政府が提唱する「デジタル・ガバメント実行計画」とは?民間企業への影響まで徹底解説!
- デジタル・ガバメント実行計画
デジタル・ガバメント実行計画をご存知でしょうか?政府が発表している公的なプロジェクトであり、行政の在り方そのものについて、デジタルを活用する前提で見直すものです。
本記事では、デジタル・ガバメント実行計画の概要や主要施策について、詳しくご説明します。また、デジタル・ガバメント実行計画が民間企業に与える影響や、取るべき行動などもあわせて解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
デジタル・ガバメント実行計画とは?
デジタル・ガバメント実行計画は「行政手続のデジタル化」を目的として、政府が2018年に発表した計画です。これまでもデジタル化・オンライン化に関する政策は存在しており、政府は段階的に行政手続の見直しを進めてきました。
2016年に「官民データ活用推進基本法」が策定され、データの流通環境の整備や手続きのオンライン化などが義務付けられました。また、2017年には「デジタル宣言・官民データ計画」が策定され、官民データ活用推進基本法に関する取り組みが具体化されました。
同計画においてはデジタル・ガバメントの分野が重要視されており、これらの取り組みに関して、国民や事業者の利便性向上を目的に「デジタル・ガバメント推進方針」が策定されました。同方針は「デジタル活用を前提とした行政サービス全般の見直し」という広い目線で進められています。
本記事でご紹介する「デジタル・ガバメント実行計画」は、上記でご説明したデジタル・ガバメント推進方針を具体的な行動に落とし込むための計画です。同計画の実行により、多くの人々にとって行政サービスが便利かつ身近になるような社会を目指しています。
デジタル・ガバメント実行計画は政府主導で進めているものですが、その対象は国や地方公共団体だけに留まりません。行政サービスを利用する国民や民間企業にも深く関係する事柄であり、社会全体に大きな影響を及ぼすものとされています。
利用者中心の行政サービスを実現する「サービス設計12箇条」
デジタル・ガバメント実行計画の根底にあるのは、行政サービスに対する利用者満足度の向上です。同計画では、利用者目線で行政サービスの質を向上させるために「サービス設計12箇条」を定めています。
以下、各ポイントについて順番に解説します。
第1条.利用者のニーズから出発する
提供者の視点ではなく、利用者の視点に立って必要なものを考えます。利用者が複数存在する場合には、それぞれの利用者像を具体的に想定することで様々なニーズを把握し、サービスの向上に繋げます。
第2条.事実を詳細に把握する
思い込みや根拠のない仮説に基づいてサービスを設計するのではなく、事実に基づいた課題の可視化や因果関係の整理を行った上で、サービス検討に反映します。
第3条.エンドツーエンドで考える
利用者のニーズ分析を行うにあたり、サービスの必要性が発生した時点からサービス提供後まで(エンドツーエンド)の、他の行政機関や民間企業が担うサービス利用まで含めた利用者の行動全体を一連の流れとして考えます。
第4条.全ての関係者に気を配る
サービス利用者だけでなく、すべての関係者に対して発生する影響を考慮し、 Win-Win 関係の構築を目指します。デジタル機器が使えない人に対しても、デジタル技術の活用により便益を享受できる仕組みを検討します。
第5条.サービスはシンプルにする
利用者が容易に理解でき、かつ、容易に利用できるようなシンプルなサービス設計を目指します。また、行政が提供する情報や、利用者に提出や入力を求める情報は、本当に必要なものに限定します。
第6条.デジタル技術を活用し、サービスの価値を高める
これまでデジタル以外の手段で提供してきたものであっても、業務の見直しによるデジタル移行の可能性を検討し、サービス改善を図ります。また、情報セキュリティ対策やプライバシー確保の重要性を認識し、デジタル技術の活用によるセキュアなサービス環境を構築します。
第7条.利用者の日常体験に溶け込む
多くの場面で利用者にサービスを届けるために、既存の民間サービスに融合された形で行政サービスの提供を行うなど、利用者が日常的に多くの接点を持つサービスやプラットフォームとともにサービス提供できるような設計を心掛けます。
第8条.自分で作りすぎない
サービスを一から自分で作るのではなく、既存の情報システムの再利用やそこで得られたノウハウの活用、クラウドサービスなどの民間サービスの利用を検討します。また、過剰な機能や独自技術の活用は避け、 API 連携などによってほかで利用されることを考慮し、共有できるものとするように心掛けます。
第9条.オープンにサービスを作る
サービスの質を向上させるために、サービス設計時には利用者や関係者を検討に巻き込み、多様な意見を取り入れます。また、検討経緯、決定理由、サービスの提供状況、サービスの品質などの状況について、可能な限り公開して透明性を確保します。
第10条.何度も繰り返す
試行的にサービスの提供や業務を実施し、利用者や関係者からの意見を踏まえてサービスの見直しを行うなど、何度も確認と改善のプロセスを繰り返しながら品質を向上させます。サービス開始後も、継続的に利用者や関係者からの意見を収集し、常に改善を図ります。
第11条.一遍にやらず、一貫してやる
はじめにビジョンを明確にした上で、優先順位や実現可能性を考えて段階的に実施します。成功や失敗、それによる軌道修正を積み重ねながら一貫性をもってサービス設計に取り組みます。
第12条.情報システムではなくサービスを作る
すべてを情報システムで実現するのではなく、必要に応じて人手によるサービスなどを組み合わせるなど、利用者にとって最良のサービス提供を目指します。
デジタル・ガバメント実行計画における主要施策
デジタル・ガバメント実行計画には、行政サービスの利便性を向上させるための具体的な施策が明記されています。
以下、同計画に記載されている施策の中から、主要なものをピックアップしてご紹介します。
行政サービス改革
行政サービス改革は、デジタル・ガバメント実行計画の核となる施策です。前章で詳しくご説明した通り、「サービス設計12箇条」に沿ったサービス設計が検討されています。
提供者からの一方通行なサービス提供にならないよう、あくまでサービス利用者の目線に立ち、行政機関、民間企業、国民など、すべての立場において Win - Win 関係を構築できるようにデジタルの活用を推進しています。
基盤の整備
デジタル・ガバメント実行計画では、基盤整備を実現するためのポイントとして、以下3つの要素を挙げています。
- グランドデザインの策定
- インフラの整備
- クラウドサービス利用
グランドデザインは大規模かつ中長期的な構想であり、行政システムの在るべき姿や実現すべきサービス像などを明確化するためのものです。また、グランドデザイン実現に向けた既存システムの見直しやセキュリティ対策なども含まれます。
グランドデザインの策定に伴い、インフラ整備も並行して進めていきます。行政全体の業務を標準化し、デジタルを活用することで利便性の高い行政サービスの実現を目指します。この時、クラウドサービスを積極的に利用する点もデジタル・ガバメント実行計画の中に明記されています。
行政手続のデジタル化
行政手続のデジタル化は、国民のサービス満足度向上に直結する重要な施策です。各種手続がデジタル化され、オンライン上で完結するようになれば、行政機関に足を運ぶ必要がなくなり、時間やコストを節約できます。
デジタル・ガバメント実行計画では、行政手続のデジタル化におけるポイントを以下3つと定義しています。
- デジタルファースト
- ワンスオンリー
- コネクテッド・ワンストップ
はじめに「デジタルファースト」ですが、これは行政手続に関する一連の流れをすべてデジタルシフトすることを意味しています。
現在、部分的にオンライン申請が整備されている例はありますが、個別に資料提出が必要になるケースも存在します。そのため、本質的に利用者満足度を向上させるためには、すべての申請手続をデジタル上で完結させる仕組みづくりが重要になります。
次に「ワンスオンリー」ですが、これは重複作業を撤廃するための考え方です。例えば、「一度提出した書類を再提出する」といったものが代表的な例になります。ワンスオンリーの採用により、利用者の手間を削減できますし、行政の業務負荷軽減にも繋がります。
最後は「コネクテッド・ワンストップ」であり、民間サービスも含めた複数の手続きをワンストップで完結させるための仕組みです。今後は行政機関だけでなく、民間企業も含めたサービス連携が重要になるため、行政と民間企業がうまく連動できるような体制づくりが重要になります。
デジタル・ガバメント実行計画では、これらのポイントをおさえつつ、行政手続のデジタル化を進めていきます。
業務におけるデジタル技術の活用
近年、デジタル技術の発展が目覚ましいにもかかわらず、業務において十分に活用されていないケースが多々存在します。そのため、あらゆる角度から行政の業務を見直し、デジタル活用の余地を探すことが重要になります。
この時、利用者と行政機関間のフロント部分だけでなく、行政機関内のバックオフィスを含めたプロセスの再設計も含めて検討します。業務のデジタル化により、大量・高速な業務処理の実現や正確性の向上(ヒューマンエラーの削減)が図られ、これまで人の手で行っていた作業を補強・代替できます。
デジタル・ガバメント実行計画では、このような業務のデジタル化を実現するため、情報システムの活用はもちろんのこと、 AI や RPA (Robotic Process Automation) の活用など、比較的新しく登場した IT も必要に応じて利用する旨が明記されています。
デジタルデバイド対策
デジタルデバイドとは、「デジタル技術を活用できる人と活用できない人との間に生じる格差」を意味する言葉です。
デジタル・ガバメント実行計画では、全国民がデジタル化の恩恵を受けられるような公平性が重要視されています。そのため、デジタル技術を活用できない人にとっても、行政サービスの利便性向上を感じることができる仕組みづくりが求められています。
例えば、デジタルツールやサービスに関する相談会を開くなど、サービス利用者のナレッジ向上を目的とした施策も行政のアクションとして検討・実行されています。
広報等及び国際展開
行政サービスのデジタル化を進めて素晴らしい仕組みが完成しても、利用されなければ意味がありません。そのため、デジタル・ガバメント実行計画では、広報の重要性を説明しています。
サービスの特徴や利用方法などをわかりやすく見える化し、それを国民や企業に対して発信します。最近ではスマートフォンが爆発的に普及したため、 Twitter のような SNS を活用した広報活動も効果的になりました。
また、一連のプロジェクトを通して得られた知見は積極的に国際社会へ発信し、ナレッジを諸外国へ横展開していく旨も同計画内に記載されています。
民間企業のデジタル化の必要性
デジタル・ガバメント実行計画は政府が主導で進めているプロジェクトですが、民間企業とも密接に関係しています。
企業自体も様々な行政手続を行う利用者であるため、行政サービスの利便性が向上すれば直接的なメリットを享受できます。また、同計画ではコネクテッド・ワンストップの考え方が明記されており、行政機関と民間企業の連携が重要視されています。
そのため、デジタル・ガバメント実行計画を実現するためには、民間企業も積極的にデジタル化を進めることが大切です。公民一体となり同じゴールに向けてアクションを行うことで。社会全体のデジタル・ガバメントを促進できます。
デジタル化には色々な手法がありますが、効果的な方法がクラウドサービスの活用です。デジタル・ガバメント実行計画でもクラウドの積極利用について明記されていますが、クラウドサービスを活用することで、効率的に自社のデジタル化を実現できます。
次章では、企業がクラウドサービスを利用するメリットをご紹介します。
デジタル化にはクラウドサービスがオススメ
初期費用を抑えることができる
オンプレミスの場合は、すべてのインフラ設備を自社で揃える必要があり、数百万単位のコストが発生することも少なくありません。
一方、クラウドは自社でのサーバー購入やシステム開発が不要なため、初期費用を抑えることができます。そのため、少額投資でスタートできる点は、デジタル化を進める上で大きなメリットだと言えます。
オンプレミスとクラウドの違いに関して理解を深めたい方は以下の記事がオススメです。
オンプレミスとクラウドの違いとは?メリット&デメリット、移行の注意点も解説
運用負荷を軽減することができる
自社でサーバーを運用する場合、メンテナンスや保守を行なうための技術員が必要になります。システムに問題が発生したときは、早急に改善しなければならないため、大きな運用負荷がかかってしまいます。
一方、クラウド利用における保守や有事対応は、すべてクラウドベンダーが巻き取ってくれるため、システムの運用負荷を軽減でき、結果として人件費の削減に繋がります。このように、自社の工数やコストを抑えられる点は、クラウドでデジタル化を進める上でのメリットの一つになります。
人件費以外にも、金額面でも負荷を軽減させることができます。ぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
クラウドとオンプレミスの減価償却と会計処理・税務処理について
導入後すぐに始めることができる
いくらデジタル化を進めたくても、時間を要するのであれば考えてしまいますよね。例えばオンプレミスの場合、システムをゼロから設計・開発していくため、利用開始までに何ヶ月もの期間を要します。
一方、クラウドは既に完成されているサービスを利用するので、導入後すぐに始めることができます。ビジネスの世界はスピードが命なので、迅速に社内のシステム環境を整えられる点は大きなメリットです。
オンプレミスとクラウドでの開発の違いに関して理解を深めたい方は以下の記事がオススメです。
オンプレミス、クラウド開発における違いとそれぞれの特徴とは?
場所を問わずに働くことができる
オンプレミス運用では、「会社にいないとシステムが見れない」といった状況が多くありましたが、クラウドはインターネット環境さえあれば、どこからでも情報にアクセスすることができます。
そのため、場所を問わずに働くことができる『新しい働き方』が実現可能になります。これは行政サービスのオンライン化とも共通する部分であり、クラウドの活用によって物理的な「場所」という縛りから解放されます。
クラウド利用には Google Cloud ( GCP )がオススメ
数あるクラウドサービスの中でも、デジタル化を進めるなら Google Cloud ( GCP )がオススメです。 Google Cloud ( GCP )は Google が提供しているパブリッククラウドサービスです。
Google Cloud ( GCP )を利用することで、企業は様々なメリットを享受できます。本章では、 Google Cloud ( GCP )がオススメな理由をご説明します。
Google の成長性
世界の最先端を走る Google のテクノロジーは日々進化しています。 Google Cloud ( GCP )は、 Google が提供しているクラウドサービスのため、 Google の進化とともにサービス自体も成長し続けます。
新機能の追加やユーザビリティの向上が短いスパンで実施されるため、企業は常に最新のテクノロジーを自社の経営に活かすことができます。このように、 Google のインフラを自由に使い倒せる点は、企業がデジタル化を進める上で大きなメリットになります。
コスト管理がしやすい
Google Cloud ( GCP )はクラウド100%で提供されるサービスのため、初期費用は一切かかりません。月額料金は「従量課金制」であり、毎月一定額を支払うのではなく、利用した分だけ料金が発生します。
そのため、余計なコストが発生する心配はなく、自社の状況に合わせてサービスを利用することができます。 Google のインフラを利用できるという機能面でのメリットに加えて、発生するコストを管理しやすい点も Google Cloud ( GCP )の魅力のひとつです。
Google Cloud ( GCP )の料金体系を徹底解説!Google Cloud ( GCP )活用に必要な準備とは?
従量課金で多額の金額が請求されないように、予算アラートで金額の管理をすることも可能です。
【クラウド破産の回避術】Google Cloud (GCP)の予算アラートで安全なクラウド運用を実現!
セキュリティレベルが高い
Google Cloud ( GCP )は第三者認証取得のハイレベルなセキュリティを備えており、「 SSAE 16 / ISAE 3402 Type II:SOC 2/SOC 3」「 ISO 27001・FISMA Moderate 」「 PCI DSS v3.0」など、多くの年次監査を受けているため、安心して実業務に利用することができます。
デジタル化を進める上でセキュリティは避けては通れない課題ですが、 Google Cloud ( GCP )なら安全なクラウド運用を実現できるため、自社が本来注力すべき生産性の高い業務に集中できます。
高速なデータ処理
Google のサービスは、データ処理が高速であることで有名です。例えば、 Google Cloud ( GCP )に搭載されている「 BigQuery 」というビッグデータ解析サービスでは、通常は長い時間かかるクエリを、数 TB (テラバイト)、数 PB (ペタバイト)のデータに対して、数秒もしくは数十秒で終わらせることができます。
データの処理速度は業務の生産性に直結するため、デジタル化を進める上では確実に考慮すべき大切なポイントです。この高速なデータ処理が、全世界で Google Cloud ( GCP )が選ばれている大きな理由の一つとなっています。
Google Cloud ( GCP )の詳細は、以下の記事にまとめています。
Google Cloud Platform™ (GCP) とは
まとめ
本記事では、政府が発表している「デジタル・ガバメント実行計画」について、詳しくご紹介しました。内容をご理解いただけましたでしょうか。
同計画は政府主導で進めているものですが、決して民間企業に無関係の話ではありません。民間企業が積極的にデジタル化を推進することで、社会全体のデジタル・ガバメントを効率的に進めることができます。
デジタル化を進めるためにはクラウドサービスの導入が重要なポイントですが、数あるクラウドサービスの中でも Google Cloud ( GCP )がオススメです。 Google のサービスならではの様々な特徴により、企業のデジタル化を強く推進します。
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