活用を実現します。

Lookerによる定義の一元管理

Looker には「 LookML 」という、 SQL を抽象化して Looker に情報を提供し、データベースとレイヤーの間にモデルレイヤーを作成できるテクノロジーが搭載されています。

LookML は Git (分散型のバージョン管理システム)による構成管理が可能なため、複数人で編集する場合や組織単位で管理をする場合でも、 Git の承認フローを挟むことで定義の氾濫を防ぐことが可能です。

また、 LookML は再利用可能な定義情報となっており、「 View ファイル」と「 Model ファイル」の2つのファイルによって管理します。 View ファイルは Looker で取り扱う論理的なテーブル定義であり、 Model ファイルは LookML の View ファイルで定義されたテーブル同士の関係性や結合ロジックを含むファイルとなっています。

これらのファイルを活用することでデータの集計定義などを事前に定めることができ、全社員が「同じ場所」「同じ手法」「同じ定義」でデータを取り出せる環境を整備できます。結果として、データの共通言語化を実現でき、自社のデータ活用促進に繋がります。

Looker によるデータの民主化の実現(データの適切な公開範囲設定)

自社のデータ活用を進めるためには、データの公開範囲を適切に設定する必要があります。

昨今、データ統合や CDP (顧客データプラットフォーム)などの取り組みの中で、サイロ化されたデータの集約化が進んでいます。その一方で、機密度やセキュリティポリシーの観点から、データ活用が一部分に留まっているケースも存在します。

データ活用が限定的になる代表的な例が人事情報です。人事データを活用したいと考えているものの、データの中には社員の個人評価や個人情報が含まれているため、全社員に対してオープンすることができず、特定の社員にしか公開できない、といったケースが想定されます。

Looker には、様々なアクセス制御の機能が搭載されており、上記のような「データを公開したくてもできない」という状況を解決できます。

例えば、行レベルフィルターを活用することで、ユーザーの所属部署やエリアなどに合わせて、フィルターを操作することなく、自分に関係するデータだけを表示できます。結果として、ユーザーがデータを探す手間を削減できますし、管理者のマート分割作業も不要になります。

また、列レベルのアクセス制限により、職位や職責に応じて機密度の異なるデータへのアクセス権を正しく設定することで、公開可能なデータの種類を増やし、データ活用の幅を広げることができます。さらに、ユーザー属性に合わせてデータの取得元を自動で変更することも可能なため、運用工数の削減とデータの外部公開を同時に実現できます。

このように、 Looker を活用することで適切なデータの公開範囲を設定でき、手間をかけずにデータ活用の効果を最大化することが可能になります。

Looker によるデータの民主化の実現(わかりやすいデータキュレーション)

キュレーションとは、「情報を整理する」という意味の言葉です。 Looker を使ってデータを適切に整理することで、社員がデータを利用するハードルを下げられます。「調べる」「見つける」「使う」というデータ活用における一連の流れをスムーズにし、データを身近な存在として社員に感じさせることができるわけです。

Looker には、埋込分析や外部連携の機能が搭載されているため、別ツールに情報を見に行く必要はなく、日頃から利用しているアプリケーションの中で各種データを確認できます。つまり、目に見える場所に常にデータを表示しておくことで、社員に対して「データを見る」という意識を植え付けることが可能になります。

外部連携

また、 Looker には「データディクショナリー」という機能が搭載されており、社内に存在するデータをわかりやすく可視化できます。

具体的には、以下のような項目を確認可能です。

これらの情報をデータディクショナリーで一元的に管理でき、ユーザーは辞書形式で簡単に確認・検索することができます。

データディクショナリー

さらに、データに詳しい人向けには「 LookML ダイアグラム」を使うことで、 LookML 側での定義や裏側に隠れているデータおよびその傾向値などを統計的に一元表示できます。つまり、 Looker の活用により、ユーザーの知識レベルに合わせてデータの届け方や見せ方を柔軟に変えられるというわけです。

このように、 Looker はデータに対する社員の意識変革や理解の深化を実現するソリューションです。その結果として、データ活用のハードルを下げることができ、自社におけるデータの民主化を前進させることが可能になります。

Looker に関する質問

Q . IAM の情報と連携して表示制御をすることは可能でしょうか?

A . SAML 認証でシングルサインオンを実装することで IAM の情報をもとに表示制御をすることが可能です。

Q . Google Cloud (GCP)のデータカタログと Looker のデータディクショナリーはどのように使い分けるのでしょうか?

A . Looker のデータディクショナリーはテーブルの定義だけでなく集計値の定義も含むことができます。また、 Looker はマルチクラウドに対応しているので、 Google Cloud (GCP)外にあるデータソースへもアクセスしている場合に、これらも含めて定義を1箇所で管理、公開していくことが可能です。

まとめ

本記事では、データの民主化における課題や解決法について、 Google が提供する BI ツール「 Looker 」とともに解説しました。

Looker はレベルの違うユーザーに対してデータを届きやすい形に変換し、データが含んでいる価値のある情報を届けることで、組織内におけるデータ文化の醸成を強くサポートします。

例えば、データ定義を一元管理して共通言語化することでデータ分析を均質化したり、適切な公開範囲を設定してセキュリティ性を担保するとともに、あらゆるデータを開示することでデータ価値の最大化を図ることができます。また、データをいつでも即座に使える状態にすることでデータそのものを社員にとって身近な存在にし、データの民主化を実現することが可能です。

Looker はこれらの内容を手間なく簡単に実践できるデータプラットフォームとなっています。本記事を参考にして、ぜひ Looker の導入を検討してみてはいかがでしょうか。



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