データセンターとは何か?クラウドとの違いや使い分け方法を解説!
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いまや、データセンターは必要不可欠なものとなりました。オンプレミスが主流の時代は終わり、多くの企業がデータセンターにさまざまな情報を保管しています。
データセンターと聞くとクラウドを連想する方も多いと思いますが、厳密にはデータセンターとクラウドは異なるものです。具体的な違いを説明できる方は少ないのではないでしょうか?
本記事では、データセンターの基礎的な内容から、クラウドとの違い、使い分け方法まで、一挙にご紹介します。データセンターやクラウドの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
データセンターとは?
データセンターとは、サーバーを設置する物理的な場所・施設を指す言葉です。単に建物だけを意味するわけではなく、サーバーを安定的に稼働させるための電力やネットワークをはじめとして、さまざまな機能を総称してデータセンターという呼称が使われています。
自社にサーバーを置いてシステムを運用するオンプレミスでは、自社の施設内にサーバーを設置し、管理する必要があります。その場合、物理的なスペースが必要となるだけでなく、機器の保守・管理にかかるコスト負担も発生するため、データセンターを提供する企業からサーバーを借用し、システムを運用するケースが一般的になっています。
データセンターの設備
物理スペース
データセンターにはサーバーを設置するため、それなりに大きな物理スペースが必要になります。もちろん設置場所だけではなく、サーバーの組立・分解ができる作業スペースや関係者が休むための休憩スペースも備えられています。
ラック
ラックとはサーバーを収容するための棚を指す言葉です。サーバーの重量や大きさに応じて、ラックのサイズも変わります。ラック容量限界までサーバーを設置した場合、排熱や配線作業の際に支障をきたすため、一般的には少し余裕をもったラックが選定されています。
インターネット回線
サーバーをインターネット環境に接続するためには、当然ながらインターネット回線が必要になります。データセンターでは、アクセスが集中した場合でも安定したパフォーマンスが求められるため、高品質な通信回線が必要になります。
電力
サーバーを動かすための電力もデータセンターの設備に含まれる大切な要素のひとつです。データセンターの性質上、24時間365日の稼働を求められるケースが多く、非常用電源などを駆使して冗長化し、停電などの不測の事態に備える必要があります。
空調
複数のサーバーを同時に稼働させた場合、データセンター内には大量の熱が発生するため、空調が重要な役割を果たします。サーバーを安定的に稼働させるためには、温度を「18℃~27℃」、湿度を「35%~60%」に保つ必要があります。
災害対策
データセンターは重要なデータを大量に保管する場所です。そのため、震災や火災などに備えるため、万全な災害対策が求められます。災害発生リスクの低い地域を選ぶことはもちろん、建物自体に耐震・免震構造を採用したり、火災検知・消化システムもサーバーが壊れないように留意するなど、細心の注意を払って運用していく必要があります。
データセンターの利用方法
ハウジング方式
ハウジング方式は、データセンター内の物理スペースやラックを借りて運用する方式です。自社の状況に合わせて、物理スペースやラックのサイズ・契約数を選びます。
ハウジング方式のメリットとして、ユーザー自身が要件に合わせたサーバーやインターネット回線を選択できる点が挙げられます。言い換えると、最低限の設備を自社で揃える必要があるため、初期投資が発生したり、導入までのリードタイムが長くなるというデメリットがあります。サーバーの運用管理についても自社で実施する必要があります。
ホスティング方式
ホスティング方式は、利用するサーバーやインターネット回線も含めて、事業者から借用し運用する方式です。ハウジング方式とは異なり、各種機器はデータセンター提供者が所有しているため、ハードウェアの管理・保守は提供側が対応します。
ホスティング方式のメリットとして、自社で設備を購入する必要がないため、初期費用の投資が不要、かつ、導入までのリードタイムが早いという点が挙げられます。ただし、機器にトラブルが発生した場合に自社で修復作業を行うことはできません。提供側の作業を待つしかないため、復旧予測を立てにくいといったデメリットがあります。
データセンターとクラウドの違い
データセンターとクラウドは似た意味で使われることが多いですが、それぞれ明確に異なるものです。データセンターは物理的なスペースや施設を指す言葉であるのに対して、クラウドはサービスの概念を指す言葉です。データセンター内に存在するサーバーを利用して、インターネット経由で仮想的にサービスを提供する形態をクラウドと呼びます。つまり、データセンターとクラウドは意味している階層(レイヤー)が異なります。
データセンターへのサーバー設置とクラウドサービス利用の違いは、柔軟性とカスタマイズ性にあります。クラウドサービスは柔軟性に優れており、自社の現状に合わせて自由にスケールすることができます。一方、データセンターは利用者自身がサーバーやインターネット回線を準備するため、自社のシステム要件に適したカスタマイズを行うことが可能になります。
データセンターを利用するメリット
電力供給や通信が安定している
データセンターの環境は、電力供給やインターネット通信が非常に安定しています。そのため、停電や通信断などのリスクを不安要素を払拭し、安定した状態でサーバーを稼働させることができます。
24時間365日体制で運用できる
各種機器をするためには、常に最適な温度・湿度を保つ必要があります。データセンターでは、24時間365日体制で機器の状態を管理しているため、自社のリソースを割くことなく、休みなしで運用することができます。
設備投資や人件費を削減できる
自社にサーバーを設置して運用するためには、物理的なスペースだけでなく、管理担当者を用意する必要があります。そのため、設置・運用のコストが発生する点に加えて、自社社員の業務負担も増えてしまいます。 データセンターを使うことで、これらの課題を解決することが可能になります。
堅牢なセキュリティ体制で運用できる
データセンターは、各企業の重要な情報を保管しておく場所です。そのため、とても厳しいセキュリティ環境下で運用されています。データのバックアップも万全でトラブル発生時の対応もスムーズなため。自社管理よりも安全なセキュリティ体制で運用することができます。
万全な災害対策が施されている
データセンターはサービスの特製上、耐火耐震といった災害対策が万全なように建設されています。企業にとって情報(データ)は財産なので、安全な環境で運用できる点は大きなメリットだと言えるでしょう。
クラウドを導入するメリット
初期費用を抑えることができる
クラウドは自社でのサーバー購入やサーバー設置スペースが不要なため、初期費用を抑えることができます。そのため、少額投資でスタートできる点は、クラウド導入の大きなメリットだと言えます。
クラウドの減価償却と会計処理・税務処理について理解をしたい方は以下の記事がオススメです。
クラウドとオンプレミスの減価償却と会計処理・税務処理について
運用負荷を軽減することができる
自社でサーバーを運用する場合、メンテナンスや保守を行なうための技術員が必要になります。システムに問題が発生したときは、早急に改善しなければならないため、大きな運用負荷がかかってしまいます。
クラウド利用における保守や有事対応は、すべてクラウドベンダーが巻き取ってくれるため、システムの運用負荷を軽減することができ、結果として人件費の削減にも繋がります。注意点として、クラウドベンダーの責任範囲ではない箇所は、運営者側で対応する必要があるため、責任分界点をチェックしておくことが大切です。
導入後すぐに始めることができる
データセンターに置くためのサーバーや接続用のインターネット回線を自社で準備する場合、長い時間を要してしまいます。クラウドであれば、既に完成されているサービスを利用するため、導入後すぐに始めることができます。ビジネスの世界はスピードが命なので、迅速に社内のシステム環境を整えられる点は大きなメリットです。
場所を問わずに働くことができる
データセンターを利用していても、ラックに自社サーバーを置いている場合は、サーバーの運用管理は自社の対応事項になります。そのため、定期的にデータセンターへ足を運び、異常チェックなどを実施する必要があります。
クラウドを導入することで、サーバーの保守・管理も含めたすべての作業をクラウドベンダーに委託できるため、場所を問わずに業務ができる『新しい働き方』が実現可能になります。
クラウド間の違いに関して理解をしたい方は以下の記事がオススメです!
大手クラウドサービス3社の違いとは? GCP 、 AWS 、 Azure の特徴を比較!
データセンターのセキュリティ
データセンターのセキュリティは大きく2つに分けることができます。「物理セキュリティ対策」と「情報セキュリティ対策」の2種類です。
物理セキュリティ対策
物理セキュリティ対策は「防犯対策」をイメージしてください。データセンターを利用する際の脅威はインターネットを介した攻撃だけではなく、人間が物理的にデータセンター内に侵入し、大切なデータを攻撃・窃盗する可能性も視野に入れる必要があります。そのため、データセンターは建物とサーバールームで入室管理を別に実施することが一般的です。また、サーバールームに窓は作らず、破壊による侵入することを防止しています。さらに防犯上の観点から、施設案内にもサーバールームの位置を表示しないケースもあります。
情報セキュリティ対策
データセンターには会社の機密情報が保管されているため、サイバー攻撃やウイルスのターゲットにされやすいです。そのため、データセンターは一般の企業では実現できないレベルの情報セキュリティ対策を行っています。24時間監視や異常検知など、利用者が安心してデータを預けられるように堅牢性を高める工夫が随所に施されています。
クラウドのセキュリティ
クラウドは安全性の担保が最重要になるため、提供会社は多額のセキュリティ投資を行いサービスを運用しています。本章では、Google Cloudを例にとって、クラウドのセキュリティについてご説明します。
データ暗号化
Google Cloudは、データを保存する際、データをディスクに書き込む前に自動で暗号化して保存する仕組みになっています。オプションで暗号化を選択するのではなく、常に暗号化する仕様になっているため、ユーザーは選択する必要がありません。
データ保存の暗号化は、様々な暗号鍵オプションを用意しているため、ユーザーのニーズに合わせて好きな形態を選ぶことができます。Google自身が業務利用している本番環境と同じ方法で管理されており、非常に厳重なセキュリティ体制で運用されています。
情報セキュリティチーム
Googleセキュリティモデルの中核として、情報セキュリティチームを設置しています。情報セキュリティチームは、情報、アプリケーション、ネットワークのセキュリティに携わる優秀なエキスパートにより構成されています。
このチームは Googleの防御システムの運用、セキュリティレビュープロセスの開発、セキュリティインフラストラクチャの開発、Googleのセキュリティポリシーの適用などを担当しています。
独自開発したチップを使用したサーバー
サーバーが問題なく稼働させられることが、クラウドサービスにおいて求められます。Googleは、サーバーの稼働を確立する目的に特化したTitanというセキュリティチップを開発しました。
Titanは、システムファームウェアやソフトウェアコンポーネントの検証を可能にするとともに、ハードウェアに搭載されたルート・オブ・トラスト技術(常に期待通りに信頼できる動作をする基点)により強力なシステムIDを確立しています。
安全なサービスAPI
すべてのサービスは、安全なグローバルAPIゲートウェイ・インフラストラクチャを通じて管理されています。APIを支えるこのインフラストラクチャは、暗号化されたSSL/TLSチャネルからのみアクセスでき、どのリクエストも人間がログインしたときに生成される時間制限付き認証トークン、または2段階認証システムを通じて配信される秘密鍵ベースの認証を使用する必要があるため、高いセキュリティを実現します。
安全なグローバルネットワーク
Googleのグローバルネットワークは世界中のほぼすべてのISP(インターネットサービスプロバイダー)と接続されていることから、データ転送時の公衆網におけるホップ数が少なくなり、安全性をより一層高めています。
クラウドのセキュリティについて詳細を知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
オンプレを選んだ理由は「なんとなくクラウドが怖いから」からの卒業、パブリッククラウドのセキュリティの真実
まとめ
本記事では、データセンターとクラウドの違いについて、それぞれのメリットを交えながら多角的にご説明しました。
今やオンプレミスでの運用は限界を迎えており、データセンターやクラウド活用に踏み切る企業が増えています。データセンターやクラウドを利用することで、生産性向上やコスト削減など多くのメリットを享受することができます。
データセンターとクラウドは似ている言葉ですが、明確に異なるものです。初期費用や業務負荷を減らしつつ、導入リードタイムの短縮を実現するためにはクラウドサービスの採用がオススメです。クラウドのセキュリティは万全であり、とても安全な環境でシステムを運用していくことができます。
本記事を参考にして、ぜひクラウド導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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