オンプレよりも安全?クラウドがBCP対策に選ばれる理由とは
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2011年3月11日に発生した東日本大震災に代表される大規模な自然災害。企業にとっては大きな脅威であり、データ消失やシステム停止などのリスクが数多く存在します。
日本では BCP ( Business Continuity Plan : 事業継続計画)対策が重要視されており、有事の際でも事業を継続するための運用体制が必要不可欠となっています。
近年、クラウドは効果的な BCP 対策のひとつとして注目されています。本記事では、クラウドが BCP 対策に選ばれている理由を詳しくご説明します。
目次
BCP 対策とは?
BCP とは「Business Continuity Plan」という言葉を略したものであり、日本語では「事業継続計画」と表現されています。
大規模地震に代表される自然災害が発生した場合、企業システムなどがダウンし、事業継続が極めて困難な状況になることが想定されます。そのまま事業を続けられない場合、倒産の可能性も視野に入れなければいけません。
もちろん、自然災害だけに限った話ではなく、世界的な感染症やテロリスト行為、セキュリティ事故が発生するケースでも同様のことが言えます。
このような非常事態に備えて、事業を継続するための方法や体制を事前に決めておくことが BCP の基本的な考え方です。一般的には社内マニュアルを作成するケースが多い他、非常事態を想定し、 BCP 対策として訓練を実施する企業も少なくありません。
BCP 対策と似ている言葉に「防災対策」がありますが、厳密には BCP 対策と防災対策は異なる意味合いを持っています。
防災対策は、主に人命や建物などを守るための対策です。一方で BCP 対策は、資産を守ることは大前提として、非常事態下における事業継続に重きを置いた考え方です。
そのため BCP においては、避難経路の確保や免震・耐震などの物理的な対策だけに留まらず、自社事業に対する優先順位づけや情報資産の保管方法など、さらに一歩踏み込んだ対策が求められます。
オンプレミスが BCP 対策に適さない理由
オンプレミス運用においては、サーバーや機器などはすべて自社で管理・運用する必要があります。設備を置くための物理的なスペースも、自社内のどこかに用意しなければいけません。
そのため、仮に大規模災害で自社設備が機能しなくなった場合、当然ながらサーバーは止まり、事業継続は不可能になります。これがオンプレミス運用における最大の懸念点です。
もちろん、安全性の高い設備を自社で構築することも可能ですが、その場合は莫大なコストが発生します。天候や地盤などの状態を細かくリサーチし、自然災害リスクの低い場所に設備を構える必要があります。
また、想定外のリスクに備えるためのセキュリティ対策なども自費で行う必要があるため、その点でも追加コストが発生し、会社の経営を圧迫します。
経済力に余裕のある大企業であれば話は別ですが、多くの一般企業にとっては、オンプレミスによる BCP 対策は非現実的だと言えるでしょう。
クラウドが BCP 対策にオススメの理由
データの安全性が確保されている
クラウドを利用することで、自社のデータを堅牢なデータセンターで保管することができます。クラウドサービスのデータセンターは、自然災害に強い立地・構造になっているため、非常事態においてもデータの安全性は確保されています。
バックアップデータを取得している
多くのクラウドサービスは、定期的にバックアップデータを取得しています。そのため、 BCP 対策としてクラウド環境を利用することで、自社の大切なデータが消えてしまうリスクを低減し、災害後の事業継続や復旧に向けて、素早いアクションが可能になります。
リモートワークが可能になる
クラウドサービスを利用することで、社員のリモートワークが可能になります。インターネット環境があれば、時間や場所を問わずに「いつでもどこでも仕事ができる環境」を整備することができます。
非常事態下において、社員が出社できなくなるケースは容易に想像できるため、リモートワークで事業継続を図れる、という観点からもクラウドは BCP 対策 に適したサービスだと言えます。
初期投資が不要である
クラウドの大きなメリットとして、低コストで導入できる点が挙げられます。初期費用が一切発生しないクラウドサービスも多く、毎月決められた金額を支払うことで安全な業務環境を実現できます。
実際、コスト面がネックで BCP 対策に踏み切れない企業は多く、経済的な負担の少ないクラウドサービスは有効な選択肢になると言えます。
クラウドで BCP 対策を行う際の注意点
ネットワークが切れる可能性がある
クラウドを利用しているからと言って、データが100%安全である保証はありません。大規模停電やネットワーク遮断が発生したときは、自社のデータを利用することはできません。
また、データセンター自体も確実に被害に遭わないとは言い切れないため、データを別々の場所に保管しておくなど、複合的な目線で BCP 対策を行うことが大切です。
セキュリティ体制はクラウド事業者に依存する
クラウドサービスのセキュリティ体制は、クラウド事業者に依存します。セキュリティ体制が脆弱なサービスを選んでしまった場合、自社のデータも危険に晒される可能性があるため、信頼できるクラウド事業者を選定し、堅牢なセキュリティを備えているサービスを選ぶことが大切です。
バックアップ容量とコストは比例する
クラウドにデータをバックアップする際、その容量と料金は比例するケースが多いです。特に BCP 対策を目的とする場合、バックアップデータの容量も大きくなる傾向にあります。
何も考えずにすべてのデータをバックアップ対象にした場合、莫大なコストが発生するリスクがあります。そのため、重複の削除やデータの取捨選択など、計画的に進めていきましょう。
リスク分散で安全性を高める
BCP 対策において、リスク分散は大切な考え方です。いかに堅牢なデータセンターにデータを預けていても、万が一そのデータセンターが被災してしまった場合は、事業継続は不可能になります。
一般的には「3-2-1ルール」というものが有名です。「3-2-1ルール」では、バックアップを2つ以上取得し、異なる場所にデータを保管します。そのうち1つのデータを遠隔地に置くことで、被災のリスクを低減するという考え方です。
BCP 策定の手順とは
STEP1.想定されるリスクを洗い出す
まずは、すべての想定リスクを洗い出して、見える化することが大切です。事前にリスクを把握しておくことで、具体的な対策を講じることができます。
地震や火災などの自然災害リスクはもちろんのこと、人為的なオペレーションミスやヒューマンエラー、個人情報漏洩などの情報セキュリティリスクも含めて、想定されるリスクはすべて列挙してください。
STEP2.事業とリスクに対して優先順位を付ける
すベてのリスクに対して、完璧な対策を取ることは困難です。そのため、自社の事業とリスクを俯瞰して、優先順位を付けていくことが大切です。
事業に関しては、利益を支えている中核事業を優先します。その事業が継続できなくなったときに、自社に与える影響が大きいものを第一に対策を進めましょう。
リスクは「頻度」と「重要度」の2つの軸を踏まえて検討してください。発生する可能性と、実際に発生した場合の影響度を考慮して、総合的に判断する必要があります。
STEP3.フェーズごとに具体的な対策を考える
優先順位を付けた後は、災害発生から復旧に向けた3つのフェーズごとに具体的な対策を考えていきます。各フェーズは以下の通りです。
- フェーズ1.現状把握
まずは災害によってどのような状況になっているのか、現状を把握することが大切です。正しく状況を理解することで、事業継続に向けた具体的な打ち手を検討できます。非常事態における情報連携の手順や連携ルートなどを事前に決めておきましょう。
- フェーズ2.代替・移行
非常事態において事業を継続するための体制を整えます。実務の担当者以外でも業務ができるような仕組みを構築したり、設備やネットワークの代替・移行も視野に入れておきます。業務に必要な人員や設備を把握しておき、代替手段は確実に確保しておきましょう。
- フェーズ3.復旧
最後は被災した箇所を復旧するための仕組みを整えます。会社設備などの物理的な復旧だけではなく、ネットワークなどの技術的な復旧も必要になります。効率よく復旧作業を進めるためには、被災前の状態を正確に把握しておくことが重要です。
BCP 対策にオススメなクラウドの選び方
複数データセンターを保持
BCP 対策でクラウドを利用するときは、必ず複数のデータセンターを保持しているクラウド事業者を選んでください。特定のデータセンターしか利用できない場合、自然災害のリスクは大きくなります。
データセンターに関して理解を深めたい方は以下の記事がオススメです!
データセンターとは何か?クラウドとの違いや使い分け方法を解説!
データの分散保管
BCP 対策においては、データの分散保管も重要なポイントです。データの分散保管とは、複数の場所に分けてデータを保管することです。分散保管を行うことで、特定のデータセンターがダウンしても、別のデータセンターで自社データを安全に守ることができます。
高度なセキュリティ
クラウドサービスのセキュリティ体制はクラウド事業者に依存します。そのため、サイバー攻撃や情報漏洩などのセキュリティ事故を避けるためには、高度なセキュリティを備えたクラウドサービスを選定する必要があります。
クラウドのセキュリティに対して理解を深めたい方は以下の記事がおすすめです。
【クラウドセキュリティ対策比較】GCP、AWS、Azureを様々な観点から比べてみた
BCP 対策には Google Cloud Platform(GCP) がオススメ
Google Cloud Platform(GCP) とは?
Google Cloud Platform(GCP) は、 Google が提供するパブリッククラウドサービスです。同じ種別のサービスとしては、 Microsoft 提供の「 Azure 」や Amazon 提供の「 AWS 」などが挙げられます。
GCP は多種多様な機能を備えたサービスであり、 BCP 対策としての用途はもちろんのこと、他にもあらゆるシーンで活躍します。GCP の活用事例は以下の記事が参考になります。
どの業界で活用されている?Google Cloud Platform(GCP)の導入事例をご紹介!
Google Cloud Platform(GCP) が BCP 対策にオススメな理由
GCP を契約することで、セキュアで高い安定性を持つ Google の IT プラットフォーム環境を自社で利用することができます。
Google は世界中にデータセンターを保有しており、独自のインフラを構築して分散保管の技術を採用しています。そのため、特定のデータセンターが被災しても、自社のデータを安全に守ることができます。
また、GCP は第三者認証取得のハイレベルなセキュリティを備えているため、情報セキュリティの観点からも、安心して実業務に利用することができます。
加えて、GCP は月間60億時間分の動画を再生する YouTube や、10億人のユーザーが利用している Gmail と同じインフラをベースとしているため、高速で安定したパフォーマンスを実現します。
このように GCP は BCP 対策に最適なクラウドサービスであると言えます。GCP の多彩な機能を活用することで、 BCP 対策以外にも企業の生産性を高めることができる点も大きな魅力のひとつです。
GCPに関して理解を深めたい方は以下の記事がおすすめです!
まとめ
本記事では、クラウドが BCP 対策に選ばれる理由をさまざまな観点からご紹介しました。
いまや BCP 対策はすべての企業に求められる経営課題です。万全な準備をしておくことで、有事の際でも安心して事業を継続することができます。
オンプレミスによる BCP 対策は欠点が多く、事業継続に向けた体制構築はクラウド利用がオススメです。データの安全性やコスト面など、さまざまなメリットを享受することができます。
そして、クラウドで BCP 対策を行う場合は GCP を推奨します。Google 独自のインフラを採用しており、この上なく安全な環境で自社のデータを保管することが可能です。
本記事を参考に、クラウドによる BCP 対策を本格的に検討してみてはいかがでしょうか?
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