Lift & Shift とは?クラウド移行の手順を5ステップで解説!

Lift & Shift とは?クラウド移行の手順を5ステップで解説!

近年、消費者ニーズの多様化や企業の保有データ量の増加に伴い、多くの企業が業務システムのクラウド移行を進めています。クラウド環境へシステムを移行することで、運用工数の削減や柔軟性の向上など、様々なメリットを享受できます。

クラウド移行には様々な方法がありますが、手間をかけずに移行したい場合は「 Lift & Shift 」がオススメです。本記事では、 Lift & Shift の基本的な内容に加えて、 Lift & Shift でクラウド移行を進めるための具体的な手順を5ステップでご紹介します。

自社でクラウド移行を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

クラウド移行の必要性

昨今、市場ニーズの多様化に伴い、あらゆる状況変化に対応できる柔軟な経営が求められています。

従来のオンプレミス運用では、サーバーやネットワークなどを自社で準備する必要があるため、急なリソース増減に対応することができず、柔軟なシステム運用は困難でした。

一方クラウドの場合は、自社で設備を準備する必要がありません。クラウド事業者と契約することで必要な分のリソースを自由に利用できるため、自社の状況に合わせた柔軟なスケーリング(利用量を増減すること)が可能になります。

このような背景から、多くの企業が業務システムのクラウド移行を進めています。

業務システムをクラウドへ移行することで、企業は様々なメリットを享受できます。柔軟な経営基盤を構築できることに加えて、運用負荷の軽減や新しい働き方の実現など、企業に求められる様々な課題を解決することが可能になります。

また、2018年に経済産業省が発表したレポートには「2025年の崖」というキーワードが明記されています。「2025年の崖」とは、オンプレミスの業務システムを長期間利用し続けることで、多額の経済損失をもたらすとされている問題です。

2025年は企業の IT システムに大きな変化が起こる年だと予想されており、何も対策を行わない場合は企業の競争力が著しく低下すると言われています。その結果、最大で12兆円もの経済損失が発生する可能性が叫ばれており、クラウド移行は全ての企業にとって避けては通れない経営課題となっています。

「2025年の崖」に関しては、以下の記事が参考になります。
【知らないとマズイ】2025年の崖とは?DXの推進にはクラウド化が必要不可欠!

Lift & Shift とは?

Lift & Shift とは、オンプレミス上のアプリケーションの構成変更を実施することなくクラウド環境に移行し、必要な場合にのみ改修を行う手法です。 Lift & Shift によるクラウド移行は、大きく「 Lift 」と「 Shift 」という2つのステップに分けられます。

Lift とは、既存のオンプレミスシステムをそのままクラウド環境へ持ち込むことです。クラウド移行を実現するためには、はじめにオンプレミス環境に存在するデータなどをクラウド環境に移す必要があります。そして、 Lift が完了した後は Shift を行います。

Shift とは、クラウドへ持ち込んだ業務システムを徐々にクラウド環境に最適化していくことです。元々オンプレミスで運用していたシステムは、そのままクラウド環境で利用することはできません。クラウドの特性を踏まえながら、自社の生産性向上や業務効率化に繋がるよう、少しずつシステムに修正を加えていきます。

Shift & Lift を利用することで、移行先のクラウド環境でも同じアーキテクチャを利用することができ、移行にかかる手間を最小限に抑えることができます。例えば、移行元と移行先の環境で同じ仮想化ソフトウェアを利用しており、仮想マシンイメージを利用することができる場合等が該当します。

Lift & Shiftのメリット

Lift & Shift を活用すれば、ほとんどの場合において既存環境の技術や運用手法をクラウド環境に継承することができます。

そのため、新しい環境でありながら新規スキルの学習コストを最小限に抑え、既存の環境で蓄積されたスキルやノウハウを活用することが可能です。また、構成管理、監視やバックアップといった運用面においても既存環境の手法を活用することができます。

ただし、一部限定的ではありますが、場合によってはクラウド環境の仕様に合わせなければならないケースも存在するため、この点は注意が必要です。

Lift & Shiftのデメリット

業務システムをクラウド環境へ移すとき、単に環境を移行すれば良いというわけではありません。せっかくクラウドに移行するのであれば、既存システムが抱える課題や問題点は解消すべきです。

しかし、 Lift & Shift は既存環境の技術や運用手法を移行後もそのまま利用するため、改善点に気付きにくいというデメリットがあります。クラウド移行のメリットを最大化するためには、移行前に既存環境の課題を明確化しておき、移行後の運用方法やサービス設計などをあらかじめ考えておくことが大切です。

Lift & Shift を進めるための3つのポイントや注意点

本章では、 Lift & Shift を進めるためのポイントを3つご紹介します。クラウド移行における大切な要素であるため、確実に理解しておきましょう。

セキュリティ対策

業務システムは企業の機密データを多く含むものであるため、 Lift & Shift でクラウド移行する段階からセキュリティ対策を万全にしておく必要があります。仮に情報漏洩などのセキュリティ事故が発生した場合、取り返しのつかない事態になります。

安全な環境でシステムを運用するためには、一つのセキュリティ対策ではなく、多層的なアプローチで複数の対策を講じることが大切です。例えば、「ネットワーク」「アプリケーション」「ユーザー」など、様々な要素を考慮してセキュリティを強化してください。

社員の意識変革

Lift & Shift で業務環境をクラウドへ移行した場合、当然ながら日常業務の進め方にも変化が生じます。仮にその変化に対して社員が抵抗するようでは、クラウド移行の効果は半減します。

そのため、 Lift & Shift で実際に移行を進める前に社員の意識変革を促すことが大切です。クラウド移行の重要性を説明することはもちろん、社員一人一人にどのようなメリットが出るのか、という点も明確にしておきましょう。説明会の実施やプロジェクトチームの発足などを通じて、社員がクラウド移行に主体的に取り組む環境を作るのがオススメです。

移行先となるクラウドサービスの選定

Lift & Shift において、移行先となるクラウドサービスの選定は重要なポイントです。Lift & Shift では、既存環境の技術や運用方法を移行後もそのまま継承するため、必要に応じて構成変更などの改修を行うケースがあります。

そのような場合、柔軟性の低いサービスでは希望通りの運用を実現することができません。また、自社の状況に応じたスケーリング(自由に利用量を増減すること)は、柔軟な経営基盤を構築する上では必要不可欠であるため、あらゆる状況に対応可能な機能性の高いクラウドサービスを選択することが大切です。

Lift & Shift 実現に向けた5ステップ

本章では、実際に Lift & Shift を進めるための手順を5ステップでご紹介します。細かい部分は長くなるので割愛しますが、全体の流れをイメージするためにご覧ください。

ステップ1.既存環境を仮想化する

まずは既存のオンプレミス環境を仮想化します。仮想化とは、ソフトウェアを利用することで、複数の仮想的なサーバーを物理サーバー上に構築することです。構築された仮想的なサーバーは「仮想サーバー」と呼ばれます。仮想化によってハードウェア(設備機器)とシステムのライフサイクルを分離し、クラウドへ移行しやすい環境を整えます。

仮想化に関して理解を深めたい方は以下の記事がオススメです。
仮想化とは何か?クラウドを支えている基礎技術を徹底解説!

ステップ2.クラウド環境をテスト利用する

仮想化が終わったら、実際にクラウド環境を利用してみましょう。いきなり全てのシステムを移行するのではなく、影響度が低い仮想サーバーのみをクラウドへ移行し、本番環境でテストを行います。クラウド環境を実際に利用することで、移行後のイメージを具体化することができ、課題や改善点を把握できます。

ステップ3.本格的にクラウド移行を進める

テスト利用でイメージを把握できたら、本格的な Lift & Shift を実行します。ステップ2で得た知見を活用して、優先順位を決めながらクラウド移行を進めてください。例えば、移行に伴う稼働停止時間や保守の残期限などを参考にしながら、段階的に移行を進めると良いでしょう。

ステップ4.クラウド環境における運用を検討する

クラウド移行が完了しても、そこで終了ではありません。クラウドならではの利点を活かした運用効率化を検討する必要があります。今後に向けて、新しいシステム構築や運用管理体制を確立し、更なるコスト削減や生産性向上を目指していきましょう。

ステップ5.クラウドネイティブなシステム基盤を構築する

最後のステップは、デジタルトランスフォーメーション( DX )の実現に向けたクラウドネイティブなシステム基盤の構築です。DX という言葉は「最新のデジタル技術を駆使した、デジタル化時代に対応するための企業変革」と定義されています。また、クラウドネイティブとは、「クラウド環境での利用を前提に構築されたサービスやシステム」を指す言葉です。

ステップ4までのプロセスで得た経験や知見を活かし、新しいシステムはクラウドネイティブを前提とした構成を検討してください。これにより、あらゆる変化に対して柔軟に対応できる柔軟な経営基盤を構築することができ、企業における DX を前進させることができます。

DX に関する詳細は、以下の記事が参考になります。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?概要と5つの事例をご紹介!

また、弊社がサポートさせていただきましたクラウド移行の事例もございますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。

トップゲートと「 One Team 」でのプロジェクト進行。オンプレミスから Google Cloud への移行で月額コスト40%削減

Lift & Shift には Google Cloud がオススメ

記事の前半で「 Lift & Shift は移行先となるクラウドサービスの選定が重要」とご説明しました。

多くの企業が様々なクラウドサービスを提供していますが、 Lift & Shift には Google が提供する「 Google Cloud 」がオススメです。本章では、数あるクラウドサービスの中で Google Cloud がオススメの理由をご紹介します。

Googleの成長性

世界の最先端を走る Google のテクノロジーは日々進化しています。 Google Cloud は、 Google が提供しているクラウドサービスのため、 Google の進化とともにサービス自体も成長し続けます。

新機能の追加やユーザビリティの向上が短いスパンで実施されるため、企業は常に最新のテクノロジーを活用できます。そのため、効率的な Lift & Shift を実現でき、自社の生産性を大きく向上させることが可能です。

高いセキュリティレベル

Google Cloud は第三者認証取得のハイレベルなセキュリティを備えているため、安全な環境で Lift & Shift によるクラウド移行を完遂することができます。

「 SSAE16 / ISAE 3402 Type II:SOC 2/SOC 3」「 ISO 27001・FISMA Moderate 」「 PCI DSS v3.0」など、多くの年次監査を受けており、移行後の本番環境としても安心して利用することができます。

高速なデータ処理

Google のサービスは、データ処理速度が早いことで有名です。例えば、 Google Cloud に搭載されている「 BigQuery 」というビッグデータ解析サービスでは、通常は長い時間かかるクエリを、数 TB (テラバイト)、数 PB (ペタバイト)のデータに対して、数秒もしくは数十秒で終わらせることができます。

Lift & Shift によるクラウド移行は、移行対象のデータ量に応じて、サーバーにかかる負荷が増大しますが、 Google Cloud であれば膨大なデータでも高速に処理可能なため、効率的かつ短時間でクラウド移行を実現することができます。



Lift & Shift による Google Cloud へのクラウド移行は以下の記事が参考になります。具体的な移行ツールや移行先のサービス、移行方法まで詳しくご紹介しています。

クラウド移行の王道はLift & Shift!概念からGCP における3つのやり方をご紹介

まとめ

本記事では、 Lift & Shift の基本的な内容に加えて、 Lift & Shift でクラウド移行を進めるための具体的な手順を5ステップでご紹介しました。

Lift & Shift は、既存環境の技術や運用方法を移行後の環境に継承できるため、手間をかけずにクラウド移行を実現することが可能です。そのため、新規スキルの学習コストを抑えることができ、会社のコスト削減に寄与します。

以下、改めて Lift & Shift を実現するための5ステップを記載します。

このように、 Lift & Shift はクラウド環境への移行で終了するわけではなく、新環境での運用を継続的に検討することが大切です。そうすることで、あらゆる変化に対応できる柔軟な経営基盤を構築することが可能になります。

そして、Lift & Shift でクラウド移行を実施するのであれば、 Google が提供する Google Cloud がオススメです。高いセキュリティレベルや高速データ処理など、 企業は多くのメリットを享受することができます。

本記事を参考にして、ぜひ Google Cloud の導入を検討してみてはいかがでしょうか?



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