データの活用で生産性向上!「BIツール」と「DWH」や「ETL」との違いとは?

データの活用で生産性向上!「BIツール」と「DWH」や「ETL」との違いとは?

近年、5G や IoT などの新技術の到来により、企業が保有するデータ量は爆発的に増加しています。これらのデータをうまく活用することが、会社の生産性を向上させるための鍵であると言えます。

データ活用の分野において、「 BIツール」、「 DWH 」、「 ETL 」といった言葉を聞いたことがあると思いますが、それぞれの違いを正確に説明できる方は少ないのではないでしょうか。

本記事では、 BI ツールと DWH 、 ETL の違いを詳しくご説明します。いずれも企業成長において欠かすことのできない大切なものです。ぜひ、最後までご覧ください。

BI ツールとは?

役割

BI ツールとは、「 Business Intelligence ツール」を略したものであり、膨大なデータを管理・集約し、必要に応じて分析まで行うことができるサービスです。企業のビッグデータ化が進む現代において、 BI ツールの存在価値は年々高まっています。

データを可視化し、自社の状況を正しく把握することで、今後に向けた改善案を検討することができます。また、分析結果を戦略に反映することで、より生産性の高い経営を実現することが可能になります。

BI ツールには、データの共有、分析、シミュレーションなどの機能が搭載されています。様々なデータをダッシュボードなどでわかりやすく表示できるため、スピード感をもった意思決定を実現します。

さらに BI ツールはマーケティング観点での統計分析やシミュレーションも可能であり、企業戦略の方向性を考える上で重要な役割を持っています。

メリット

BI ツールのメリットとして、効率的なデータ収集が挙げられます。BI ツールに大量のデータを集約することで、効率的に様々なデータを収集することができ、複数名での共有が可能になります。

また、収集されたデータを可視化することで自社の現状把握に役立ちます。一般的に BI ツールには、見やすいダッシュボードが搭載されており、 Excel のようにグラフを作成する必要はありません。手間なくデータを見える化できるため、作業時間を削減できる点も BI ツールのメリットだと言えます。

さらに、 BI ツールはデータを取得した後、リアルタイムでダッシュボードにデータを反映します。そのため、スピーディーな課題発見や意思決定を実現します。

デメリット

BI ツールの種類は多岐にわたるため、最適なサービスを選びにくい点がデメリットです。間違ったサービス選定をした場合、せっかく導入したツールが無駄になるリスクもあります。自社のニーズを明確化し、適切な製品を選ぶようにしてください。

また、コストが発生する点も BI ツールのデメリットです。BI ツールの利用機能やユーザー数に応じてコストは変動するため、事前に金額感を確認しておくと良いでしょう。自社のニーズや予算を踏まえて、事前にシミュレーションしておくことが大切です。

BI ツールに関しては、以下の記事が参考になります。
次世代BIツール「Looker」の概要と導入時の注意点をご紹介!

DWH とは?

役割

DWH ( Data Ware house 、データウェアハウス)とは、『データの倉庫』の意味で、データの利活用のために、膨大なデータを保存しておくためのシステムです。データ分析を行うために DWH に格納されるデータは、極力何らかの形で整理、整形されている必要があります。

DWH は、データの分析を目的としているため、アプリケーションで利用しなくなったアクセスログなどの膨大な情報についても格納されます。また、分析を行うため、一度格納されたデータは滅多に消されることはありません。

メリット

DWH の最大のメリットは、データ収集を効率化できることです。企業が保有する様々なデータを集積し、整理された状態で保管することができます。様々なデータが1箇所に蓄積されているため、 DWH から即座に情報を取得することが可能になります。
さらに DWH は、時系列順でデータを保管することができます。過去のデータが消えたり上書きされることはなく、時系列ですべてのデータを管理できるため、より正確なデータ分析が可能になります。

このように DWH には様々なメリットがあり、企業データの保管・分析を効率化し、企業のスムーズな意思決定を実現します。

デメリット

DWH は高機能なサービスであるが故に、導入自体が目的になってしまうことがあります。せっかく DWH を導入しても、データを保管しなければ意味がありません。手段と目的を間違えないように注意する必要があります。

また、DWH はデータの保管・蓄積がメインの機能なので、分析や可視化をするためには、別途 BI ツールを準備しなければいけません。

DWH に関しては、以下の記事が参考になります。
クラウドDWH(データウェアハウス)って何?AWS,Azure,GCPを比較しながら分析の手順も解説!

データウェアハウス(DWH)とは?メリットや活用例まで一挙に紹介

ETL とは?

役割

ETL とは「 Extract (抽出)、 Transform (変換)、 Load (書き出し)」の略であり、企業内のあらゆるシステムからデータを抽出し、共有する機能を搭載したツールです。

企業においては、多くのシステムが同時に存在しているケースが一般的です。営業、購買、生産、顧客管理など、様々な基幹システムがあり、異なるシステムからそれぞれデータを抽出するのは、時間や手間がかかります。

ETL を活用することで、複数システムからのデータ抽出や外部への書き出しを実行できるため、企業の生産性向上や業務効率化に直結します。

メリット

ETL を利用する上で専門知識は必要ありません。ETL は難しいプログラミングなしでサービスを利用できるため、作業効率を上げることができ、自社でエンジニアを確保する必要がないため、人件費の削減にも直結します。

さらに、ETL は直感的かつ自動的にデータの抽出、変換、書き出しを実行できるため、誤変換やデータ喪失などの人為的ミスを防ぐことができます。効率的かつ安全にデータを活用する上では、ETL は必要不可欠なツールであると言えます。

デメリット

ETL の主な機能は「データの抽出、変換、書き出し」です。そのため、ETL 単体では自社のデータを最大限に活用することはできません。

データを管理するための DWH や データを分析するための BI ツールなど、他サービスとうまく使い分けながら、運用していくことが重要です。

BI ツール・ DWH ・ ETL の違いと関係性

BI ツール、 DWH 、 ETL はデータ活用という観点では、どれも共通しているサービスですが、役割や機能はそれぞれ異なっています。

以下、主な機能と役割を表にまとめました。

製品 主な機能 役割
BIツール データの分析・可視化 大量のデータを元に分析を実行し、結果をダッシュボードなどに可視化する
DWH データの保管・蓄積 企業が保有する膨大なデータを綺麗に整理して保管・蓄積する
ETL データの抽出・変換・書き出し 複数システムからデータを抽出し、変換した上で書き出しを実行する

データ活用の流れとしては、はじめに様々な企業システムから ETL でデータを抽出します。その後、 ETL でデータの変換・書き出しを行い、 DWH へ受け渡しを行います。

DWH に蓄積したデータは綺麗に整理され、企業が保有するあらゆる情報が DWH 上で一元的に保管されます。DWH のデータを BI ツールで分析・可視化することで、自社の課題発見や戦略策定に活用することができます。

このように BI ツール、 DWH 、 ETL はそれぞれ得意とする領域が異なっており、すべてを適切に活用することで、価値のあるデータを経営戦略に反映することが可能になります。

データ活用は BigQuery がオススメ

BigQuery とは、Google Cloud で提供されているビッグデータ解析サービスのことです。通常では長い時間かかるクエリを、数 TB (テラバイト)、数 PB (ペタバイト)のデータに対し数秒もしくは数十秒で終わらせることができます。

クラウドなため、サーバーレスでスケーラビリティがあり、非常にコストパフォーマンスに優れています。他の多彩な Google Cloud の提供するサービスともシームレスに連携もでき、扱いやすいサービスの一つです。

多くの機能を兼ね備えている

BigQuery はデータを保管する DWH としての役割はもちろんのこと、他にも様々な機能を搭載しています。

BigQuery は ETL の領域も一部カバーしており、分析に必要なデータ加工を行うことができます。例えば、膨大な元データに対する検索のクエリ結果を BigQuery のテーブルとして出力することが可能です。

さらに Hadoop や Cloud Dataflow といったデータ処理エンジンと連携することができるため、複雑なデータ加工や、リアルタイムなデータストリーミング分析などを実現することが可能です。

データの処理速度が早い

BigQuery の強みとして、データ処理が高速な点が挙げられます。

通常の分析サービスであれば、GB(ギガバイト)程度であれば問題なく分析できますが、TB(テラバイト)規模になるとデータがなかなか返ってこないことが多いです。BigQuery は、さらにその上の PB (ペタバイト)規模のデータも高速で分析して、解を返すことができます。

約3 GB (ギガバイト)のデータ処理の要した時間は1.2秒という驚異のスピードです。(2020年5月段階)

【参考記事】
【トップゲート主催】StudyJam Google Cloud Platform 無料ハンズオンラボの体験レポート

データベースの専門知識がなくても扱える

通常、データウェアハウスのデータベースは特にクエリ用途などがある場合には必ずチューニングが必要です。テーブルや各種領域、インデックスなどに対し、最適な計算・シミュレーションなど必要です。当然データベースのスペシャリストが必要で、スペシャリストがいるか否かなども、チューニングパフォーマンスに影響します。

ところが、BigQuery はそれを必要としません。従来のデータベース概念とは異なり、今までデータベースでのクエリでは必須だったインデックスすら必要としません。つまりデータベースの専門知識がなくても高速クエリが可能となっています。

コストパフォーマンスが高い

BigQuery はコストパフォーマンスが圧倒的に優れています。

利用料金の目安も 1TB (テラバイト)500円程度とものすごくリーズナブルであるため、愛用者が多いです。データ量が分析開始前にわかり、事前に処理に要する目安料金がわかり安心してサービス利用可能です。

いくら高速なサービスがあっても扱いにくくてコストが高いものであれば、なかなか拡まらないと考えられます。しかし、BigQuery は扱いやすくかつコストも安いため、総合的に見て優れたサービスであると言えます。

BigQuery に関しては、以下の記事が参考になります。
BigQueryで考慮すべきセキュリティとその対策を一挙ご紹介!

【トップゲート主催】ゲーム業界様向けGCP活用のポイント 〜BigQuery編〜

【GCP入門編・第12回】 BigQuery を使って気軽にビッグデータの解析を行ってみよう!

データの活用事例

フライトの空席率改善

航空会社は空席率改善に向けてデータを活用しています。過去の顧客データを分析し、顧客ごとのキャンセル傾向を把握することで、得られた分析結果を元に空席率改善の運用検討に活かしています。

企業にとって、空席やキャンセルは大きな損害となるため、航空会社以外でも機会損失防止のためにデータ活用を進めている企業は多いです。例えば、映画館やテーマパークなどの業界でも、過去データを分析して戦略策定に活用しています。

EC サイトのデータ蓄積・分析

大手ECサイトでは、ユーザーの購入履歴や閲覧履歴などのデータを管理・分析しています。売上アップや顧客満足度向上の実現に向けて、以下のような目的でデータを活用しています。

様々なデータを管理し、顧客行動を分析することで、ECサイトのサービス品質を向上させることができ、結果的に売上アップに直結します。

また、ECサイトの問い合わせ窓口であるコールセンターやチャットシステムにおける、過去の応対履歴や録音された音声は一元的にデータとして保管されています。この応対履歴を分析・活用することで、さらなる顧客満足度の向上を実現することができます。

CRM による顧客管理

CRMとは、顧客情報などを一元的に管理するシステムのことであり、自社と顧客との密接な関係を築くことで、顧客満足度を向上させることを目的としたものです。CRMには多くの顧客情報が必要とされるため、 データ活用が大きな効果を発揮します。

過去履歴をすべて保存し、どのような属性の顧客が何を好むのかを把握することで、顧客との関係性構築に役立てることができます。

また、顧客が商品購入に至るまでには様々なプロセスが存在しており、受発注システムの処理速度やコールセンターの対応品質は、購買行動に大きな影響を与えます。これらの情報をプロセス横断的に把握・分析し、効果的なCRMを実現することができます。

まとめ

本記事では、「 BIツール」、「 DWH 」、「 ETL 」の違いについて、詳しくご説明しました。企業が保有するデータは年々増加しており、データ活用はすべての会社に求められている経営課題です。

BI ツール、 DWH 、 ETL を活用することで、データを一元的に管理し、適切な経営戦略の策定に活用することができます。そして、データの活用には BiqQuery がオススメです。高速データ処理に加えて、様々なメリットを享受することができます。

本記事を参考に、自社でのデータ活用を本格的に検討してみてはいかがでしょうか。



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