データの定義からデータレイクとデータウェアハウス(DWH)の違いをわかりやすく解説!
- BigQuery
- DWH
- S3
- ストレージ
- データレイク
”データ”を取り巻く用語には、様々な用語が存在します。例えば、以下のような用語が存在します。
- データレイク
- データマート
- データウェアハウス(DWH)
これらは、データを蓄積して、分析や機械学習に使うためのものですが、それぞれの役割は大きく異なっています。それぞれ、どのような意味で、どのような役割があるのでしょうか?
本記事では、『データレイク』と『データウェアハウス(DWH)』の違いについてご紹介していきます。
目次
そもそも、データとは?
そもそも、なぜデータをためておく必要があるのでしょうか?
その前にデータについての理解度を統一するために、データの定義を説明します。日本工業規格の「X0001 情報処理用語-基本用語」において、「データ」の用語定義は
「情報の表現であって、伝達、解釈または処理に適するように形式化され、再度情報として解釈できるもの」
とされています。つまり、
- コンピュータや機械によって出力された事実やその記録
- 再度読み込みや利用が可能
というもののことを言います。
例えば、サーバーのログ、自動車の走行記録、実験記録、仕事で作成した書類、音楽ファイル、動画ファイルなどが、「データ」に該当します。
データの種類
データの種類は、以下の2種類に分かれます。
- 構造化データ
- 非構造化データ
それぞれ、どのような特徴を持っているのか、記載していきます。
構造化データとは?
構造化データとは、エクセルのように「列」「行」があり、「列」「行」にそれぞれ関係性を持っているデータのことです。例えば、天気予報で1時間おきの気温が記載されている表を思い浮かべてみてください。1時間ごとの気温が、「列」または「行」で記載されていると思います。
このように、列または行に関係性があり、「どこに何があるか」が決められているデータのことを、構造化データといいます。構造化データは以下のような特徴があります。
構造化データの特徴1.簡単に分析できる
天気予報で1時間おきの「構造化データ」をみて、何時にどれくらいの気温か、ということは一目でわかります。このように、構造化データは特殊なツールを使わなくても、簡単に分析が行えるのが特徴です。
構造化データの特徴2.加工しやすい
「列」「行」にそれぞれ関係性を持っているため、データの削除や挿入といった加工がしやすいのが特徴です。また、特定の条件を持つデータだけ抽出する、といったことも可能です。
非構造化データとは?
非構造化データとは、メールやPDFファイル、エクセルやワードで作った書類、動画や音楽データなど、日々の業務や生活で作成された雑多なファイルのような、データ単体では意味を持ちますが、それぞれのデータ間に関係性がない(または、関係性が極端に薄い)データのことを指します。
これらのデータについては、構造化データのようにデータベースに格納しにくいという特徴を持ちます。非構造化データは以下のような特徴があります。
非構造化データの特徴1.構造化データと比べ、膨大な量が存在する
先述の通り、世の中のデータの大半は非構造化データです。構造化データのように、「列」「行」にそれぞれ関係性を持たせ、保存しているデータは世の中にはごく少数です。PDFファイルや、エクセル・ワード等で作成されるデータは日々色々なところで生まれ続けているからです。実際に、仕事で構造化データを作成している時間よりも、非構造化データを作成している時間のほうが多いのではないでしょうか?
非構造化データの特徴2.活用方法が定まっていない
PDFファイルや仕事で作成した書類は、それ自体には意味を持ちますが、「データ」という観点でみると、明確な活用方法や分析方法は定まっていません。「後で使うかもしれないのでとりあえず保存はしておくが、データとしての分析対象にもできない」というファイルなのです。
データの活用
構造化データや、非構造化データの活用はなぜ必要なのでしょうか?
理由は以下の3点です。
- データの分析が容易になり、データ活用競争が起きている。
- 企業戦略の立案につながる。
- 顧客の獲得や満足度向上につながる。
それぞれ、以下の見出しで詳しく説明します。
データの活用競争
まず、データの活用がどのような手順で行われるかを説明します。データの活用は、もともと蓄積してあるデータを、コンピュータを用いて加工をおこない、統計的手法やSQL等により、分析します。
従って、データ分析には、データ自体のほかに、以下のツールが必要です。
- 大量のデータを保存しておくストレージ
- 大量のデータを高速に処理するコンピュータ
- 大量のデータを分析する手法
2000年代であれば、データを保存しておくストレージや高速に処理するコンピュータがなく、機械学習など、データ分析を行う手法があってもデータの活用はなかなか進みませんでした。
しかし、近年ではストレージやコンピュータの性能向上により、大量のデータを短い時間で処理できるようになりました。加えて、AWSやGoogle Cloudなどのクラウドの普及により、大企業でなくても、ペタバイト級のデータを手軽に保存し、分析を行えるようになりました。
これにより、現在では、様々な企業が機械学習や統計学の手法を用いて、データの活用を行っています。従って、データ分析が行えない、または行っていない企業はその他の企業の遅れをとってしまい、競争力が減衰していきます。企業の競争力を維持するためにも、データの活用は必要不可欠です。
企業戦略の立案につながる
機械学習の手法を用いてデータを分析を行うと、「分類」「予測」を行うことができます。そして、「予測」の手法を用いると、来客数や売り上げ、仕入れの予測が行えるようになります。実際に電力会社などでは、機械学習を用いて気候や季節から、電力の需要を予測し、発電量を調節する、または他の電力会社から売買電をする、といったことが行われています。
また、過去5年のデータから、今後5年間の予測を行うといったことも、データの分析手法次第によっては可能です。このように、機械学習を用いて予測を行うことで、短期的~中期的な企業戦略の決定に役立てることができます。
顧客の獲得や満足度向上につながる
データ分析で可能なのは企業戦略の立案だけでなく、顧客の満足度向上にもつながります。例えば、機械学習の「分類」を行い、顧客のニーズをとらえるといったことが可能になります。
また、人気の商品に対して「予測」を行い、商品の需要や行列の待ち時間などの予測を行えば、売り切れや長蛇の列により顧客の満足度を下げることなく、人気商品を売りさばくことができます。
データは重要な経営資源
これらから見てわかるように、データを活用し、経営判断や顧客の満足度向上につなげることができます。従って、データは21世紀においては非常に重要な経営資源といえます。
データをうまく活用することで、他社との競争力を維持することができますが、逆に、データをうまく活用できないと、他社との競争に負けてしまうだけでなく、誤った経営判断を下したり、顧客満足度を大きく下げてしまうことになります。
データ蓄積の方法と種類について
これまで、データの種類や重要性について述べてきました。では、経営資源であるデータをどのようにためておけばいいのか、データ蓄積の方法について、記載していきます。
データ蓄積の方法は、主に3つあります。
- データウェアハウス(DWH)
- データマート
- データレイク
その中で本記事では、データレイクとデータウェアハウス(DWH)の違いについて、深掘りしていきます。
データウェアハウス(DWH)とは?
データウェアハウス(DWH)とは、ウェアハウス(倉庫)が語源になっていて、データをすぐに取り出して分析できるように、整理し、保存しておく場所のことです。そのため、保存されるデータは主に構造化データになっています。また、データウェアハウス(DWH)は目的をもって設計がなされています。
たとえば、どのようなデータを格納し、どのようなアウトプットが必要とされるかを、事前に決めて設計します。そのため、データウェアハウス(DWH)は、構築期間が少々長くなるという特徴があります。データの形式や加工方法について、データウェアハウス(DWH)の利用者と十分に認識合わせを行った上に、事前に設計する必要があるためです。
データレイクとは?
データレイクとは、ビッグデータをそのまま(生データのまま)格納できるストレージリポジトリのことです。特に、音声や動画、SNSのログなどを含むあらゆる形式のデータ(非構造化データ)を、そのままの形式で貯めておけるのが利点です。ゆえに、データレイクに保存されるデータは、整理された状態で保存はされません。
また、保存の目的も明確ではありません。「あとで使うかもしれないからとっておこう」というような動機でデータが保存されています。従って、データレイクの構築期間はほとんど時間がかかりません。
例えば、AWSやGoogle Cloudなどのパブリッククラウドで利用できるストレージサービス(S3やCloud Storage)を利用することで、短時間に構築が可能です。
データレイクとデータウェアハウス(DWH)の違い
それではデータレイクとデータウェアハウス(DWH)の違いについて記載していきます。
データウェアハウス(DWH) | データレイク | |
---|---|---|
保存されるデータ | 構造化データ | 非構造化データと構造化データ |
構築期間 | 構築まで長期間要する | 短期間で構築が可能 |
目的 | 明確な目的をもとに構築がなされる。 | 目的がなくても構築することがある。 |
ユーザー | ユーザーは特定されていることが多い | ユーザーは特定されていないことが多い |
必要な容量 | データウェアハウス(DWH)と比較して大容量化する傾向がある。 | |
使いやすさ | 目的が明確なため、用途が特定されている分使いやすい | データの加工が必要で、使いやすさはデータウェアハウス(DWH)に劣る。 |
データレイクを活用しよう
データウェアハウス(DWH)とデータレイクについて、違いを見てきました。現代では、様々なデータを活用し、様々な用途に利用できます。また、ビジネススピードは日々高速化しています。従って、構築に長期間かかり、目的が決まってしまっているデータウェアハウス(DWH)よりは、データレイクを利用するのがいいのではないでしょうか?
もちろん、利用用途が明確になっているのであれば、データウェアハウス(DWH)を構築するのがベストです。
データレイクを活用するにはクラウドを利用しましょう
データレイクは先述の通り、容量が大容量になる場合があります。場合によってはペタバイト級の容量が必要になる場合があります。ペタバイト級のデータを保存する場合、高性能なストレージ製品が数台~数十台必要になります。加えて、データ分析用のコンピュータも用意する必要があります。このように、データレイクを一から構築するには、多大なコストがかかってしまいます。
従って、AWSやGoogle Cloudのようなパブリッククラウドのサービスを利用してみましょう。先述のように、AWSのS3やGoogle CloudのCloud Storageを利用すれば、大容量のデータレイクがすぐに構築できます。また、Google CloudのBigQueryを利用すれば、構造化データのみになりますが、データの保存のほかに、高速な分析も可能になります。
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