システム担当者必見!オンプレミスからクラウドデータベースへの移行で注意すべき11のポイントとは?
- オンプレミス
- クラウドデータベース
近年、企業が保有するデータ量は増加しており、その種類も多様化しています。従来はオンプレミスのデータベースでデータを管理する企業が多かったですが、自社ですべての設備を用意するオンプレミス型では、急激な変化に対応するのが難しいケースもあります。
そのため、オンプレミスのデータベースからクラウドデータベースにシフトする企業も増えてきました。クラウドデータベースを活用することで効率的な運用を実現でき、あらゆる変化に対して柔軟に対応することが可能になります。
ただし、オンプレミスからクラウドデータベースへの移行においては、注意すべきポイントが多く存在します。これらを正しく理解しておかなければ、移行後に自社の生産性が低下するリスクもあります。そこで本記事では、オンプレミスからクラウドデータベースへ移行する際に注意すべき11のポイントを一挙にご紹介します。
目次
クラウドとは?
はじめに「クラウド」についてご説明します。オンプレミスからクラウドデータベースへの移行を進めるためには、クラウドに関する理解が必要不可欠です。
クラウドの種類
クラウドとは「インターネット上の仮想基盤」を意味する言葉です。PC やスマホなどの端末にデータを保存するのではなく、インターネット上に存在する仮想空間(サーバー)に保存して、運用することを「クラウド化」と言います。
一般的にクラウドは、「 SaaS 」「 PaaS 」「 IaaS 」という3つに分類されます。
種類 | 特徴 | サービス例 |
---|---|---|
SaaS | アプリやソフトをクラウド上で動作させる | ・Google Workspace(旧 G Suite ) ・Office365 ・オンラインストレージ |
PaaS | アプリの開発環境をクラウド上で提供する | ・Google App Engine ・Microsoft Azure |
IaaS | システムのインフラをクラウド上で提供する | ・Google Compute Engine ・Amazon Elastic Compute Cloud |
また、クラウドの中には「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」があります。
パブリッククラウドは、誰でも利用できるオープンなクラウドサービスの形態です。Google 、 Yahoo! 、 Amazon などがパブリッククラウドの代表例であり、不特定多数がサービスを共有できる点が特徴です。
プライベートクラウドは、企業または個人が専用環境を構築するクラウドサービスの形態です。IBM や NEC などがプライベートクラウドの代表例であり、サービス内容をカスタマイズしたり、コントロールできるのが特徴です。
「 SaaS 」「 PaaS 」「 IaaS 」に関して詳しく知りたい方におすすめの記事は以下です。
【図解でわかる!】SaaS、PaaS、IaaSの違いとクラウドサービスとの関係性について
パブリッククラウド、プライベートクラウドに関して詳しく知りたい方におすすめの記事は以下です。
プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いとメリット・デメリットについて徹底解説
クラウドとオンプレミスの違い
クラウドと対比的に使われる言葉が『オンプレミス』です。オンプレミスは、サーバーやネットワーク機器を物理的に自社に設置して、システム構築・運用する形態のことを指します。
以下、クラウドとオンプレミスで異なる点を表にまとめました。
クラウド | オンプレミス | 初期費用 | 低額 | 高額 |
---|---|---|
月額費用 | 変動費 | 固定費 |
導入までの期間 | 短い | 長い |
カスタマイズ | 制限される場合がある | 自由 |
自社システムとの連携 | 制限される場合がある | 容易 |
災害時の復旧 | 容易 | 困難 |
最近では、クラウドとオンプレミスを組み合わせた「ハイブリッドクラウド」も存在します。例えば、「データはクラウドで保存して、システムはオンプレミスで運用」のように、両者のメリットを活かしたクラウドの運用形態です。
大切なことは、単にクラウドとオンプレミスを比較するのではなく、両者のメリット・デメリットを理解し、自社に適した運用方法をさまざまな観点から検討することです。
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データベースとは?
役割
データベースとは、さまざまなデータをひとつの場所に集約し、利用しやすく保管した情報群を指す言葉です。データは存在していれば良い、ということではなく、必要なときにすぐ使えるように整理されている必要があります。
データベースは求めている情報を使いやすい形で取り出すための役割を持っており、単なる数値だけではなく、グラフなどを使ってわかりやすく可視化することも可能です。多くの企業でビッグデータ化が進む現代において、データベースは必要不可欠なものであると言えます。
メリット
データベースを利用することで、大容量なデータを適切に管理することが可能になります。求めているデータを検索することはもちろん、類似データをグループ化したり、データ自体の編集も手間なく行うことができます。
多くの場所に点在するデータをデータベースに集約して管理することで、必要なデータを必要なときに抽出することができ、企業の方向性決定に役立てることが可能になります。
現在、 AI や IoT などの新技術到来に伴い、企業が保有するデータ量は年々増加しています。そのため、データベースの存在意義はさらに高まっていると言えます。
デメリット
データベースのデメリットは、追加コストが発生してしまう点です。扱うデータ量が増えれば増えるほど、処理に対応するための設備が必要になります。
例えば、データを保管しておくためのサーバーやセキュリティツールなどが挙げられます。また、環境を整備するためには、サーバーの設計や構築なども行う必要があるため、人件費の観点からも追加コストが発生します。
求める処理スピードによって揃える設備も変わるため、まずは自社のデータ量や要件を具体化した上で、予算と相談しながらデータベースの導入を検討することが大切です。
クラウドデータベースとは
クラウドデータベースとは、その名前の通り「クラウド型で提供されているデータベース」です。オンプレミスのように自社で設備を持つことなく、クラウド環境を利用してデータベースの仕組みを構築します。
一般的に、データベースを構築するためには DBMS をサーバーに取り込む必要があります。 DBMS とは「 Database Management System 」の略であり、日本語では「データベース管理システム」と呼ばれています。 DBMS はデータベース内の情報検索や削除を行うなど、データベースを扱う上で欠かせない存在です。
しかし、 DBMS の取り込みは手間のかかる作業であり、作業者の負荷が大きくなる傾向にあります。そのため、オンプレミスでデータベースを構築する場合には、この DBMS の取り込み作業が課題となるケースも少なくありません。
その点、クラウドデータベースは自社でサーバーを用意する必要がないため、 DBMS を導入する必要もありません。パソコンやインターネット回線など、必要最低限のものが揃っていれば、すぐにデータベースを利用できます。
このような理由から、実際に多くの企業がオンプレミスからクラウドデータベースへの移行を進めています。
オンプレミスからクラウドデータベースへの移行で注意すべき11のポイント
全体計画の策定
全体計画を立てずにデータベース移行を始めた場合、プロジェクトを効率的に進めることはできません。まずは具体的な全体スケジュールを決めて、段階的に進めていくことが大切です。
クラウドデータベースの導入目的の確認
クラウドデータベースを検討する際、導入目的が不明瞭だと失敗する危険性が高まります。クラウド移行はあくまで手段であり、目的ではありません。「なぜクラウド環境へ移行するのか?」を慎重に検討して、目的意識を持ってクラウドデータベースを利用することが大切です。
クラウドデータベースの機能要件の確認
希望が実現できない場合はクラウドデータベースに移行する意味が薄れてしまいます。自社の実現したいことを明確化し、クラウドデータベースの機能要件を事前にチェックしておきましょう。
クラウドデータベースのセキュリティレベル
データベースは貴重なデータを保管する場所であるため、セキュリティ面はとても重要なポイントです。サービスごとにセキュリティレベルは異なるため、複数のクラウドデータベースを比較検討することをオススメします。
社員のクラウドに対する理解
データベース環境だけをクラウドに移行しても、そのデータベースを使うのは自社の社員です。そのため、クラウドデータベースのメリットなどを事前に社員へ説明し、クラウド移行に対する賛同を得ておくことが大切です。
サーバーのリソース設定
既存のオンプレミスデータベースの使用量を調べておき、クラウドデータベースの利用時に必要なサーバーリソース量を把握しておきましょう。適切なリソース設定を行うことで、データベース運用におけるコストの最適化を図ることができます。
移行後のコストシミュレーション
サーバーリソースを最適化するとともに「クラウドデータベースでどのくらいのコストが発生するのか」を見積もっておきましょう。事前にコストシミュレーションを行うことで移行後のイメージを具体化でき、計画的なデータベース運用が可能になります。
移行後の運用負荷確認
クラウドデータベースはオンプレミスと比較して運用負荷を減らせますが、自社で対応すべき範囲も存在します。この責任分界点を理解していないと、突発的な作業に対応することはできません。事前に自社の対応範囲を確認し、移行後の運用負荷を想定しておきましょう。
社内システムとの親和性
データベースを移行した後、他の自社システムとクラウドデータベースが連携できるかどうかは重要なポイントです。仮に連携できない場合、業務の生産性が大きく低下するため、事前にクラウドデータベースと自社システムとの親和性は確認しておく必要があります。
サービスの選定
一口にクラウドデータベースと言っても様々なサービスがあります。それぞれ価格や特徴は異なるため、自社の要件や実現したいことを明確にした上で、最適なサービスを選択してください。
パートナー企業の選定
クラウドデータベース自体の選定に加えて、パートナー企業の選定も大切なポイントです。サービス導入後のサポート体制はパートナーごとに異なるため、安心してデータベースを運用するためにも、信頼できるパートナー企業と契約してください。
Google Cloud (GCP)が提供するクラウドデータベース
Google Cloud (GCP)は Google が提供するパブリッククラウドサービスであり、クラウドデータベースとして使えるサービスも多数搭載されています。
本章では、 Google Cloud (GCP)が提供している代表的なクラウドデータベースサービスをご紹介します。こちらで紹介していないサービスもございますので、ご注意ください。各サービスごとに特徴は異なるため、自社の要件に合わせて最適なものを選択してください。
Cloud SQL
Cloud SQL は、Google が提供する RDB のデータベースです。
Cloud SQL は、保管中・送信中のデータ暗号化はもちろんのこと、プライベート接続にも対応しています。「 SSAE 16」「 ISO 27001」「 PCI DSS 」「 HIPAA 」に準拠しており、非常に高いセキュリティを誇るサービスとなっています。
また、Cloud SQL は API を1度呼び出すだけでインスタンスをすぐに作成できるため、柔軟なスケーリングを実現します。さらに、操作が簡単な点もメリットのひとつであり、標準の接続ドライバと組み込みの移行ツールを使うことで、数分でデータベースを作成できます。
Cloud Spanner
Cloud Spanner は、 Google が提供する RDB のデータベースです。
Cloud Spanner は ACID に準拠したデータベースであり、様々な処理を自動で行うことができます。そのため、シーンに応じた最適な処理を実現することが可能になります。
また、Cloud Spanner は、Google の専用ネットワーク上に構築されており、高い可用性を誇るサービスです。最大で 99.999% の可用性を提供するため、ビジネスシーンでも安心して利用することができます。
さらに シンプルな操作で直感的に操作できる点も Cloud Spanner のメリットです。本来は、データベースの運用に伴う複雑かつ煩雑な作業が多く発生しますが、Cloud Spanner を利用することで、データベースの作成やスケールが数クリックで完了するため、社員の運用負荷軽減を実現できます。
Cloud Datastore
Cloud Datastore は、Google が提供する NoSQL のデータベースです。
Google の独自インフラを採用していることから、利用者は様々なメリットを享受することができます。
Cloud Datastore は、「データ量に応じてシームレスかつ自動的に拡張される」という特徴を持っており、自社の状況に応じて最適なパフォーマンスを発揮できる拡張性が魅力のひとつです。
また、 Gmail や YouTube など世界中で多くのユーザーが利用しているサービスと同じインフラで構築されており、安定したパフォーマンスを実現します。アプリケーションの負荷に応じてリソース拡張を自動で行うため、その観点からも、高い可用性を誇るサービスであると言えます。
データベースクエリ、インデックス表示をはじめとして、 Cloud Datastore の管理ダッシュボードは、様々な機能を搭載しています。また、データのバックアップや復元を行うこともできるため、業務に必要な機能はすべて揃っていると言えるでしょう。
クラウドデータベースは Google Cloud (GCP)がオススメ
クラウドデータベースを導入する上では、サービス選定が大切だとお伝えしました。様々なクラウドデータベースが存在しますが、せっかく導入するのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。
以下、 Google Cloud (GCP)がオススメな理由をご紹介します。
Googleの成長性
世界の最先端を走る Google のテクノロジーは日々進化しています。 Google Cloud (GCP)は Google が提供しているクラウドサービスのため、 Google の進化とともにサービス自体も成長し続けます。
新機能の追加やユーザビリティの向上が短いスパンで実施されるため、企業は常に最新のテクノロジーを自社の経営に活かすことができます。このように、自社のデータベース運用において Google のインフラを自由に使い倒せる点は Google Cloud (GCP)が人気を集める大きな理由のひとつと言えます。
セキュリティレベルが高い
Google Cloud (GCP)は第三者認証取得のハイレベルなセキュリティを備えており、「 SSAE16 / ISAE 3402 Type II:SOC 2/SOC 3」「 ISO 27001・FISMA Moderate」「PCI DSS v3.0」など、多くの年次監査を受けているため、安心して実業務に利用することができます。
クラウドデータベースを運用するためには堅牢なセキュリティが必要不可欠ですが、 Google Cloud (GCP)であれば Google の強力なセキュリティ体制によって自社の大切なデータを守ることができ、安全なデータベース運用を実現することが可能です。
多くの機能を備えている
Google Cloud (GCP)には、データベース以外にも様々な機能が搭載されています。例えば、 BigQuery というビッグデータ解析サービスは高速なデータ処理が特徴ですが、クラウドデータベースで管理しているデータを BigQuery で分析することで、効率的にデータ活用を進めることができます。
他にも、コンテナ実行環境である Google Kubernetes Engine (GKE)や web アプリケーションを開発できる Google App Engine (GAE)、アプリケーションのモダナイゼーションを実現する Anthos など、多種多様な機能が用意されています。そして、これらの機能がシームレスに連携できるため、あらゆるシーンにおいて自社の業務効率化に大きく寄与します。
クラウドデータベースはあくまで自社の生産性を高めるための手段の一つなので、様々な機能を一気通貫で提供する Google Cloud (GCP)を選ぶことで、クラウドデータベースの導入効果をさらに高めることができます。
BigQuery に関しては、以下の記事が参考になります。
超高速でデータ分析できる!専門知識なしで扱えるGoogle BigQueryがとにかくスゴイ!
以下の記事では GKE の最新情報をご紹介しています。
Google Kubernetes Engine ( GKE )の最新機能を一挙紹介!さらに便利で使いやすくアップデート?
GAE を利用したアプリケーションの起動方法を以下の記事でわかりやすく解説しています。
【GCP入門編・第5回】 Google App Engine の魅力とは? Google App Engine (GAE) でのアプリケーション起動方法!
Anthos に関する詳細は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
よりセキュアに!より低コストに!Anthosの概要から検証まで、2020年最新情報を全てお届け
まとめ
本記事では、クラウドデータベースの基礎的な内容から、オンプレミスからクラウドデータベースへ移行する際に注意すべき11のポイントを一挙にご紹介しました。
あらゆる状況に柔軟に対応するためには、クラウドデータベースの利用が必要不可欠ですが、オンプレミスからの移行時には多くの注意点が存在します。クラウドデータベースの導入効果を最大化するためにも、すべてのポイントを必ずチェックしておきましょう。
クラウドデータベースには多くのサービスが存在しますが、せっかく導入するのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。セキュリティレベルが高いため安心して使えるほか、多彩な機能により、様々なシーンにおいて自社の生産性向上に大きく寄与します。
本記事を参考にして、ぜひ Google Cloud (GCP)の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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