Google Chat を活用した生成 AI チャットボット構築と性能検証支援
「人材不足が深刻化するなか、生成AI等を活用することでグループ全体の業務効率化を図っていきたいと考えています」
名古屋鉄道株式会社 西村 慎吾 氏
「G-gen さんが構築したチャットボットは Google Workspace との親和性が高く、社員からは『生成AIがないと仕事にならない』という声も聞かれるほどです」
名古屋鉄道株式会社 山田 敏大 氏
鉄道・バスなどの交通事業をはじめ、小売業やサービス業、不動産業など幅広い分野にグループ企業を展開する名古屋鉄道株式会社。グループ全体の生産性向上と人材不足解消に向けて Google Chat に生成 AI チャットボットを導入した経緯と効果、今後の展望について、名古屋鉄道株式会社の西村 慎吾 氏と山田 敏大 氏に伺いました。
名古屋鉄道株式会社様
名古屋鉄道株式会社は、愛知県と岐阜県を基盤とする大手私鉄です。1894年の設立(当初は「愛知馬車鉄道」)。以来、長年にわたり中京圏の生活・ビジネスを支え続けてきました。現在はホテルや百貨店、不動産などにグループ会社を展開し、幅広い分野でサービスを提供しています。
- ※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
G-gen のサポートで Google Workspace と親和性の高いチャットボットを導入
名古屋鉄道株式会社は愛知県と岐阜県を基盤とする大手私鉄です。鉄道・バスなどの交通事業をはじめ、グループ会社を通して小売業やサービス業、不動産業など幅広いサービスを提供し、中京圏の生活・ビジネスを支え続けています。
同社ではグループ全体で、生産性の向上や人材不足の解消が課題となってきました。その解消に向けて導入されたのが「生成AIを活用したチャットボット」です。
Google Workspace との親和性が高いチャットボットを構築するにあたり、同社がパートナーに選んだのは G-gen 。素早いレスポンスと最新情報のキャッチアップにより、生成 AI チャットボットのスムーズな導入を実現しました。
人材不足という課題の解決に向けて「生成 AI 」の活用を検討
100社以上ものグループ会社を抱える名古屋鉄道株式会社。そのなかでグループ全体の DX を推進しているのが「デジタル推進部」です。具体的にはグループの課題をヒアリングしてそれに対するソリューションを考え、全社的な基盤整備を検討するほか、デジタル人材の育成などをミッションとしています。
今回のチャットボット導入も、グループ全体の課題となっている生産性の向上と、人材不足に対応することを目的としたものです。グループDX担当課長の西村慎吾氏はこのように語ります。
「コロナ禍ではグループ全体が大きな影響を受けました。現在は業績が回復しつつあるものの、鉄道の利用率はコロナ前の9割ほどにとどまっています。インバウンド需要もそれほど戻っていないため、収入減を補うために業務の効率化は不可欠です。人手不足も課題ですが、簡単に人を増やせる状態ではありません」。
名古屋鉄道株式会社 西村 慎吾 氏
これらの課題に対処する手段のひとつとして、デジタル推進部が注目したのが「生成 AI の活用」です。その用途について、グループ DX 担当シニアアソシエイトの山田敏大氏は「文章の要約、翻訳、人によってはプログラムを書くなど、いわゆる一般的な生成 AI としての使い方を、チャットボットとの対話を通じて実現しようと考えました」と振り返ります。
Google Workspace との親和性の高さが選定のポイントに
生成AIの導入にあたり、デジタル推進部では Google Cloud の生成 AI サービス「Vertex AI Gemini Pro」を中心とした製品のほか、GPT シリーズ( ChatGPT )の AI モデルを使う Azure OpenAI Service も検討したといいます。西村氏によると、製品の採用にあたって重視したのは「一般的な用途における性能」と「Google Workspace との親和性」でした。
このうち「性能」については、西村氏はこう話します「ChatGPT と比較したとき、Google Cloud の生成 AI も『性能に大きな差がない』という印象でした。要約や翻訳などの一般的な使い方であれば問題はありません」。
これに対し「親和性」は、Google の生成 AI を採用する決定打になりました。「Google Workspace との親和性は大きな評価ポイントになりました。デジタル推進部ではグループ会社すべてで Google Workspace の導入を目指しており、現在グループの約半数の60社程度が導入しています。Google Chat に生成 AI を組み込むことで Google Workspace を利用している全ユーザーに生成 AI の環境が提供でき、グループ全体の生産性向上につながると考えました」。
構築から性能検証を経て、わずか1か月半でグループ全体へリリース
Google Chat へのチャットボット導入について、デジタル推進部が G-gen に相談したのは2024年1月中旬ごろのことです。契約・発注を経て要件定義を開始したのが2月中旬、その後、構築や検証を重ねて「新年度初日の4月1日から、Google Workspace を利用する全ユーザー向けにリリースしました」(山田氏)。
また、生成 AI 導入を G-gen に発注した理由について、西村氏は「当社のニーズを満たしているうえに、レスポンスも早かった」と言います。
利用者は着実に拡大。「生成AIがないと仕事にならない」という声も
生成 AI チャットボットの全社導入から日が浅いこともあり、正確な導入効果(定量効果)の検証はまだこれからだといいます。しかし同社では2023年7月より、最大約400名のユーザーで生成AIの検証を行ってきており、この約半年間の検証では、累計1,200時間以上の業務効率化効果が確認されたといいます。
一方、定性効果について山田氏はこのように説明します。「すでに生成 AI を使っているユーザーの間では、『生成 AI がないと仕事にならない』という声も聞かれており、業務の一部として着実に定着してきていると感じています。また4月から使い始めたという人も、いろいろな業務に生成 AI が使えることを発見しているようです」。
名古屋鉄道株式会社 山田 敏大 氏
生成 AI を業務に恒常的に利用しているのは、現時点(2024年5月現在)で約1,400人です。グループ全体で約9,000人のユーザーに機能を開放しているため、すでに7人に1人以上が利用している計算になります。まだ生成 AI に慣れていない、触ったことがないというユーザーのため、デジタル推進部ではセミナーの開催や事例紹介などを通して利用者を広げている最中です。
社内データの活用と、お客様向けサービスへの組み込みを目指す
生成 AI の今後の展開について、西村氏は「社内データの活用」を挙げます。「たとえば社内 FAQ で問合せの工数を削減したり、データを添付ファイルで読み込ませて分析したり、といった使い方です。音声を読み込んで、ボタン一つで議事録を作るというシステムを作れれば、大きな業務効率化になると考えています」。
山田氏もこう語ります「次のフェーズとして考えているのが、お客様向けのサービスに生成 AI を組み込むことです。今はまだ正確性の面で確実性の低い部分があるため、まずはアシスタント的な使い方を考えています。たとえば名古屋鉄道なら、条件を指定するとお出かけの場所を提案してくれたり、現在開催中のキャンペーン情報を教えてくれるといったサービスです」。
生成 AI の進化に合わせてサービスを展開していきたいと話す西村氏と山田氏。G-gen に対しても「引き続き、レスポンスの早さと知見の深さを生かしてアドバイスをしてほしい」と期待を寄せています。
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